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ユーザ要望の聞き取り方を学ぶー究極の目的とは?

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ユーザ要望の聞き取りをする場合、利用者や利用場面を聞くことは重要だ。しかし、もっとも重要なことはなんだろう?それは、そのシステムを作る目的は何か、だ。要求開発でも言われているように、「正しくない要求を正しく実装しても意味がない」。そのシステムを作る目的をはっきりさせることが、要求を聞き取る場合に最も重要なことだと思う。

目的はいくつかある、というかもしれない。では、究極の目的はなんだろう。それを聞き出す、魔法の質問がある。

作ろうと思った動機はなんですか?

この質問は、ぼくが家をたてるときにミサワホーム福井支店の営業、大野尊言さんに聞かれて、感動したものだ。ぼくは家を建てるときに、自分でラフなRFPを書いて数社に提案をお願いしようとした。他のハウスメーカーや工務店が、予算、間取り、和洋、などを聞いてきたのに対して、大野さんは、この質問をした。「家を建てようと思った動機はなんですか?」

ぼくは、「家族が増えて(子供3人)家がせまくなった、と思っていたところ、隣の土地が空いた。隣の土地は借金をしてでも買え、ということわざがあるから、この機会に、今の家(親父のもの)の横に、新しい家を建てようと思った。」と答えた。この答えの中には、究極の目的があるように思える。そして、

その目的には、ステークホルダーを特定し、そして、そのステークホルダーの満足要件が含まれている。

おそらく、もっとも「外してはならない」要件が、この「動機」というものには入っているのだろう。そもそも、なぜ、これを作ろうとしたのか。これを満たさないシステムは、意味がない、といえる。ぼくの家は、実際、2世帯住宅ではないが、隣の親父の家とは、渡り廊下で結ぶ構造を取り入れることになったし、大野さんは、ぼくだけでなく、親父ともいろいろ話をしてくれた。

ちなみに、次に聞かれた質問は、家族構成、だ。つまり、アクター側からの視点が重要なのだ。こういう、「機能ではなく、目的と利用者」という質問を繰り返し、その上で家のプランを持ってきてくれた。

家が完成して、半年後に、うちの親父が他界した。新しい家を見てもらえてよかった、と思う。そして、また、大野さんの父親も他界した。「目的」には、おそらく、なぜ作るのか?という問いの答え、また、誰のために?、という問いの答えが含まれているのだろう。

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