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池田信夫氏のブログで、Pandoraというネット・ラジオ(?)のサイトを知りました。アルゴリズム・ベースで自動的に選曲を行って、ストリーミングしてくれるサイトです。利用者が好きなアーティスト名や楽曲名を入れると、それと同系統の曲を選んでかけてくれます。たとえば、Pat Methenyと入れるとギター中心の聴きやすいジャズ、Underworldと入れるとポップなインダストリアルを選んでかけてくれます。
自分好みのジャンルを選んでかけてくれるわけですから、聴いてる方もCD(または、iTMSダウンロード)買ってみようかなと思う可能性も高そうで、アフィリエート・ビジネスの効率性は高そうです。Amazonの「この商品を買った人は(略」とは異なり、聴きながら買うかかわないかの意思決定ができるわけなので、コンバージョン・レートははるかに高いでしょう。
では、どうやってこういう仕組みを実現しているかというと、CNETの記事によれば、
Pandoraには、ミュージック・アナリストと呼ばれる従業員が42名いる。その多くはミュージシャンで、音楽理論の素養があったり、正式な教育を受けたことのある人たちだ。アナリストたちは1曲につき20分から30分を費やしてその楽曲の「DNA」を記録する。
ということで、何と人海戦術で曲の属性データベースを作っているようです。コラボレーティブ・フィルタリングとかフォークソノミーとかで、ユーザー自身の集合知により意識的・無意識的に属性データベースを作っていくアプローチではないようです。これは非常にWeb 1.0的であります。スケーラビリティ的な課題はありますが、こういう逆張りもありかなと思いました。
自分が最も影響を受けた本のひとつにMITメディア・ラボのニコラス・ネグロポンテ教授の「ビーイング・デジタル」があります。さすがに1995年出版なので今にして見れば古さは否めないのですが、1995年時点でこれだけの洞察力を持っていたというのはすごいことです。アトムのビジネスからビットのビジネスへのシフト、すなわち、物理的な物をやり取りするビジネスからデジタル情報をやりとりするビジネスへのシフトが起きているというような言い回しはこの本から始まったと思います。
本書は、デジタルに移行することがなぜ革新的であるかを何点か挙げているわけですが、その中でも特に重要なポイントの一つとして、デジタル技術の自己記述性と自動適応性が挙げられています。たとえば、動画を例に取ると、アナログで実装してしまうと、送り手と受け手が一回決めた方法を永遠に守る必要がある一方で、デジタルな実装であれば、記述情報(たとえば、解像度)をヘッダーに書いておけば、将来的に解像度が上がろうが、デバイスの都合で低い解像度しか表示できなかろうが、その場その場で柔軟に対応できるということです。これを読んだ時、自分は「(当時鳴り物入りで開発が進んでいた)アナログハイビジョンに対して米国がなぜデジタル方式にしないのかといちゃもんをつけてくるのは、高度なアナログ技術を持たない米国の外圧」であるという一部の主張がでっち上げであることを痛感しました。
さて、お話変わって、今話題の動画アーカイブサイトのDivX Stage6ですが、画質の良さは感動ものです。YouTubeはおもしろいけど画質がちょっとという不満に見事に答えたわけです。ポイントはDivXという動画圧縮技術にあるわけですが、今後、H.264を使うところが出てくればもっと画質は向上するでしょう。
ここで言いたいことはデジタル通信の世界では画質はちょっと待ってればどんどん良くなるということです。さらに、旧来の低画質(だが高速)のサービスと新しい高品質のサービスが1台の機器、ひとつの通信施設で何の問題もなく共存できます。
要するに、IPでデジタル・データを流すという通信型のモデルにしておけば、何でもありですし、将来の技術革新にも柔軟に対応できます。まさに、「ビーイング・デジタル」のメリットを最大限に享受できるわけです。一方、地上デジタルのようにデータのやり取りの経路をある程度固定してしまうと、新しい圧縮技術が出てきてもそう簡単に対応できないということになってしまいます。放送型のやり方は、デジタルではあっても、「ビーイング・デジタル」のメリットという点では通信型に比較して明らかに不利ではと思うわけです。
#追記
このエントリーを書くにあたって蔵書からBeing Digital(原書)を探したのですが、見つかりませんでした。なので記憶で書いてます。本はペーパーバック版でページがボロボロになってしまったので捨てたような気がします。買い直してもよいのですが、こういう本こそ、e-Bookで出して欲しいです。それともいっそ著作権フリーにしてしまうとか。
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