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2月23日のマイクロソフトの TechDays に Windows Azure の情報を求めて参加しました。

まず、驚かされたのは、Ray Ozzie の登場でした。ビデオでの登場でしたが、Lotus / Iris 関係者としては複雑です。彼は、Lotus 主催のイベントでは一度だけ日本に来たことがあります。今回も、TechDays のために日本に呼びたいという話は聞こえていましたが、ビデオでの登場となりました。Ray Ozzie は、Lotus Notes を開発していた Iris Associates という会社のトップで、1997 年に Groove Networks を設立して Iris Associates を離れるまで Lotus Notes の顔でした。当時は、Lotus Notes は、マイクロソフト Exchange とグループウェアの分野で熾烈な競争をしていたので、元ロータス関係者は若干なりとも複雑な心境だったと思います。まあ、彼の担当は Exchange や SharePoint でなく、OS の Windows Azure であることが、救いではあります。

キーノートは、Ray Ozzie 以外はかなり具体的な話が中心となっていて、2日間の TechDays のプレビューという位置づけという印象でした。パートナーの方々も登壇していくつかの具体的な取り組みが話されましたが、どれも具体的には個別のセッションを聞いてくださいという、セッションの宣伝的な位置となっていて、もっと大きなビジョン的な話を期待していた私は、少し物足りなさを感じました。しかし、これは Windows Azure も、SilverLight も、Windows 7 もリリースされ、アプリケーションをどうするかという段階になっているということを意味しているということだと理解しました。

パートナーのセッションで興味深かったのは、宝印刷の話と、キャノンの話でした。宝印刷は機密情報を含んだドキュメントを扱うために、Windows Azure のクラウドと、自社データセンターの組み合わせることで、クラウドを使いながらもデータセキュリティの責任は自社のコントロール化に置くという考え方でシステムを構築しているということでした。アプリケーションは、海外のクラウドにあって、データは日本のデータセンターに置くということだと、データアクセスに太平洋を大福する必要があるので、それによるレスポンスの遅れが気になりましたが、今後の一つの方向性を示す物だと感じました。キャノンは、MFP (Multi Function Printer) を Azure につなげるという考え方を示されていて、マイクロソフトが強く打ち出している、デバイスとの連携の中での重要な位置づけになる考え方だと感じました。

マイクロソフトは最近、デバイスとの連携に非常に力を入れています。これは、Three-Screen Strategy と呼ばれるもので、簡単に言うと、これまでの PC のスクリーンに加えて、モバイルデバイスとテレビの3つのスクリーンをユーザ側の入出力デバイスとしてサポートしていくという戦略です。クラウドコンピューティングによりサーバー側にスケーラブルなシステムを提供することが可能になったことで、重い処理はクラウドで処理できるため、ユーザ側のデバイスはユーザの使いやすさに特化したものにすることができるようになりました。現在は、まだ PC でしかできないものがありますので、PC も Three Screens の一つに含まれていますが、今後は PC であっても汎用のデバイスという位置づけでなく、PC を使うことが最も効率的なケースだけでしか PC は存続できないと感じています。例えば、持ち運んで場所を気にせずに使いたいなら、携帯電話などのモバイルデバイスを使えば良いし、もっとリアルな映像を見たり、ゲームをしたりするのなら大型のテレビの方が適しています。その考え方を進めると、Three Screens というのは、象徴的にそう呼んでいるだけで、実際はマルチでバイス対応ということだと思います。そのデバイスの中には、スクリーンを持たない物ももちろん含まれるでしょう。

これまで、PC 用の OS と、その上で動く Office アプリケーションをビジネスの中心としてきたマイクロソフトですが、クラウドコンピューティングの Windows Azure に踏み込んだことで、大きく戦略が変わってきているようです。これは、コンピュータの歴史の変換点の象徴だと思います。遅くとも5年後くらいまでには、この変化の結果が見えていると思います。

Katsushi Takeuchi

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竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

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