発想七日!:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 発想七日!

日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

« 2007年12月24日

2007年12月26日の投稿

2007年12月27日 »

この本では、ネタを拾いながら作品を同時並行的に作っていくことを、石を拾って城壁や家を造るプロセスになぞらえて「自然石構築法」と呼んでいます。石を拾う段階では、それがどの作品のどの部分に収まるのかは、分かりません。

タスクは、いちどきにひとつ。しかし仕事は、並列で

昨日のエントリを読んだ知人が面白いリンクを送ってくれました。日本における自然石構築法(文章ではなく、リアルな石積みのほう)である、穴太積(あのうづみ)の達人の講演録です。

 穴太衆は、ほとんど野面石(自然石)を集めて積上げます。

(略)

 さて石の積み方ですが、まず必要な自然石をできる限り集め、2~3日間石の間を廻りながら「どんな顔の石があるのか」を見て覚え、頭の中で図面を描きます。その図面が頭の中で完成してから、初めて仕事に取りかかるわけです。

(日本石材産業協会、「石の四季」2005年1月号、PDF)

いやー、本当に文章づくりと似ていますね。そして話はさらに深い世界へ。ここは少々長めに引用させていただきます。もしご興味の沸いた方は原文も面白いのでお読みください。

粟田家・穴太衆の言い伝えに「石の声を聴き、石の行きたがるところへ遣れ」というのがあります。私も先代から聞いたときには「石が喋るわけでもないし、アホなことを」と思ったものですが、10年、20年と経験を積むに従って“この教えは正しかった”と認めざるを得ません。

(略)

無心で作業していたある時に、ある石を思案の末配置しバールで納めた時、「コトン」という音がしました。音がしたかわかりませんが、私には石が“いい所に据えてくれた”と応えてくれたように聞こえたのです。

そのとき初めて、「先代の言った通り、やはり石の声はある。据える者と石との疎通がある」と納得させられました。それ以後石の配置の際には「お前はどこに行きたい?」と、語りかけ石の気持ちを聞こうと努めると、うまく収まる比率が高くなっていきました。すると結果的に仕事の効率も高まり、完璧とは言いかねますが、何とか穴太衆の仕事ができるようになってきました。

ところが二日酔いなど体調が悪く思考力がないときなどは、どう尋ねてみても石が言うことを聞きません。

(同上)

試みに、「石」を「ネタ」に、「据える者」「穴太衆」を「ブロガー」に、それぞれ置き換えてみましょう。


そのとき初めて、「先代の言った通り、やはりネタの声はある。ブロガーとネタとの疎通がある」と納得させられました。それ以後ネタの配置の際には「お前はどこに行きたい?」と、語りかけネタの気持ちを聞こうと努めると、うまく収まる比率が高くなっていきました。すると結果的に仕事の効率も高まり、完璧とは言いかねますが、何とかブロガーの仕事ができるようになってきました。

来年は、ネタの声をもっと聴こう。

koji

とりわけ気が散りやすい人間だと自覚している僕にとって、『ワインバーグの文章読本』は実に励まされる内容でした。これは「文章読本」ではありますが、文章でメシを食うというワーク(&ライフ)スタイルの話も含まれています。少し広げて言えば、仕事のポートフォリオを意識的に組んで生活を送っている人すべてに有益な本だと感じました。

この本では、ネタを拾いながら作品を同時並行的に作っていくことを、石を拾って城壁や家を造るプロセスになぞらえて「自然石構築法」と呼んでいます。石を拾う段階では、それがどの作品のどの部分に収まるのかは、分かりません。

専業ライターは一度にひとつのことだけを書くことはめったにないのだと知っておくといい。

(略)

わたしのようにいくつかのプロジェクトを並行していれば、石を見つけたとき、「よし、これはAの壁にちょうどよさそうだ」と考えたりする。もちろん、その石はAの山に積む。しかし、単にその石が気に入ったから拾ってきたという場合もある。そのときは特にどの壁用と決まっていないXの山に積む。ここの石は気に入ったものばかりなので、何か壁にはめ込むのにちょうどいいおもしろいものや興味をひくものを探して行き詰まったときは、この山をのぞいてみる。

ジェラルド・M・ワインバーグ著/伊豆原 弓訳『ワインバーグの文章読本』 翔泳社 2007年

年末に向けて来年の仕事のポートフォリオを考えていて、GTDでいうところの「プロジェクト」リストの膨大さに圧倒されてしまっていました。仕掛かりばかりじゃないか、オレはなんと中途半端で気の散りやすい人間なんだろう、と……。しかし、この本のおかげで、「いやいや、それでいいのだ!」と、ハッというよりホッと、できました。

ちなみに翁の仕掛かりはこんな感じです。上には上が、いや下には下がかな、よく分かりませんが、いるものだ。

この原稿を含めて、30冊以上の本が完成・未完成のさまざまな段階にある。月刊誌のコラムの未完成原稿が36件、その他の出版物の原稿や出版の予定が決まっていない原稿が27件ある。さらに、具体的な形にならずに頭の中にある断片は膨大な量にのぼる。それらはいつか使うかもしれない。はたまた使わないかもしれない。

(同上)

koji

« 2007年12月24日

2007年12月26日の投稿

2007年12月27日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

堀内 浩二

堀内 浩二

(株)アーキット代表。
「個が立つ社会」をキャッチフレーズに、起業・転職支援やビジネスリテラシー研修などを提供しています。 個人向けにはチャレンジ応援サイト「起-動線(きどうせん)」を運営。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
koji
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ