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2020年 SIビジネス・10大予想 予想4:オンプレミスにクラウド・ネイティブが浸透する

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昨年の12月、AWS Outpostsが正式にリリースされた。AWS OutpostsAWSのインフラを24インチラックに収め、ユーザー企業のデータセンター、すなわちオンプレミスに設置する製品だ。AWSのコンソールから管理でき、AWSと同じAPIが利用でき、AWSのリージョンとシームレスに接続可能で、メンテナンスや運用管理はすべてAWSのマネージドサービスとして提供される。今年は、そのVMware版であるVMware Cloud on AWS Outpostsもリリースされ、こちらもフル・マネージドサービスで提供される。導入はAWSが行うとしている。

HCIの老舗であるNutanixは、ソフトウェア製品であるNutanix Enterprise Cloud OSを提供し、オンプレミスのサーバーにこれを導入してHCI環境を構築できるだけでなく、AWSMicrosoft Azureなどのベアメタル・サービス上に導入し、オンプレミスとパブリック・クラウドのシームレスなHCI環境を構築できる製品を普及させようとしている。

Microsoft S2d(Storage Spaces Direct)Azure Stackでもパブリック・クラウドサービスであるAzureとの組合せにより、同様のHCI環境が構築できる。

また、Googleは、コンテナ管理ツール「Kubernetes」をオンプレミス環境で稼働させるGKE On-Premを提供し、コンテナでのシステム運用をオンプレミスとパブリックでシームレスに行えるようにしている。これらをマネージドで運用するAnthosとの連係で運用負担も削減される。

IBMRedHatを買収しOpenShiftを手に入れ、オンプレミスやパブリック・クラウドに依存することなく、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドのデプロイメントの自動運用を実現している。IBMはこれをIBM Cloudのマネージド・サービスとして提供している。

このような一連の動向は、インフラ構築や運用環境の整備、運用管理業務の派遣といったSI事業者の工数需要の多くを不要にするものだ。

また、この流れの先にあるのは、オンプレミスのクラウド・ネイティブ化が進むことである。パブリック・クラウドが既にそうであるように、アプリケーションの開発や実行は、コンテナ、マイクロサービス、サーバーレスなどのクラウド・ネイティブへとシフトしつつあり、それをハイブリッドやマルチクラウドで利用するというのがトレンドとなるだろう。

クラウド・ネイティブができないSI事業者は、アプリケーション開発に於いても顧客のニーズに応えることができず、ここでもビジネス・チャンスを失うことになる。

ただし、工数需要がなくなることはない。クラウド・ネイティブを積極的に使おうというのはユーザー企業の内製化をすすめている事業部門が主体となるだろう。SI事業者が直接の顧客としている情報システム部門が主管する既存システムの改修や保守、運用管理は、当面これまでのやり方を踏襲する。ただし、DXや「攻めのIT」といった取り組みは、事業部門が主導することになるだろうから、クラウド・ネイティブのスキルがなければ、この取り組みからは除外される。

また、既存システムであっても、クラウド化や自動化をすすめようという動きもあり、ここに一定の需要は創出されるが、その先の需要は減少することは避けられない。

2020年 SIビジネス・10大予想 

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