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2020年 SIビジネス・10大予想 予想9:クラウド・ネイティブへの対応の差がSI事業の業績に決定的な差を生みだす

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予想4:オンプレミスにクラウド・ネイティブが浸透する」でも述べたとおり、オンプレミスには、パブリック・クラウドのテクノロジーが持ち込まれ、両者の仕組みをパブリック・クラウド側から一元的に管理・運用するようになる。このような時代になると、クラウドのスキルがない事業者はオンプレミスからもビジネス・チャンスを奪われてしまうだろう。

改めて、基本に立ち返れば、ユーザー企業が情報システムに求めているのは、アプリケーション・ロジックだ。さらに突き詰めれば、「現場のニーズにジャストインタイムでサービスを提供すること」である。

つまり、ユーザー企業は、情報システムを構築し納品してもらうことではなく、現場が必要とするITサービスを必要な時に直ちに提供してもらうことであり、現場のニーズが変化したら直ちに対応してITサービスをアップデートしてくれることを求めている。ITサービスが企業の収益に直結する時代となって、この「基本」はますます重要性を高めていると言えるだろう。

現場のニーズが変化し、システムの仕様が変わることは、ビジネスの視点で見れば、正しいことだ。なぜなら、その変化に対応して、売上や利益、顧客満足を高められるから、ビジネスの成果に直ちに結びつく。一方、システムの立場から見れば、それは仕様変更でありシステムの修正という手間のかかる仕事になるわけで、嫌がられることになる。

この両者の対立関係を解消しなければ、ビジネスの成果に貢献するITを実現することはできない。だから、インフラやプラットフォームなどのビジネスの成果に直接的に貢献しないところはクラウド・サービスにアウトソーシングして、アプリケーション開発者は、アプリケーションのロジックに専念しようというのは、極めて真っ当な発想といえる。

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それを支えるテクノロジーがサーバーレス/FaaS、コンテナ、マイクロ・サービス・アーキテクチャなどにより構成される「クラウド・ネイティブ」だ。

SI事業者の中には、未だオンプレミスの物理マシンを仮想化し、パブリック・クラウドのIaaSヘの引越し(リフト)を「クラウド・インテグレーション」と称し、それを、今後のSI事業の主軸に据えようとの考えを持っているところがあるが、これはユーザー企業に恩恵をもたらすことはない。アプリケーションは何も変わらず、運用管理の負担もたいして軽減されることはないし、開発のスピードも変わらない。場合によっては、両者のアーキテクチャの違いからスループットの劣化やコンプライアンス上の問題を抱える可能性すらある。

もちろん過渡的な対策として、リフトを否定するものではないが、その先の「クラウド・ネイティブ」への移行(シフト)あるいは、既存システムの廃棄を想定した取り組みでなければ、上述した「基本」を満たすことはできない。

AIIoTといったビジネスに変革をもたらすテクノロジーを活かすにも、もはや「クラウド・ネイティブ」が前提となっていることも多い。それができない企業は、新しいユーザー企業のニーズに対応できず、既存システムの寿命が尽きるまでの改修や保守、運用管理の需要に対応することに仕事が限定されてしまうだろう。

もはや「クラウド・ネイティブ」はオンプレミスも含めて前提になろうとしている。それを支える方法論として、アジャイル開発やDevOpsも前提となる。

このように考えてゆくと、「クラウド・ネイティブ」への対応の差がSI事業の業績に決定的な差を生みだすことになるのは、時間の問題と言えるだろう。

2020年 SIビジネス・10大予想 

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