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Trichordsales チェンジビジョンで開発しているツール、TRICHORD(トライコード)は、アジャイル開発を支援するツールだが、「タイムボックス管理」という視点で見るとかなりいろいろな適用場所がある。

TRICHORDのTRIは「3」という意味で、「トキ(time)」「コト(thing)」「ヒト(team)」の調和を目指している。トキは、タイムボックスで、「プロジェクト」「リリース」「イテレーション」という3階層でブレークダウン。そして、コトも「フィーチャ」「ストーリー」「タスク」という3階層でブレークダウンし、それをタイムボックスに入れる。そして、ヒトが、タスクにサインアップし、タスクの状態(ToDo/Doing/DONE)をチームで共有する。---これだけ。本当に「これだけ」、なのだ。

例えば、写真はチェンジビジョンのマーケティング担当者が、「セミナー開催」というプロジェクトの、「セミナーの告知と募集」というストーリーを、「ウェブサイトに告知掲載」、「参加者一覧のExcel作成」というような個々のタスクに分け、それを ToDo/Doing/DONE で管理している。左下にある、バーンダウンを見ていれば、開催までに間に合うように進捗管理することができる。ストーリーカードには、色をつけて同じ分類のものをまとめることができるし、この色は、そのストーリーをブレイクダウンしたタスクカードに継承される(このクールさには拘ってみた)。くわしい記事は、こちら。

この例でも分かるように、「やること」があって、終わらせる「期日」があり、そして、複数人でやっている、そんないろんな「プロジェクト」にはTRICHORDはうってつけの「プロジェクトをやっつけろ!」ツールだ。

TRICHORDは、アジャイル・プロジェクトマネジメント・ツール、ということもできるが、GPD = Getting Project Done だ、ということもできる。

先日、機会を頂いてトヨタの人にもこのツールを見てもらったところ、「おー、なかなか、おぬしら、分かっているではないか!」と好評を頂いた。出来たか出来ていないか、0か1に必ず倒れるくらいに作業をブレークダウンし、それをタイムボックスという「固い箱」に入れる感覚。こうすることで、パーセント進捗のような曖昧さを避ける(パーセント進捗だと、80%に達した後、90%→95%→98%となることが多い)。トヨタの工場でも、長い時間が掛かる処理は進捗をピンポン玉で表示するという(ピンポン玉10個で終了、さらにそれをブレークダウンする場合はパチンコ玉を使うという)。

ウォーターフォール型の開発だって、1つのフェーズの進捗管理をこのツールで行うことができる。タイムボックス(トキ)があり、やること(コト)がある。そしてチームを組んで(ヒト)やっているのだ。

さらにおもしろい使い方としては、プロジェクトテンプレート、として、WBS(Work Breakdown Structure)を定義して、それを配布して使うということもできる。例えば、最初の例の「セミナー準備」の標準タスクブレークダウンを作っておくと、何度も繰り返してセミナーをする場合に再利用可能なナレッジとなる。

プロジェクトマネジメントの肝の1つは見える化。TRICHORDは、複数人が協力して仕事を見える化し、チームワークを使って、タイムボックス重視のプロジェクトをやり遂げるためのツール。そんなツールに仕上がりました。ぜひお試しを!
http://trichord.change-vision.com/index_ja.html

平鍋

Communication 資料公開はじめました!ぼくの資料は、あの時、書画カメラに向かってフリーハンドで描いた絵の「下書き」も含めました。前のブログで書きましたが、

ソフトウェア開発は壮大な伝言ゲームであり、ソフトウェアはビットの塊ではなく、コミュニケーションの塊で出来ている。そして、このコミュニケーション場を広帯域に保つこと、そして、その場に流す情報を、できるだけ誤解が少ないもの(すなわち、見えるもの、触れるもの)にしていく必要がある。さらに、このコミュニケーションは鎖状になっていることから、TOC的には「最も弱い部分」(契約を跨ぐ部分、場所を跨ぐ部分)を厚くすることが必要で、厚くする方法は、そこにWin-Winを持ち込む、対面で話す環境を作る、などがあり、マズロー的なキラーソリューションとして、「一緒に食事をする」ということをお勧めしました。そして、もう1つの方法はこの鎖を「わっか」にして繋いでしまい、そこに要求を小分けにして流すことをぐるぐるやる。これがアジャイル。

という話です。現在公開されている資料は、すべてこちらにリンクがあります。

http://www.objectclub.jp/event/2006christmas/files/

2つのトラックに分かれての開催ですので、見逃したセッションも多いでしょう。ぜひ、裏番組もチェックしてくださいね。うちのメンバーの資料も見ごたえあるのがありますね、特に木下さんの資料はいい!最近、プロジェクトの現場にどっぷり入ることが少なくなってきたからだろうか、こういう話にぐっときます。

平鍋

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プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

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