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若者よ、蜂起せよ!

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2025年の現在、世界はウクライナ戦争の長期化、トランプ関税による経済ブロック化の懸念、そして気候変動といった深刻な課題に直面しています。私たちの目の前には、予測不能な「不確実性」が常に横たわり、混迷の度合いを深めています。

しかし、そんな時代だからこそ、改めて申し上げたいのです。

今の20代、30代の皆さんこそが、この現状を打破する鍵を握っています。年長者たちが築いた過去の栄光や常識にとらわれず、あなた方自身の感性で立ち上がる時、すなわち「蜂起」する時が来ているのです。

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「人月ビジネス」の終焉とAIの衝撃

現在、IT業界を見渡せば、需要は拡大の一途をたどっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は止むことなく、表面上の業績は好調に見えるかもしれません。しかし、その足元は決して盤石ではありません。

生成AIやAIエージェントの爆発的な普及、そしてクラウド・サービスの成熟は、これまでのビジネスの前提を根底から覆してしまいました。

かつてのITベンダーは、エンジニアの作業時間を「工数」として売り上げに変える「人月ビジネス」で収益を上げてきました。しかし、AI駆動開発が当たり前になった今、人間が数日かけていたコーディングをAIが一瞬で生成してしまう時代です。

かつてのように「時間をかけて作ること」に価値があった時代は終わりました。もはや、予め用意された正解などどこにもありません。これからは「いかに早く正解にたどり着くか」ではなく、「過去の常識に縛られない、新しい正解を創り出すこと」が問われる時代です。正解のない中で旧来のやり方に固執し時間を浪費することは、もはやリスクでしかありません。

にもかかわらず、多くの企業の経営層や年長者たちは、過去の成功体験から抜け出せていません。「今まで通りやっていれば安泰だ」という空気を作り出し、AIによる劇的な生産性向上やビジネスモデルの転換に及び腰になっています。

未来が見えない不安こそが、正しい羅針盤

今の若い皆さんが抱えている感覚――

「こんなことを続けていて意味があるのだろうか」

「未来が見えない閉塞感の中で、何を頑張ればいいのか」

そんな不安や無力感、あるいは虚無感にも似た思いを抱いている方は多いのではないでしょうか。

しかし、その感覚こそが正しいのです。それを「ネガティブな感情」として押し殺す必要はありません。

年長者たちは「昔はもっと大変だった」「これだから最近の若者は」と言うかもしれません。残念ながら、彼らの危機察知センサーは、過去の成功体験によって錆びつき、今の時代の「空気の重さ」を感じ取れなくなっています。過去の遺産で定年まで食いつなげると高を括っている人たちには、この危機感は理解できないでしょう。

皆さんが感じている「違和感」や「不安」は、今の社会システムが制度疲労を起こしていることを敏感に察知している証拠です。その高い感性こそが、新しい時代を切り拓く最大の武器になります。だからこそ、その感性を信じてほしいのです。

エンジニアと営業の「蜂起」とは

では、具体的にどう行動すればよいのでしょうか。

エンジニアの皆さんへ:AIを指揮する存在へ

かつては「コードを書けること」が価値でした。しかし今は、AIエージェントに指示を出し、彼らを指揮してシステムを構築する能力が求められています。

単にプログラムが組めるだけでなく、ビジネスの目的を理解し、AIやクラウドを組み合わせて、圧倒的なスピードで価値を創出する「アーキテクト」としての視点が必要です。

「技術力」の定義が変わったのです。過去のやり方に固執する上司の顔色をうかがうのではなく、最新のAI技術やトレンドを自ら貪欲に吸収し、実践してください。

営業・ビジネス職の皆さんへ:正解のない時代の伴走者へ

お客様もまた、不確実な世界で「正解」を見失っています。「御用聞き」営業の出番はありません。

論理的な正解はAIが即座に出せる時代です。だからこそ、AIには扱えない感情や政治的な文脈を理解し、人間同士の対話を通じて納得解を導き出す「伴走者(パートナー)」としての人間力が問われています。

工数や単価の話ではなく、お客様のビジネスの未来を語れる存在になってください。

自分の人生の主導権を取り戻す

会社や組織が、あなたの提案や新しい技術への挑戦を阻む壁になることもあるでしょう。

もし、あなたが学んだ最新の知見や情熱を受け入れず、旧態依然としたやり方を押し付けるだけの環境なら、そこに見切りをつけることも一つの「蜂起」です。

幸いなことに、AIやデジタルの力を真に理解し、活用できる人材を求めている企業は山ほどあります。あるいは、個人で世界に向けて価値を発信できるプラットフォームも整っています。

重要なのは、組織の論理ではなく、世の中の動き、そして自分自身の「このままではいけない」という直感に従うことです。

主導権を自らの手に取り戻せ

「蜂起せよ」という言葉は、決して暴動を起こせという意味ではありません。

それは、「自分の人生とキャリアの主導権を、会社や他人に委ねず、自分の手に取り戻すこと」です。

不確実性が高まる世界で頼りになるのは、過去の常識ではなく、今の現実を肌で感じている皆さんの感性です。

年寄りたちには、この閉塞感を打ち破ることはできません。それができるのは、この時代の空気を吸い、葛藤している皆さんだけなのです。

まずは、自分の違和感を大切にしてください。そして、一歩を踏み出してみてください。

その小さな反乱こそが、あなた自身を救い、やがて社会を変える大きなうねりとなるのです。

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