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夏になり気温が上がってきたことで、電力消費量が伸びて、供給量に余裕がなくなってきているということは、東北・関東エリアに住んでいる方なら、切実な問題になって来ています。そのため、節電が必要だというところまでは理解できます。しかし、今回の問題に対応するための一律 15% 削減という話が出てきたあたりから目的があいまいになってきたように思います。

私が理解している範囲では、今回の節電の目的は、停電を避けるということでした。そのため、夏のピーク時の平日昼間の電気使用を抑えることが必要になり、企業にも節電の要請が出された訳です。逆に言うと、停電を避けるという目的達成のためには、ピーク時以外の節電はあまり意味がないということになります。「あまり」と書いたのは、ピーク時の電力需要を賄うためにピーク時でないときに水を高いところにくみ上げておく揚水発電があるからです。ピーク時でないときにでも、揚水発電分の余分な電力使用が必要となります。

15% の節電目標を達成するために、企業によっては早朝に勤務をシフトして、夜は残業なしで明るいうちに帰宅するというパターンに変更したところもあるようです。しかし、停電を避けることが目的なら、電力に余裕がある夜は稼働しても良いわけで、逆にたとえば、昼の12時から午後4時までは稼働しないというような形態にするべきです。こういった対応は、電気使用量を 15% 削減を達成したことで、国の要請に応えたという自己満足のように感じてしまいます。

そこで、政府が一律に 15% 削減という目標を出している真の目的は別のところにあるのではないかと想定してみました。以下は、私の予想で、根拠がある話ではありません。

- 国民はピーク時削減ということを言っても理解しないから、単純な目標にした。
- 燃料の追加輸入に問題があるので、総燃料使用量を削減する必要がある。
- 化石燃料を余計に使うと CO2 削減目標が達成できなくなるから、総燃料使用量を削減する必要がある。
- 追加で購入する石油などの燃料の価格が高くて、電力会社の経営を圧迫するので、できるだけ追加購入は避けたい。
- 産業界が、15% の節電要請を利用して、コストを削減しようとしている。

まだ他にも思いつきますが、もしこれらのどれかを(またはそれ以外でも)別の目的としているのならば、政府や東京電力は、その説明をするべきだと思います。それならば対策は違った方法になりますが...。

やはり政府の説明に裏がなくて、単純に停電を避けることが唯一の目的ならば、節電を夜間や休日にするのは無意味です。夜間に常夜灯を切るとか、暑い夜にエアコンを切って寝るなどは、精神的に節電に貢献している感があるだけで、目的達成のためには全く役に立たないことです。それよりも、本当に電力が足りなくなったときに、即座に一時的に不要な電気使用を止めるという対策を作って、それをきちんと実施する方が、停電回避という目的には合致しているのではないでしょうか?

Katsushi Takeuchi

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竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

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