ドメイン死すとも2ちゃんは死せず
一部で話題になっている2ch.netのドメイン名仮差し押さえというニュースですが、今の所、ソースがZAKZAK(夕刊フジ)しかないので、どれくらい信憑性があるものなのかわかりません。仮に信憑性ありということで話を進めると、そもそも、ドメイン名は仮差し押さえの対象となる財産権なのかという論点があります。
商標権や特許権は財産権なので差し押さえの対象になります。この点は疑いありません。ドメイン名については、商標みたいなものなので財産権であり、ゆえに、差し押さえの対象になるという考え方もあれば、単なる住所みたいなものなので財産権ではないという考え方もあって確定してなかったと思います(あくまでも「思います」です。この辺、詳しい方いらしたら教えてください)。もし2ch.netのドメイン差し押さえに関して裁判所がドメイン名は財産権かどうかの判断をしてくれれば、その副産物として、今後のドメイン名と商標権の抵触の問題もよりクリアになるので良いのかなとも思います。
また、whoisで見る限り2ch.netのドメインの持ち主はひろゆき氏個人ではなく、Monsters Incという法人になってますが、法人格否認の法理なんていう解釈論があったりするので、これだけで、2ch.netの持ち主は別法人なので関係ないですとまでは言えないと思います。また、Winnyの金子氏の弁護人をされた壇先生のブログによれば、他にもいろいろややこしいことがあり、現行法ではドメインの差し押さえはそう簡単には行かなさそうです。これ以上の議論は自分の専門外なのでやめときます。
で、ここから先が私の言いたいことなんですが、仮に2ch.netというドメインが使用不能になっても2ちゃんねるはなくらないですよね。別のドメイン名でやれば済む話です。Princeではないですが、「かつて2ch.netと呼ばれた掲示板」として生き続けていくでしょう。だいたい、既に、3ちゃんねる、4ちゃんねる(日本語版と英語版あり)も稼動してますし、似たような匿名型の掲示板サイトはいっぱいあります。要は人が集まってくるかどうか(とそれを支えられるサーバがあるかどうか)だけのお話しです。
要するに、2ちゃんねるの実体とは何なの?というと、ドメイン名でもなければ、サーバ群でもなく、ひろゆき氏等の個人でもないということで、実体は不特定多数のコミュニティですとしか答えようがないということです。
Winnyに関するエントリーでもちょっと触れたのですが、不特定多数によるコミュニティというのは、今の法律では想定されてない実体なので、コミュニティを差し押さえるとか、コミュニティを訴えるというのは観念しがたいものがあります。もちろん、2ちゃんねるにおける違法行為や賠償金を払わないひろゆき氏の行動を正当化するものではありません。
じゃあ、どうすればよいのよ?というと、結局、運営サイドがプロバイダー責任制限法に基づき、違法投稿を迅速に削除し、裁判所の命令があれば違法行為者の情報を提供するというやり方しかないのかなと思うわけです。