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タテ糸とヨコ糸は、人間社会を織りなす重要な要素です。

インターネットの浸透で、社会がフラット化していくと言われる中で、格差社会に対する警戒感が叫ばれています。情報という観点ではフラット化(ヨコ社会化)する一方で、富や資産という意味では格差が広がっており、タテ社会化している、という意味だろうと思います。

戦後の日本は、従来からタテ社会だと言われてきました。インドやイギリスなどに比べれば身分制が確立している訳でもないのですが、終身雇用(就職ではなく就社)や年功序列(新参者は最も下の地位)の特徴を捉えて語られたものだと思います。

タテ社会は弊害もありましたが、もちろん良い面もありました。年功序列で言えば、5年後や10年後の自分の目標になる先輩(師匠)がいるので、わざわざキャリアプランなど考える必要はありません。また、上司になった人も下克上の心配もすることなく、部下のことを親身に考えることができたと思います。

しかし、現在はそうではありません。従来はローカルルールでやっていたことが、グローバルルールに変えられ、世界の中で厳しい競争をしなければならなくなりました。日本チャンピオンでも食えないこともあるし、県でのランキングの重要性は薄れ、世界ランキングを気にしていなくてはなりません。

他方、人間自身はさほど変わっていません。きちんと成長していくには、キャリアとかビジョンという渇いた理屈よりは、身体を伴った生身の師匠が必要です。インターネットで得られる関係性以上のものが実際の師弟関係には必ずあると思います。運良く格差社会で高い地位を得たり、幸せになっている人は、その叡智を分かち与える義務があると思います。本当に貧しい人とは富を分かち合い、食っていける人には富や幸せを得る方法を伝えていく必要がある、と思います。

フラット化した社会の中で、師匠を持っている人は幸せです。既に幸せな人は、集ってきた弟子の幸せを支援することで、さらに高い幸福感を得ることができます。富を得ることだけが幸福の条件である訳ではありません。喜びを分かち合える仲間がいることは、何物にも代え難い財産だと思います。

tsuji2005

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辻 俊彦

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ベンチャーキャピタリスト。専門分野は、メディア系、ITサービス系。

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