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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

教育と地域の共通コミュニケーションプラットフォーム

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日本のICT国際競争力の低下が懸念されています。しかしながら、「日本のICT国際競争力と世界一のICTインフラ」で述べさせていただいたように、日本は世界最高水準のブロードバンド環境であり、インターネット接続においては非常に恵まれた環境にあります。

 

公共分野におけるICTの活用

一方、「ICT政策と利活用に関する国際比較ランキング」で紹介させていただきましたが、特に日本は公共分野におけるICTの利活用の遅れが目立っています。特に教育分野においては、学校におけるインターネット接続率は18位と、ブロードバンド先進国である日本がその他先進国と比べて大きく差をつけられており、その遅れが目立っています。

 

共通利用な公共アプリケーション

総務省は3月27日、総務省が所管する公益法人の財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)が、「共通利用可能な公共アプリケーションの提案」の中で地域情報プラットフォームに準拠したアプリケーションの基本提案書を策定したことを発表しました。


共通アプリケーションは「防災アプリケーション」、「医療・健康・福祉アプリケーション」、「教育アプリケーション基本提案書」の3つに分かれています。

 

教育分野のアプリケーションとその方向性

この共通アプリケーション分野においてブロードバンドの遅れが目立っている教育分野を少し取り上げてみたいと思います。

基本提案書等については近日中にAPPLICホームページに掲載されるとしています。今回提示されている提案のポイントは以下のとおりです。

○学校と地域が連携するために利用できる5つのICTツール活用シーンの提案
1)
誰もが簡単にできる情報発信・更新・閲覧   
2)
緊急連絡を軸とした総合的な一斉連絡
3)
児童生徒活動の高画質での配信・閲覧   
4)
リアルタイムでのコミュニケーション
5)
地域コミュニティの形成

○ICTツール導入状況のヒアリングから得られた課題の整理と解決案の提案

○学校・教育委員会と首長部局が連携して、教育分野の情報化を全庁的な情報化計画の一環として取り組むことへの提案

○関係部局間のノウハウ共有、業務効率化を目指した教育委員会事務の業務分析による機能構成図(DMM)、機能情報関連図(DFD)の策定

今回の提案の中で一番ポイントとされていると思われるのが、学校と地域連携ができるICTツールです。ICTにより学校と地域のコミュニケーションを活性化し、地域全体を活性化していこうという動きであると感じられます。

学校と地域とのコミュニケーションにあたっては、例えば、学校SNSや学校ブログ等のWeb2.0のツールや不審者情報の共有等の学校一斉連絡ツール、IP電話やテレビ会議などを使ったリアルタイムのIPコミュニケーション等も考えられます。

一方で、一歩間違えると「学校裏サイト」や「ネットいじめ」の環境を増やしていくというリスクも考えられます。現場の校長先生や教育委員会の方などと、地域と連携できるICTのコミュニケーションツールの話をすると、どうしてもネガティブなリスク面を懸念されるケースが多く見受けられます。

 

教育アプリケーションとNGN

NGNが今年春からNTT東西からサービス開始がされます。現時点では、既存のフレッツサービスとあまり変化がないという意見がありますが、将来的にはNGNに様々なアプリケーションがのり、プラットフォームサービスとして提供されることも可能になるでしょう。NTTは「SaaS over NGN」というコンセプトを打ち出し、NGN上でSaaSの提供も今後出てくることが予想されます。

教育分野においては、「NGNで社会は変わるか?(2) --教育編」などでもご紹介させていただきましたが、特に共通プラットフォーム化が遅れているため、NGNを活用することによって、学校間や地域間の共通プラットフォームを構築しやすくなるのではないかと考えています。

 

まとめ

日本の将来を背負う子どもたちが、情報リテラシーを高め、また情報モラル教育を充実させることによって、またICT国際競争で世界と戦える土台をつくっていくことが大切なのではないかと考えています。また、地域の地盤沈下による地域活性化が叫ばれる中で、学校と地域が一体となって地域を盛り上げていくこともさらに重要になっていくことでしょう。

そういった意味で、教育分野における共通アプリケーションの議論は重要であり、APPLICの検討やNGNの整備が、学校や地域の現場で実際に活用できる環境になることが期待されるところです。

 

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