オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

2020年 SIビジネス・10大予想 予想8:ヒューマン・オーグメンテーション(人間拡張)を見据えたビジネスの再定義が必要になる

»

まずは、この動画をご覧頂きたい。

Microsoft Inspire 2019で行われたHoloLens2のデモである。スタートレックやマイノリティレポートの世界が現実のものとなっている。

IoT5Gの普及とともに、現実世界のデジタル・コピー、すなわちデジタル・ツインは、より広範に、そして精緻になっていくだろう。そんなデジタル・ツインは、AI(機械学習、画像認識、機械翻訳など)、シミュレーション、データ連係などを組み合わせて、現実世界では生みだすことのできない情報を生みだすことができる。これを私たちが生きる現実世界にフィードバックしてくれるのが、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)などの技術だ。

スクリーンショット 2020-01-20 6.48.49.png

このように、人間の能力を拡張・強化することをヒューマン・オーグメンテーション(人間拡張)と呼ぶ。また、これを実現するクノロジーを使うことで、私たちは、その能力をインターネットにつなぎ、コミュニケーションの方法や働き方を劇的に変えてしまうだろう。これはIoAInternet of Ability)と呼ばれ、人間を時間や場所の制約から解放しビジネスや社会のあり方を大きく変えてしまうかも知れない。

これからのSIビジネスを考える時、私たちはどうしてもいま常識に引きずられてしまうが、もっと先にある未来、すなわち10年後、30年後の未来がどうなるかを考え、そこから逆引きして、自分たちのビジネスのあり方を再定義してみるべきだろう。その鍵を握るのがヒューマン・オーグメンテーションだ。

人間の歴史を遡れば、まさにヒューマン・オーグメンテーションの歴史であったとも言えるだろう。つまり、人間は道具を手にしたときから、その能力を拡張し、世界を作り上げてきたと言っても過言ではない。私たちは、いまもなおその歴史の途中にいるわけで、今後もこれは続いてゆく。

スクリーンショット 2020-01-20 8.02.50.png

ユヴァル・ノア・ハラリは、自著「ホモデウス〜テクノロジーとサピエンスの未来〜」において、テクノロジーが人間をやがては神(デウス)に押し上げると予言する。それがいつの時代になるのか、はたまたそうならないのかはわからないが、テクノロジーが人間の能力を拡張し、これまで人間が当たり前にやっていたことを機械が置き換え、人間と機械の役割分担を大きく変えてしまうことだけは確かだろう。

本連載でもこれまで採り上げてきたが、これからのビジネスの成否を握るのは、「圧倒的なビジネス・スピードの獲得」である。現場の事実をデータで即座に把握し、デジタル・ツインを使って機械学習やシミュレーションを駆使して即座に的確な判断を下し、直ちに実行する。このサイクルを高速で回し、現実世界、すなわちリアルな私たちの生活やビジネスを、常に最適な状態に維持することである。これを可能にする仕組みや組織、リテラシーを持つことがデジタル・トランスフォーメーションだ。

このような変化を見据えれば、SI事業の経営資源は「労働力」から「技術力」へとシフトしなくてはならないし、収益は「工数提供の対価」から「価値創出の対価」へと変えてゆかなければならない。

AIの進化やその先に来るとされるシンギュラリティなどまたなくても、いま身近にあるクラウドや自動化もまたそんなヒューマン・オーグメンテーションの1つのカタチといえるだろう。その価値を引き出す手段がアジャイル開発やDevOpsであるとすれば、そういうことに関わってゆくことにもはや選択の余地はない。

目先の手段の変化や進化に一喜一憂するのではなく、もっと先を見据えた戦略を描かなくては、生き残る術はない。

2020年 SIビジネス・10大予想 

【定員間近】第33期 ITソリューション塾

遠隔地からもオンライン(ライブと録画)でご参加いただけます。

ITソリューション塾・第33期(2月4日開講)の募集を開始しました。
既に多くの方からお申し込みをいただき、定員間近となっております。

デジタル・トランスフォーメーションを軸に、AIやIoT、クラウドやインフラ、これからのビジネス戦略について、体系的かつ網羅的に整理してゆきます。
特にDXについては、事業戦略や実践と絡めながら丁寧に話をしていこうと考えています。

次の特別講師にもご登壇頂きます。

  • デジタル・トランスフォーメーションと次世代ERP・SAP Japan 社長 福田譲 氏
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略・日本マイクロソフト CSO  河野省二 氏
  • アジャイル開発とDevOpsの実践・戦略スタッフ・サービス・代表取締役 戸田孝一郎 氏
  • ソフトウェア ファースト・Tably株式会社(テーブリー株式会社) 代表取締役 Technology Enabler 及川 卓也 氏

ぜひ、ご参加下さい。

  • 日程 初回2020年2月4日(火)〜最終回4月18日(水)
  • 毎週18:30〜20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 80名
  • 会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)全期間の参加費と資料・教材を含む参加登録された方はオンライン(ライブと録画)でも受講頂けます。

「コレ1枚」シリーズの最新版 2017年の第2版から全面改訂

新しく、分かりやすく、かっこよく作り直しました

デジタル・トランスフォーメーション、ディープラーニング、モノのサービス化、MaaS、ブロックチェーン、量子コンピュータ、サーバーレス/FaaS、アジャイル開発とDevOps、マイクロサービス、コンテナなどなど 最新のキーワードをコレ1枚で解説

144ページのパワーポイントをロイヤリティフリーで差し上げます

デジタルってなぁに、何が変わるの、どうすればいいの?そんな問いにも簡潔な説明でお答えしています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【1月度のコンテンツを更新しました】
・総集編の構成を1日研修教材としてそのまま使えるように再構成しました。
・最新・ITソリューション塾の講義資料を公開しました。
======
総集編
【改訂】総集編 2019年1月版・最新の資料を反映しました。

パッケージ編
ITソリューション塾(第32期)
【改訂】これからのビジネス戦略

======
ビジネス戦略編
【改訂】変革とは何か p.4
【新規】テクノロジーによる産業構造の転換 p.7
【新規】イノベーション p.10
【新規】イノベーションの本質 p.11
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションとは何か p.36
【改訂】複雑性を排除してイノベーションを加速する p.57
【新規】最適な解決策を見つけ出すためのデザイン思考 p.87
【新規】新規事業の成功確率を高めるリーン・スタートアップ p.88
【新規】SI事業者の抱える3つの不都合な真実 p.183
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(1) p.184
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(2) p.185
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(3) p.186
【新規】新しいデマンドを開拓できない(1) p.187
【新規】新しいデマンドを開拓できない(2) p.188
【新規】新しいデマンドを開拓できない(3) p.189
【新規】「木こりのジレンマ」に陥っている p.190
【新規】ITビジネスのトレンド p.191

ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】ソフトウェア化するインフラストラクチャー p.62
【新規】パスワード認証のリスク p.109
【新規】FIDO2による認証プロセス p.110
【新規】FIDO2とSSO p.111
【新規】本人認証の方法 p.112

クラウド・コンピューティング編
【新規】クラウドがもたらす本質的な変化 p.21

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】Googleが発表した自然言語処理モデル BERT p.88
【新規】新しい学習法 p.105

テクノロジー・トピックス編
【新規】ムーアの法則 p.6

下記につきましては、変更はありません。
 開発と運用編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 サービス&アプリケーション・基本編
 ITの歴史と最新のトレンド編

Comment(0)