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IBM が提唱している Smarter Planet は、これまで感じていた、コンピュータによって改善可能ではあるが、実現できてない多くの問題を思い起こさせてくれる。地球温暖化に関連して、CO2 ばかりが取り上げられるが、CO2 削減と世界を便利にすることは、必ずしも一致しない。

アメリカのいくつかの地域で、交通量をコントロールするために高速道路の通行料を利用する仕組みが始まっている。アメリカでは、通常の高速道路は無料であるが、特に都市の近郊では渋滞が激しく道路の利用効率が下がってきている。それを改善するためにすでに全米で、Car Pool Lane という優先レーンが導入されている。車社会のアメリカでは、ほとんどの車に乗っている人はドライバー1人ということが多い。仮にすべての車に2人乗るようになると、車の数は半減して現在の渋滞はなくなるであろう。1台に多くの人が乗ることを推進するために、都市近郊の多くの道路で1台の車に2名以上(場所によっては3名以上)乗っているときだけ使える優先レーンが用意されている。一人しか乗っていない車が渋滞で止まっているのを見ながら、2人以上乗った車はラッシュの時間帯でも、ひどい渋滞に巻き込まれることなく、目的地に行くことができる。

Car Pool Lane は、車の数を減らすという効果をある程度出しているに違いないが、このような優先レーンを用意しても、そのレーンを走る2人以上乗車している車の数は、期待ほど多くなっていないようだ。そうすると、せっかく3レーンあるどうろでもそのうち一つのレーンが有効に利用されていないという状況が発生する。Car Pool Lane は、ガラガラ状態ということである。

この Car Pool Lane という資源をより有効に利用しようという取り組み (HOT Lanes) が、たとえばシアトル近郊の SR167 という道路の一部区間で実施されている、「一人乗車の車でも料金を払えば、空いている Car Pool Lane を走ることができる」仕組みである。

HOT Lanes 実施区間

さらに、面白いのは、このレーンの通行料は渋滞の状況によって変わる(当然渋滞がひどいほど料金が高くなる)ことである。ワシントン州のこの取り組み (HOT Lanes) に関するページに詳しく書かれているが、以下に簡単に説明する。

このレーンは、HOT Lanes が実施されている区間の中に数キロメートルごとに分割して設置されている。そして、それぞれの区間ごとに料金が設定される。料金は渋滞の状況によって変わるため、レーンの入り口にリアルタイムで料金が表示される。ドライバーは渋滞状況と、自分の急ぎ度合いと、料金を考えて優先レーンを使うかどうか決めなければならない。レーンの入り口を通過すると、あらかじめ購入していた ETC のような装置を使って課金される(らしい。装置は見たことがないので)。このレーンは、2人以上乗っている車は、その装置がついていなくても、通ることができる。一人乗車のときだけ、料金がとられる。アメリカの多くの仕組みと同様に、料金を払わない人の侵入をあらかじめ防ぐ装置などは設置されていない。おそらく、カメラかなにかが設置されていて、違反をした場合のみ捕まえることになっていると思う。違反をする人の数が少ない場合は、この方法のほうがコスト安である。

料金を払えば、優先レーンを走ることができるという仕組みは、賛否両論あるかもしれないが、優先レーンを走る人が増えれば、通常のレーンの渋滞も少なくなる。渋滞に応じた料金の仕組みも含めて、道路という限りある資源を有効に利用することで、トータルの渋滞時間を削減するという考え方には共感する。そして渋滞が少なくなると車の平均燃費が改善して、最終的にCO2削減につながる(かもしれない)。「かもしれない」と書いたのは、この取り組みがまだ実験中であるためだ。すでに1年くらい運用されているようなので、実績を見てみたい。

Katsushi Takeuchi

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竹内 克志

竹内 克志

電子機器のハードウェアとソフトウェアの融合を模索中。
日本およびアメリカで一貫してソフトウェアの製品開発を担当。ソフトウェアに限らずテクノロジー全般に興味を持つ。

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