栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

« 2006年12月12日

2006年12月13日の投稿

2006年12月14日 »

#この記事はあくまでも個人的な感想です。「刑法上の幇助犯にあたるか」というようなお話は基本的に弁理士業務の範囲外なので。

Winny開発者が有罪という地裁判決が出てしまいましたね(どこかに判決文アップされてないでしょうか?注:裁判所の判決文には著作権はありません)。

権利者の許諾なく著作物をアップロードするのは著作権(送信可能化権等)の侵害行為であること、ゆえにWinnyの使用は著作権侵害となる可能性がきわめて高いということを大前提として、ユーザーではなく、ソフトの開発者が幇助犯として有罪となるのは違和感を感じざるを得ません。まあ、作者が既存の著作権制度をぶちこわすというような発言をしていたことが客観的に認められるため、有罪とせざるを得なかったという事情があるのでしょうが。

ただ、ややこしいのは、旧Napsterのように特定の企業が運営しているP2Pであれば、検察側はその企業を訴えればすみます。Winnyのように特定の組織が運営しているのではないP2Pシステムでは誰を被告にすればよいのかという議論があります。たぶん、へビーユーザーを対象に訴えるしかないんでしょうね。「P2Pにはclass action(集団訴訟)が必要だ。ただし、今回は消費者が原告ではなく、被告の立場になるが」なんて誰かが言ってたのを思い出しました(誰だか思い出せません、もしご存知の方がいたら教えてください。)まあ、消費者を訴えるわけにもいかないので(だいたい警察や政府内部にもWinnyユーザーがいるのは数々の暴露ウィルス事件で明らかになってしまってますし)、開発者を訴えるしかなかったということなのでしょうか。

もし、今後、Winnyと同じようなP2Pシステムを開発した人が出てきて「あくまでも合法的なコンテンツ・デリバリのために作りましたよ、著作権違反なんてとんでもない」と主張し続けたらどうなるのでしょうか?P2Pソフト自体をオープンソースで開発したらどうなるのでしょうか?開発コミュニティ全体を共犯者として公訴するのでしょうか?

既存の法律の仕組みにどんどんほころびができているという気がします。

そういえば判決文を探している最中に「WinnyはCD売上を減らさず~慶應助教授の研究に迫る」なんていうITmediaの記事を見付けました。単に相関関係があるから因果関係があるはずだというようなアホな研究ではないようです(もちろん、慶応の教授の研究だからと言って絶対正しいとは限りませんが。)

追加:  池田信夫氏によるWinny事件の社会的コスト。ご一読をおすすめします。法律の議論はさておき、経済学者の目で見るとどうなのかというお話です。

栗原 潔

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栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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