« 2005年11月1日

2005年11月2日の投稿

2005年11月5日 »

ユーザ要望の聞き取りをする場合、利用者や利用場面を聞くことは重要だ。しかし、もっとも重要なことはなんだろう?それは、そのシステムを作る目的は何か、だ。要求開発でも言われているように、「正しくない要求を正しく実装しても意味がない」。そのシステムを作る目的をはっきりさせることが、要求を聞き取る場合に最も重要なことだと思う。

目的はいくつかある、というかもしれない。では、究極の目的はなんだろう。それを聞き出す、魔法の質問がある。

作ろうと思った動機はなんですか?

この質問は、ぼくが家をたてるときにミサワホーム福井支店の営業、大野尊言さんに聞かれて、感動したものだ。ぼくは家を建てるときに、自分でラフなRFPを書いて数社に提案をお願いしようとした。他のハウスメーカーや工務店が、予算、間取り、和洋、などを聞いてきたのに対して、大野さんは、この質問をした。「家を建てようと思った動機はなんですか?」

ぼくは、「家族が増えて(子供3人)家がせまくなった、と思っていたところ、隣の土地が空いた。隣の土地は借金をしてでも買え、ということわざがあるから、この機会に、今の家(親父のもの)の横に、新しい家を建てようと思った。」と答えた。この答えの中には、究極の目的があるように思える。そして、

その目的には、ステークホルダーを特定し、そして、そのステークホルダーの満足要件が含まれている。

おそらく、もっとも「外してはならない」要件が、この「動機」というものには入っているのだろう。そもそも、なぜ、これを作ろうとしたのか。これを満たさないシステムは、意味がない、といえる。ぼくの家は、実際、2世帯住宅ではないが、隣の親父の家とは、渡り廊下で結ぶ構造を取り入れることになったし、大野さんは、ぼくだけでなく、親父ともいろいろ話をしてくれた。

ちなみに、次に聞かれた質問は、家族構成、だ。つまり、アクター側からの視点が重要なのだ。こういう、「機能ではなく、目的と利用者」という質問を繰り返し、その上で家のプランを持ってきてくれた。

家が完成して、半年後に、うちの親父が他界した。新しい家を見てもらえてよかった、と思う。そして、また、大野さんの父親も他界した。「目的」には、おそらく、なぜ作るのか?という問いの答え、また、誰のために?、という問いの答えが含まれているのだろう。

平鍋

« 2005年11月1日

2005年11月2日の投稿

2005年11月5日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
hiranabe
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ