| « 2007年4月13日 | 2007年4月16日の投稿 |
2007年4月24日 » |
従来型メディア企業とネット系企業との提携のニュースは最近では珍しくもなくなってしまいましたが、これはちょっと注目すべきと思ったのが、数日前のの米CBSの発表(英文)です。(この元記事、見逃していましたが、heatwaveさんの 「P2Pとかその辺のお話」というブログで知りました。このブログ、タイトルだけ見るとちょっとあやしげですが、コンテンツ産業の将来をまじめに考えている良ブログです。おすすめです)。
さて、今回のCBSの発表のポイントは、Brightcove, Joost, Veoh Networks, Sling Media, AOL, Microsoft, CNET Networks等の多数の動画サイトと提携してCBSのコンテンツを広告料モデルで提供することをを発表しただけではなく、これらの提携は排他的ではないとしている点です。たとえば、CBSは既にYouTubeと提携してますが、今回の発表後もその関係が変わることはありません。つまり、CBSは媒体に関しては全方位外交でいくということであり、排他的な提携によりコンテンツと媒体をバンドルしようとする従来の一般的やり方とは正反対の方向性と言えます。
そもそも、エンターテインメント・ビジネスを考えるときにはメディア(媒体)とコンテンツは明確に分ける必要があると思います。従来型テレビ局はメディア(=放送電波)とコンテンツ(=番組制作)が一体になっているわけですが、これは別に一体である必要はありません。せっかく金をかけてコンテンツを作ったのだからできるだけ多くのメディアを通じて消費者に提供することで利益を稼ぐというのは当然の戦略です。
前にも書きましたが、この考え方は、コンピュータのオープン化にもたとえられると思います。ハードウェアが高価でかつベンダー独自であった時にはソフトウェアはハードウェアに従属する存在でした。しかし、ハードウェアがコモディティ化して、オープン化したことで、できるだけ多くのプラットフォームで稼動できるポータブルなソフトウェアのビジネス(マイクロソフト、オラクル、SAP等)の有効性が増したわけです。そして、ハードのオープン化とソフトウェア・ビジネスの独立化によりユーザーは大きな利益を享受でき、その結果、IT市場全体も拡大しました。その一方で、独自ハードとソフトのビジネスは消え去りはしないものの、主流の存在ではなくなりました。
コンテンツについても、コモディティ化(=多様なコンテンツが比較的安価に制作可能になった)とオープン化(=コンテンツをTVでもネットでも携帯でも観られる技術的基盤が整った)により、同様の動きが生じるのは当然と思います。
JASRACが、能登地震の被災地に対して著作権使用料の徴収を一時的に行わない(と言っても3ヶ月間だけですが)とのプレスリリースを出しました。新潟地震の時も同じようなことがあったと思います。
まあ結構なことではありますが、JASRACが管理している著作権は、本来的にはJASRACの持ち物ではなく、JASRAC会員である作詞家・作曲家の持ち物である点には注意が必要でしょう。法律上は著作権はJASRACにあるのですが、JASRACは会員との契約により著作権を一定期間信託管理しているだけです。
信託管理とは、投資信託をイメージするとわかりやすいですが、人から財産を預かって、その財産を元にバリューを生み出して、財産の元々の持ち主等に還元する仕組みです。財産を預けた人は信託管理者(受託者)がそれをどう活用するかについてはいちいち口出しできません(投資信託でどの株を買えとかいちいち指定できないのと同じ)が、受託者は財産が生み出すバリューを最大化する忠実義務を負います。仮に投資信託受託者が、被災した企業の経営を支えるために、人道的見地から株を買い支えたりしたらそれは忠実義務違反ではないかと思います。
JASRACによればこれは理事会の決定なので、会員全体の意向とみなされるそうであります。では、被災地の人を元気づけるためのチャリティコンサートを行う場合はどうかというと、これは減額はされる可能性はあるが、しっかり著作権料は徴収されるそうです(参考記事)。
正直、ずいぶん恣意的なオペレーションだなあと思います。もちろん、人道的支援を否定するものではありませんが、しっかり著作権料は徴収して会員に還元した上で、会員や職員の中から寄付をしたい人が被災地に寄付すればよいのではと思います。JASRAC役員の方がポケットマネーから寄付すれば、天下り批判も多少はやわらぐかもしれません。
話はちょっと変わりますが、このように信託管理をしているために、昔は、「自分が作った楽曲だけをコンサートで演奏してもJASRACに著作権料を徴収される」という、一見、不合理な事態が発生していました。今では約款の改正により、事前に申請すれば自分の曲を演奏するための著作権料は払わなくてすむようになったようです。(07/05/06追加: これは非営利の場合のみでした。Webで自分の作品を無料公開するとかそういう場合に適用されるということです。)
さらに、全然別の話ですが、ついでに見付けたプレスリリースで例の川内康範氏への対応について
同氏から要請があった場合は、その内容等を慎重に検討して対処することとしています。
等々と書いてあります。しかし、前にも書いたように同一性保持権については著作者本人にのみ専属しますので、JASRACの管理対象ではありません(そもそも、他人にライセンスしたり、譲渡したりということができません)。JASRACのサイトにも
JASRACも著作者人格権の問題には関与できません。
と書いてあります。
この後に「(ただし、政治的影響力の強い方についてはこの限りではありません)」と付記した方がよいような気がします。
| « 2007年4月13日 | 2007年4月16日の投稿 |
2007年4月24日 » |
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。

顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
悩んだときの、自己啓発書の触れ方
考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
なんて素敵にフェイスブック
部下を叱る2つのポイント
第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命