栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

« 2007年1月13日

2007年1月14日の投稿

2007年1月15日 »

一部で話題になっている2ch.netのドメイン名仮差し押さえというニュースですが、今の所、ソースがZAKZAK(夕刊フジ)しかないので、どれくらい信憑性があるものなのかわかりません。仮に信憑性ありということで話を進めると、そもそも、ドメイン名は仮差し押さえの対象となる財産権なのかという論点があります。

商標権や特許権は財産権なので差し押さえの対象になります。この点は疑いありません。ドメイン名については、商標みたいなものなので財産権であり、ゆえに、差し押さえの対象になるという考え方もあれば、単なる住所みたいなものなので財産権ではないという考え方もあって確定してなかったと思います(あくまでも「思います」です。この辺、詳しい方いらしたら教えてください)。もし2ch.netのドメイン差し押さえに関して裁判所がドメイン名は財産権かどうかの判断をしてくれれば、その副産物として、今後のドメイン名と商標権の抵触の問題もよりクリアになるので良いのかなとも思います。

また、whoisで見る限り2ch.netのドメインの持ち主はひろゆき氏個人ではなく、Monsters Incという法人になってますが、法人格否認の法理なんていう解釈論があったりするので、これだけで、2ch.netの持ち主は別法人なので関係ないですとまでは言えないと思います。また、Winnyの金子氏の弁護人をされた壇先生のブログによれば、他にもいろいろややこしいことがあり、現行法ではドメインの差し押さえはそう簡単には行かなさそうです。これ以上の議論は自分の専門外なのでやめときます。

で、ここから先が私の言いたいことなんですが、仮に2ch.netというドメインが使用不能になっても2ちゃんねるはなくらないですよね。別のドメイン名でやれば済む話です。Princeではないですが、「かつて2ch.netと呼ばれた掲示板」として生き続けていくでしょう。だいたい、既に、3ちゃんねる、4ちゃんねる(日本語版と英語版あり)も稼動してますし、似たような匿名型の掲示板サイトはいっぱいあります。要は人が集まってくるかどうか(とそれを支えられるサーバがあるかどうか)だけのお話しです。

要するに、2ちゃんねるの実体とは何なの?というと、ドメイン名でもなければ、サーバ群でもなく、ひろゆき氏等の個人でもないということで、実体は不特定多数のコミュニティですとしか答えようがないということです。

Winnyに関するエントリーでもちょっと触れたのですが、不特定多数によるコミュニティというのは、今の法律では想定されてない実体なので、コミュニティを差し押さえるとか、コミュニティを訴えるというのは観念しがたいものがあります。もちろん、2ちゃんねるにおける違法行為や賠償金を払わないひろゆき氏の行動を正当化するものではありません。

じゃあ、どうすればよいのよ?というと、結局、運営サイドがプロバイダー責任制限法に基づき、違法投稿を迅速に削除し、裁判所の命令があれば違法行為者の情報を提供するというやり方しかないのかなと思うわけです。

栗原 潔

« 2007年1月13日

2007年1月14日の投稿

2007年1月15日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP


プロフィール

栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

詳しいプロフィール

カレンダー
2012年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
kurikiyo
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


Special

- PR -
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ