« 2006年11月2日

2006年11月3日の投稿

2006年11月4日 »

Reqbook 昨日発売されました!『ソフトウェア開発201の鉄則』などでも著名な、アラン・デービスの新刊です!

『成功する要求仕様、失敗する要求仕様』http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822282910/xpjp-22

もちろん、原著もいいのですが、本書は過去に私と何作も共訳してくれた翻訳の達人(本当に日本語がうまい)、高嶋優子の新訳であると同時に、私が尊敬するお二人の師匠、萩本順三さんと、安井昌男さんの監修なんである。(萩本さんは、『要求開発』を書いた著者のお一人ですし、安井さんは『戦略的要求開発のススメ』を書いています。もし、まだの方は、合わせて読まれることをお勧めします)

Reqbooke 本書、原題は

"Just Enough Requirements Management - Where Software Development Meets Marketing"
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0932633641/xpjp-22

で、この「Just Enough」な感じを、邦題では「失敗と成功」というフレーズにしているのもなんともかっこいいです。

書かれている内容は、顧客(市場)からの要求をどうやって製品仕様として採用していくか、というプロセスと考え方を書いた物。

市場からの要求をあれもこれも、みーんな作りたい、と思っても、開発リソースは限られている。さて、どれを優先するか?

という話。

この「緊急・重要仕様の優先度づけ」を「要求のトリアージ」と呼んで、多数の負傷者が出た医療現場での、患者の優先度付けをメタファーとしている。

Jerm1Jermx 図は、全体のプロセスと、トリアージプロセスである。

今年から来年にかけては、「要求」の年と呼ばれるでしょう。それは、日本でも「要求開発」が盛り上がり、海外でもアラン・デービスはじめ、「要求」にまつわる良書が次々に出ている。ソフトウェア開発においても、ビジネスの視座から「何を」作ったらよいか、という方向に視点は移っているように思う。

でも、ぼくはプログラマとして、アーキテクトとして、何をつくりたいか、という自分自身から湧き出る欲求をまだ捨ててはないけどね。市場と会話の中で、その「何をつくりたいか」を創発して行きたいと考えている。それは、双方向の対話の中で徐々に、あるいは突然に作られるもの。「作り手が持つ情報」と「使い手が持つ情報」が出会い、はじめて発見されるもの。それは、もしかしたら、セレンディピティに近いような、そんなものがイノベーションの源泉なんじゃないだろうか、と思う。

平鍋

« 2006年11月2日

2006年11月3日の投稿

2006年11月4日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
hiranabe
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ