オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

2020年 SIビジネス・10大予想 予想7:ユーザー企業がSI事業者と競合する時代を迎える

»

SIerに依頼してやっていたら1億円はかかっていたでしょう。しかし、3ヶ月で内製したので、社内の人件費だけですから400万円程度でできました。しかも、内部なので、常にユーザーやビジネスの現場からのフィードバックをうけ、どんどんとアップデートを繰り返しています。明日とか来週とか言う話しではなく、10分後には問題を解決していることもありました。結果として、顧客の満足度は高まり、利用も増えて、得られた収益は莫大な金額となっています。」

あるサービスを立ち上げた経験を金融関係のCTOから伺った。

「いま、社内のサービス開発で手一杯ですが、2ヶ月後くらいなら、引き受けることはできますよ。まあ、3ヶ月もあればできるでしょうから、たいして費用はかかりませんよ。」

あるサービスの開発をしてほしいと、製造業でサービス開発している責任者に相談したところ、こんな回答を頂いた。彼らは、社内だけではなく、社外の仕事も引き受けてくれる。あるSI事業者に同様の相談をしたところ、5千万円、期間も半年は最低でも欲しいとのことだった。

彼らはクラウドを最大限に活かしつつ、高速に開発を回し、それを事業の成果に直ちに結びつけている。もちろん、「サービス」を開発しているので、事業の進捗を常に見ながら現場のフィードバックに即座に対応している。

スクリーンショット 2020-01-17 8.00.13.png

かつてモノが中心でビジネスが回っていた時代には、作って納品するシステム開発が受け入れられてきたが、サービスは現場との対話によって、常に進化し続けなければ使われなくなってしまう。だからできるだけ早く開発してサービスをローンチし、ユーザーのフィードバックをうけてアップデートも高速に行い、変化する現場に合わせて、常に最適を維持してゆかなくてはならない。アジャイル開発やDevOpsが普及するのは、このような背景があるからだ。

彼らに工数を稼ごうという考えはない。むしろ少しでも工数を減らし、できるだけ早く事業の成果を引き出したいと考えている。そのために知恵を使い工夫をし、ノウハウを磨いている。そんな彼らが、SI事業者の競合になるだろう。

クラウドが提供するサービスやOSSの類は、そんな彼らを後押しするかのように機能や使いやすさを高めている。

このような常識が生まれつつある中で、いままでのやり方にあぐらをかいていたら、SI事業者は仕事を失ってゆくだろう。工数すなわち労働力ではなく、技術力で稼ぐ。あるいは、自らもサービスを提供し稼ぐ。まだ工数で稼げるうちに手を打たなければ、やがて何もできなくなってしまう。何よりも、こういうことができる人材、つまり新しいことに好奇心を持ち、直ちに取り組み、スキルを磨いていける感性を持つ人材が、いなくなってしまう前に、自分たちも変わる必要がある。

2020年 SIビジネス・10大予想 

【募集中】第33期 ITソリューション塾

遠隔地からもオンライン(ライブと録画)でご参加いただけます。

ITソリューション塾・第33期(2月4日開講)の募集を開始しました。
既に多くの方からお申し込みをいただいております。

デジタル・トランスフォーメーションを軸に、AIやIoT、クラウドやインフラ、これからのビジネス戦略について、体系的かつ網羅的に整理してゆきます。
特にDXについては、事業戦略や実践と絡めながら丁寧に話をしていこうと考えています。

次の特別講師にもご登壇頂きます。

  • デジタル・トランスフォーメーションと次世代ERP・SAP Japan 社長 福田譲 氏
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略・日本マイクロソフト CSO  河野省二 氏
  • アジャイル開発とDevOpsの実践・戦略スタッフ・サービス・代表取締役 戸田孝一郎 氏
  • ソフトウェア ファースト・Tably株式会社(テーブリー株式会社) 代表取締役 Technology Enabler 及川 卓也 氏

ぜひ、ご参加下さい。

  • 日程 初回2020年2月4日(火)〜最終回4月18日(水)
  • 毎週18:30〜20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 80名
  • 会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)全期間の参加費と資料・教材を含む参加登録された方はオンライン(ライブと録画)でも受講頂けます。

「コレ1枚」シリーズの最新版 2017年の第2版から全面改訂

新しく、分かりやすく、かっこよく作り直しました

デジタル・トランスフォーメーション、ディープラーニング、モノのサービス化、MaaS、ブロックチェーン、量子コンピュータ、サーバーレス/FaaS、アジャイル開発とDevOps、マイクロサービス、コンテナなどなど 最新のキーワードをコレ1枚で解説

144ページのパワーポイントをロイヤリティフリーで差し上げます

デジタルってなぁに、何が変わるの、どうすればいいの?そんな問いにも簡潔な説明でお答えしています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【1月度のコンテンツを更新しました】
・総集編の構成を1日研修教材としてそのまま使えるように再構成しました。
・最新・ITソリューション塾の講義資料を公開しました。
======
総集編
【改訂】総集編 2019年1月版・最新の資料を反映しました。

パッケージ編
ITソリューション塾(第32期)
【改訂】これからのビジネス戦略

======
ビジネス戦略編
【改訂】変革とは何か p.4
【新規】テクノロジーによる産業構造の転換 p.7
【新規】イノベーション p.10
【新規】イノベーションの本質 p.11
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションとは何か p.36
【改訂】複雑性を排除してイノベーションを加速する p.57
【新規】最適な解決策を見つけ出すためのデザイン思考 p.87
【新規】新規事業の成功確率を高めるリーン・スタートアップ p.88
【新規】SI事業者の抱える3つの不都合な真実 p.183
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(1) p.184
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(2) p.185
【新規】情シスへの依存がビジネスを萎縮させている(3) p.186
【新規】新しいデマンドを開拓できない(1) p.187
【新規】新しいデマンドを開拓できない(2) p.188
【新規】新しいデマンドを開拓できない(3) p.189
【新規】「木こりのジレンマ」に陥っている p.190
【新規】ITビジネスのトレンド p.191

ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】ソフトウェア化するインフラストラクチャー p.62
【新規】パスワード認証のリスク p.109
【新規】FIDO2による認証プロセス p.110
【新規】FIDO2とSSO p.111
【新規】本人認証の方法 p.112

クラウド・コンピューティング編
【新規】クラウドがもたらす本質的な変化 p.21

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】Googleが発表した自然言語処理モデル BERT p.88
【新規】新しい学習法 p.105

テクノロジー・トピックス編
【新規】ムーアの法則 p.6

下記につきましては、変更はありません。
 開発と運用編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 サービス&アプリケーション・基本編
 ITの歴史と最新のトレンド編

Comment(0)