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アトランタで、リーン・ソフトウェア・アンド・システムズ・カンファレンス(Lean Software and Systems Conference)2010 が開催されています。

とても行きたかったのですが、今回はいけなったので、ちょっと起こっていることの概要を。プログラムはこちら。

http://atlanta2010.leanssc.org/agenda/

Leanssc この LSSC というコンセプトは、もちろんソフトウェア開発の文脈ではアジャイルからはじまっていますが、より、Lean 運動の影響を強く受けており、工学との融合、マネジメント・リーダーシップとの融合、ソフトウェアとシステムの融合、を目指しています。Leanは、医療、建築、製品開発、の分野で現在とてもホットな領域で、さまざまな産業界が注目しているムーブメント。ソフトウェア開発では、Mary Poppendieck が先導を切ってアジャイルとリーンのミッシング・リンクを見つけました。その後、David Anderson と Alan Shalloway がその先導をしてKanban(かんばん)という方法論がこの動きの1つのインスタンスです。(図はAlan Shallowayによる)

トラック構成はマネジメントトラック、カンバントラック、エンジニアリングトラックから構成され、2日間の開催です。

キーノートは、Managing The Design Factory でリーンの考え方をプロダクト開発に適用したDon Reinertsen。ぼくもイギリスで一度彼の講演を聞きました。彼は、「製造業から始まったリーンの考え方をいろんな産業が応用しているが、常にコンテキスト(問題側)から考えるべきだ、方法論にあわせて問題をすりかえるべきでない」という話をします。例えば、製造業では、平準化をしてゆれをなくしますが、ソフトウェア開発、製品開発では、ゆれそのものがイノベーションの源泉なのです。また、プル、というが、プルとプッシュはそれぞれ強みがあり、問題にあわせて使い分ける。Best Practice というものが危険で、そのHowでなく、WhyとContextが重要であること。また、開発プロセスは、それを行う人が決め、変え続けるべきであり、外から与えられるものではないこと。このように、リーンのコンセプトをより原則側に(Why側に)一旦戻して、そこからソフトウェア開発向けのリーンを作り出そうという動きがはじまっています。先日の AgileJapan2010 でも、Alan が「ムダ取り」の定義をソフトウェア用に変えないといけないという話をしており、彼は「遅れ」という概念でもって、開発のムダを表現しようとしていました。

エンジニアリングトラックを眺めると、Joshua Kerievsky が Limited Red Society という講演をやっています(これは、Limited WIP Society をもじったものです)。彼は、TDDにおいてテストが「赤になっている時間」を小さく保つこと、を提唱しています。コーディングの現場では、WIP(Work In Progress)は、「赤になっているテスト」、とトランスレートできるのです。彼は、AsianPLoP2010で東京に先月来た際に、この赤の状態がどれだけ続いているか、を記録する開発環境(Eclipseプラグインだったと思う)を見せてくれました。

マネジメントトラックでは、Mary Poppendieck が、人事評価の「目標管理」(MBO)がなぜ悪いか、数値による目標設定のどこがいけないか、を話します。これは、彼女らの「リーンソフトウェア開発」シリーズの第三弾である、"Leading Lean Software Development: Results are not the point" (リーンソフトウェア開発のリーダーシップ: 結果は重要ではない!)の中に出てくる話(この本の訳が始まっています)。デミングは数値やノルマの設定がいかに悪いかを「14の深遠な知識」の中で説いていますが、その中で、何かが間違っている場合は、人ではなく、システム(人を取り巻く状況)が悪いのであって、それを取り除くのがマネジメントの仕事、と言っています。システムズシンキングを使って状況分析をし、問題を取り除けと。今回の講演でも、twitter経由で、「人の行動はその人が置かれた状況によるのであり、その人自身の責任にするな(Don't attribute people's behavior to the way they are rather than to the situation they are in. )というつぶやきが #lssc10 タグで流れていて、きっとその話をしているのだろうな、と推測されます。

カンバントラックでは、もちろん David Anderson の Kanban の話もありますが、今回、James Shore と Arlo Belshee がKanbanの話をしています。彼らはともに Gordon Pask Award の受賞者で、Arlo は、ぼくと同じ 2008 年の受賞です。彼らはKanbanムーブメントの早い時期に、ブログ等でKanbanを取り上げていて、Portland派Kanbanと言われています。この話も楽しみです。彼らの考えるKanbanについては、James Shore のブログが参考になります(これが Portland 派の Kanban です)。ArloのYouTubeビデオも見てください。Naked Planning と言われていますが、イテレーション・レス、見積・レス、が特徴です。

ぼくは参加できませんでしたが、twitter のおかげで、#lssc10を今日も流し読みしています。

平鍋

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プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

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