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 先週来、平野さんの公開講座に参加させていただき感謝です。昨日は、宋文洲さんのお話。実は一昨日のJohn Sasakiさんも興味深かったのですが、当社は上海にオフィスを持っていること、自分自身が子供の頃から親父の取引先の華僑の方々と接してきたこと、そしてシンガポール大学時代にも多くの華僑の友人がいたこともあり、宋さんのお話には大変興味がありました。

 ちなみに、Wikipediaで「華僑」という言葉を見てみると「中華人民共和国の中国共産党政府の定義によると、「中国大陸・台湾・香港・マカオ以外の国家・地域に移住しながらも、中国の国籍を持つ漢民族」を指す呼称」となっていますが、これはあくまで中国共産党の定義ですね。一般的には、中国の国籍ではなくなっても華僑と呼ばれたり、自称することが多いようです。いずれにせよ、ビジネスの世界で考えると、中国在住のビジネスパーソン、中国で成功している中国国籍の人たちは華僑ではありませんね。

 少し話が逸れましたが、昨日の宋さんの講義は「自分は大きな夢を持って創業したわけではない」というメッセージからスタートしました。詳細は端折りますが、やむなく創業した。最初のビジネスは悪くなかったが、顧客、環境を含めてイヤになったこと、その会社を売ろうとしたときに感じたことなど、強い意識をお伺いすることができました。

 詳細は、どこかでどなたかブログに書かれるでしょうから、僕は僕が感じたことを書いておきます。僕が宋さんからいただいたメッセージは大きく3つ。

1.心底の覚悟がなければベンチャーなんか止めた方がいい。
 宋さんは、最後の質疑応答でベンチャーについて質問され、こう答えられました。
「大企業の人があなたを踏みつけることで(お金を支払う)気があるのなら、踏みつけさせてあげればいい。それでdeal(取引)は成立するのだから。その気(覚悟)がないなら、かっこつけたいのであれば、ベンチャーなんか止めた方がいい」
 宋さんの言い方には賛否両論あるとは思いますが、僕はわかりやすかったですし、納得、同意しました。

2.しかし、大きな志がなければやっちゃいけないとは思わない。
 宋さんは、社会人一年生の会社は、入社三ヶ月で倒産してしまい、やむなく創業に至った。もちろん、やる以上は寝る間も惜しんでやる必要がありますが、志ありきだとは言い切れないのですね。

3.やる以上は、ちゃんと稼ぐこと。
 そして、もちろんやむなく始めることがあっても、やる以上はきちんと収益を出すこと。日本には「清貧」という言葉があって、儲ける人を悪く言う人がいるが、宋さんに言わせれば、それはすべて妬みだ、と。
 妬みかどうかは分かりませんが、僕も企業活動は収益が出ないことにはダメだと思います。大企業も、当社を取引先として認定するかどうかは、帝国データバンクなどの機関を使って、当社が「潰れないか」を見てくるわけです。潰れるか潰れないかは、「稼いでいるかどうか」ということに他ならないわけですね。

 宋さんの言い方、ご意見には、日本では間違いなく賛否両論あるとは思います。ただ、長年華僑の方と付き合い、そして仕事をしてきた僕には、とてもしっくりくる内容でした。
 平野さん、本当にありがとうございました。きちんと「学んだ」つもりですので、実行していく所存です。

kumaboo

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プロフィール

大木 豊成

大木 豊成

スマートフォン法人導入コンサルティングのイシン株式会社 代表取締役。
著書に、iPad on Business、ソフトバンク流『超』速断の仕事術、ファシリテーターの道具箱(共著)がある。

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