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マインドマップの開発者、トニーブザンは、

実は人間の記憶力は無限に近い。よく「記憶力」がない、という言い方をするが間違いだ。本当は、「脳には入っているが思い出せない」だけ。すなわち、「想起力」がないのだ。

と言っている。マインドマップを作ることで、そのプロセス、その場の雰囲気、誰と話したか、どう感じたか、などの「コンテクスト」がそのマップに埋め込まれるのだ。そしてそのコンテクストと「自分の脳の記憶のフック」が繋がる。そして、その記憶を取り出すことができるようになる。これが、記憶力のからくりだと思っている。situation-embedded 、context-embedded な絵。それがマインドマップ。

Kuwagataそう考えていたら、まさに、そう使っているエンジニアがいる。
http://d.hatena.ne.jp/HappymanOkajima/20060611/1149958103

ぼくはムシを管理したいのではなくて、記憶したいのだ。マインドマップは発想するためのツールだといわれるけど、それを今回は記憶というか「ふと思い出してにやにやと眺める」ためのツールとして使ってみたことになる。思いのほかうまくいったし、しかも楽しい作業だった。Picasa2などの画像管理ツールでも思い出は記録できるけど、JUDEならそこにトピックやリンクなどの付加情報を追加することができるし、マウス操作でトピックを簡単につなぎかえることができるので、手直しも簡単だ。 こうして生まれた「ある夏のコンテキスト」が毎年積み重なっていけば楽しいな。

こういうわくわくする使い方が、もっともっと出てくるとうれしい。

平鍋

脳科学から、マインドマップの有効性について書いてあるブログを発見。
http://blog.livedoor.jp/chemconsulting/archives/50287291.html

とってもざっくりと要約すると、

情報が、海馬体のフィルターから新皮質に蓄積される経路は2つある。

  1. 多シナプス経路
  2. 直接経路

「意味記憶・物体認知」系の情報処理は「直接経路」を使うが、マインドマップは意図的に「空間記憶・エピソード記憶」を入れ込むことで「多シナプス経路」を活性化し活用している。

ということだ。この「エピソード記憶」というものに興味がある。ぼくは、マインドマップをユーザインタビューを通してITで活用することの利点として、

  • 想起性(思い出せる)
  • 俯瞰性(全体を見れる)
  • ゲシュタルト(空いていると埋めたくなる)
  • 速記性(すぐかける)

というマインドマップの特性が活かせると考えている。特に、「想起性(evocativeness)」というのがこのエピソード記憶というものと対応するのだろうか?一度描いたマインドマップを後で見ると、「あ、あのとき、こういう状況で描いたものだ」と思い出しやすい。ぼくには、マインドマップがコンテキストをエンベッドして、脳の記憶フックとつながっている感覚なのだ。

まだ英語なんですが、このあたりを論文にしています。
http://jude-users.com/en/modules/weblog/details.php?blog_id=6

平鍋

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プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

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