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 いま二冊の執筆を抱えている身としては、自分のクビを締めるような話ですが。(笑)

 
 出版の印税って、出版経験のない方には意外と知られていないものです。そもそも発行数も公開されていませんから、知る由もないところなのでしょうね。
 
 出版における著者の印税は、だいたい7%から8%。10%以上というのは、よほどの有名人が書かれた場合はあるかも知れませんが、僕などではあり得ないお話。ビジネス書の第一刷は、2,000部くらいから6,000部くらいが多いようです。僕iPad on Business は10,000部でしたが、旬なのでということで異例だと思いますね。
 
 これで計算していただくとおわかりだと思いますが、僕が2009年に出したソフトバンク流「超」速断の仕事術 は、6,000部でした。印税は8%だったと記憶しているので、
 
 税込み1,500円なので、税抜き1,428円
 1,428×8%×6,000=685,440円
 
ということになります。「お!儲かってるじゃん!」と感じられます?
 
 この本は、目次だけで3ヶ月かかりました。もちろん3ヶ月間というのではないですが、書いて、編集者に送って、戻ってきて、直す。時々直接お会いして意見交換。これで3ヶ月。そして執筆期間が1ヶ月半。で、初校、再校、再々校で終了。あとは出版を待つばかりです。あ、この中に挿絵を確認する作業もありました。装丁(カバー)はお任せしたので、そこはノーチェック。それにしても、これだけの工程があります。これで68万は、割が合わない。つまり、印税だけで書いていたら、やっていられない、ということなんですね。ビジネス書の場合。
 
 さて長くなりましたが、本題です。この印税は、出版された翌月末に振り込まれます。7月30日出版だったので、8月末には振り込まれるのですが、これは出版社としては「立て替え」に近い状態です。6,000部が売れたわけでもないのに、6,000部の印税を支払うのですから、今度は出版社がリスクを背負っているわけです。
 中には、6,000部発行したら、最初は3,000部の印税だけ支払う、という方式をとっている出版社もありますが、それにしても立て替えであることは変わらないわけですね。だから、中小の出版社だと、本当に売れると確信できる本しか出さないわけです。読者視点で言うと、尖った本が出てこないんですよね。
 
 僕が出来るといいな、と思っているのは、
 
1.出版までのプロセスをコストで割り出す(執筆、打ち合わせ、印刷、物流)
2.そのうち、印刷、物流は出版社が負担する(今まで通り)
3.著者は、執筆に関して負担する(打ち合わせのコーヒー代は割り勘)
4.売れた本を月次で計算し、印税として支払い(月末締め、翌月末支払い)
 
でどうかな、と。もちろん、支払いを遅らせて同じ比率ではあわないので、売上の何%(レベニューシェア)にするか、コストを差し引いた利益の分配(プロフィットシェア)にすべきだとは思います。執筆もコスト化して、ですね。
 
 たとえば僕のように執筆で食べているわけではない人間は、印税は後にしてよ、という交渉もアリだと思うんですよね。(あ、クビを締めてる・・・)
 
 この提案は、有象無象のビジネス書、ツールの使い方説明書みたいな書籍を増やしたいものではありません。もっと尖った、意見をはっきり言っているような書籍を読みたいからなんですよね。
 
 書いている間に大揺れしたので、文章がまとまっていないかも知れません。。。

kumaboo

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プロフィール

大木 豊成

大木 豊成

スマートフォン法人導入コンサルティングのイシン株式会社 代表取締役。
著書に、iPad on Business、ソフトバンク流『超』速断の仕事術、ファシリテーターの道具箱(共著)がある。

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