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 週末ネタです。酔うと大阪弁になる空野さんが(笑)、何度かシェアハウスに住み始めたお話しをされています。ここでも「シェアハウスの暮らし方に向く人向かない人」というお話しを書かれています。

 
 僕の大学はシンガポールなのですが、(当時は)ほとんどの学生が寮で生活をしています。ここはシェアハウスのような作りではなく、3階建てのアパートのようなもので、2部屋にでトイレとシャワーを共有しています。ですから、共同生活の部分もあるものの、かなりプライベートが確保されています。とはいえ、エアコンもないので、みんな窓を開け放って喋っていますから、少しくらいは気を遣わないとうるさくてしょうがなくなります。
 大学の寮と言っても、日本の大学のように先輩、後輩の関係が縦にはなっていません。たまたま年が上だったというだけで、同じ学内に生活する人、程度の関係です。先輩風を吹かすなんてこともありませんし(そんなことをしても、誰も見向きもしません)、後輩だから焼きそばパンを買いに走る、なんてこともありません。(焼きそばパンはシンガポールにはありませんし・・)
 
 寮長という人もいませんし、そういう意味では関係はフラット、指揮命令権は存在しません。ここは、シェアハウスに似ているところです。
 
 シンガポールはご存じかも知れませんが、多民族国家です。公用語は4つ。国営放送では、早朝の開始時間と深夜の終了時間に、4人の女性が4つの言葉で挨拶をします。英語、中国語(北京語)、マレー語、タミール語(インドの言葉)。僕がいた頃は人口230万人のうち、77%が中国人(主に福建省、広東省)、15%がマレー人、インド人が7%、その他、ユーラシアンと呼ばれる人たちがいます。
 大学は、それに加えてアメリカ人、イギリス人が多くいて、さらにロシア人(当時はソ連人)なども多くいます。年齢も、アメリカで高校を17歳で卒業してきた秀才もいれば、ケンブリッジやハーバードなどの名門校を出てきた23歳で入学してくる人もいたり。意外と幅が広いんですよね。
 
 当然ですが、ロシア人であろうと共通の言葉で話さないと通じないので、英語か中国語になります。ロシア人とアメリカ人が流暢な北京語で話し合っている様というのも、なかなか見られない光景です。
 
 こんな楽しそうな寮生活も、「勉強をする」という共通の目的があって集まっています。そこはシェアハウスとは違うところ。僕が入学手続きのために早めに寮に入ったとき、夏休みだというのに学生のほとんどは寮にいて、みんな毎日勉強していました。知り合ったばかりの学生に、「なんでそんなに勉強してるの?」と聞いたところ
 
「Because, I am student」
 
と言って、不思議そうな顔をされたのを思い出します。もう、恥ずかしいという気持ちと「わ!こんなマジメな大学に来ちゃった」という焦りがあったことを憶えています。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、日本でそんなことを言う学生に会ったことがなかったので。
 
 シンガポール人は、中華民族が多いせいか、議論をするのが好きな人が多いんですよね。授業中も、普通にディベートをふっかけてきます。こっちも拙い言葉で必死に応戦。しかし、それで終わらないのが寮生活。寮に戻っても、ディベートの続きが待っています。食堂で夕食をとりながらディベート。ビールを買って部屋まで一緒に戻って、またどちらかの部屋でディベート。もう、脳みそが溶けそうになります。しかし、そうやって議論を重ねた学生とは自然と仲良くなります。ま、仲良くなっても議論することは止めないのですが。(苦笑)
 
 指揮命令権はない。でも、お互いをrespectし合い、議論を続ける。空野さんの大きなシェアハウスのお話しを見ていて、大学生活を思い出した週末です。

kumaboo

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プロフィール

大木 豊成

大木 豊成

スマートフォン法人導入コンサルティングのイシン株式会社 代表取締役。
著書に、iPad on Business、ソフトバンク流『超』速断の仕事術、ファシリテーターの道具箱(共著)がある。

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