エバンジェリストとの協業、テロリストへの配慮
顧客の声を経営に生かす手法を考える際には、自社をひいきにしてくれる顧客と、クレームがいっぱい詰まっている顧客とを分けてアプローチしないとうまくないだろうと思います。
顧客ロイヤルティ経営の世界を切り開いたヘスケットは、顧客に向いた経営をする際に、テロリストとエバンジェリスト(図中では伝道者)の双方に注意を向けなければならないと言っています。
簡単に言うと、テロリストとは、その企業の製品やサービスにものすごい不満を持っていて、放っておくと、口コミなどでネガティブキャンペーンを始めてしまう層。
エバンジェリストとは、別にギャラをもらっているわけでもないのに、その企業の製品・サービスにものすごく惚れ込んでいて、ひたすら「イイ」と宣伝して回り、来る日も来る日も仲間を増やそうとして動く層。(「エバンジェリスト」というコトバが日本のパソコン界で使われるようになったのは1990年頃からでしょうか。言うまでもなくマッキントッシュに関連して)
エバンジェリストは何か適当な方策があれば、組織化することは比較的容易だと思います。インセンティブなどを工夫することで、協業的な態度を引き出すこともできるでしょう。最近のブログマーケティングなんかも、潜在エバンジェリストを抽出するための仕組みだと捉えられます。
けれどもテロリストについては、どう対処すればいいのでしょうか?
会社の中で、仮に、「クレーム対応室」のような部署があったとして、そこに配属されるのはあまり楽しいこととは言えませんね。
だいいちクレームをいっぱい募らせて感情的になっている人にどう対処すればいいか、普通はわからない。
これは専門家の領域だと思いますね。テロリストに対応するには、テレマーケティングの技法を援用しつつ、心理学的なテクニックも導入しつつ、まず話を聞き、感情をなだめ、彼・彼女が伝えたいことを正確に引き出し、それを記述することができる専門家による対応が不可欠なんだと思います。
ここに商機を見ますねぇ。
顧客のクレームを専門に受け付ける企業を立ち上げ、VeriSignのような「サービス内容=サービスブランド=企業」の図式を確立し、顧客企業の顧客対応ポイントにリンクを張って、クレーム客を自分のところに誘導して対応する。
対応内容は正確に記述し、顧客企業のマーケティング部門などに報告する。
このようにワンクッションあると、企業はクレーム客に対しても対応しやすくなるわけです。
個々の担当者が生身で対応していたら、やってられないですよね。