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2012年11月27日 »

総務省は、情報通信審議会から、「4K・8K(スーパーハイビジョン)」、「スマートテレビ」、「ケーブル・プラットフォーム」の3分野についての提言を踏まえ、具体的な検討を進めていくために、「放送サービスの高度化に関する検討会」を開催しています。

2012年11月12日に開催された第一回の会合においては、「放送サービスの高度化の現状について」の資料において、、「4K・8K(スーパーハイビジョン)」、「スマートテレビ」、「ケーブル・プラットフォーム」の状況が紹介されています。

中でも個人的に注目しているのが、「スマートテレビ」です。

1.スマートテレビの意義
2.スマートテレビの現状 ①製品、②サービス、③市場
3.スマートテレビ関連の標準化動向
4.スマートテレビに関する諸外国等の状況(欧州、米国、韓国、日本) ①推進体制 ②政策動向
5.検討課題

その内容の一部をご紹介したいと思います。

スマートテレビとは、野村総合研究所の「スマートテレビの利用動向に関する調査」によると、

以下の2つの機能をともに保有するテレビ端末、又は、セットトップボックスなどのテレビ周辺機器 ① インターネット経由の映像をテレビ画面で視聴することが可能 ② 高い処理能力を持つCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)が搭載され、スマートフォン のようにゲームなどのアプリをテレビで利用することが可能

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

と位置づけています。

以前、「スマートテレビのプラットフォーム覇権」のブログでご紹介をさせてえいただきましたが、スマートテレビについては、

PC並みのCPU機能やメモリ機能を搭載し、操作性の高いリッチなユーザーインターフェイス(または、OSやプラットフォーム)を具備し、従来のテレビ機能に加え、インターネットにつながり、音楽や動画、ゲーム、生活情報などの様々なコンテンツやサービスをクラウドやソーシャルメディアを通じて、様々なのデバイスと連携しながら流通され、ユーザーが快適に利用できる形態。

と私自身定義しています。

スマートテレビには、メーカー、放送局、そして、サードパーティーそれぞれサービスを提供しています。

メーカーの場合は、

パナソニックは、「ビエラ・コネクト」
ソニーは、「ビエラ・コネクト」
東芝は、「レグザAppsコネクト」

となっています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

放送局が提供している連携サービスでは、日本テレビの「JoinTV」などがあります。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

そして、サードパーティーによる連携サービス例としたは、ジェネシックスのtuneTVなどが紹介されています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

スマートテレビの市場を見てみましょう。

野村総合研究所の調査によると、国内におけるスマートテレビの利用世帯数は、2011年度の27万世帯から、約30倍増加し、2016年度には770万世帯へ拡大する見込みと予測しています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

スマートテレビの標準化動向については、W3Cにおけるブラウザ標準化の動向として、

1) スマートテレビの中核技術の一つとされる「HTML5」の原案は、2004年より、Apple、Opera、Mozilla3社で策定着手。 W3Cの発表(2011年2月)によれば、規格策定完了時期は2014年。
(規格案となるためには2社以上による実装が必要)。
また、「HTML5」の改訂版として、2016年に、「HTML5.1」の規格策定を完了させる予定。
(2) 従来は、「インターネット上の文字情報と画像情報をPC上に表示」する手段に過ぎなかったHTMLが、「PC、TVなど様々な端末上で、文字・画像・音声・映像を、利用者が自由に制御」する手段に発展。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

これらの標準化活動への参加ですが、HTML WG、WebAppsWG、DAP WGともに、日本の事業者の参加は少数にとどまっています。

一方、2012年3月には、NHK、民放キー局5社などが参加する「Web and
Broadcasting ビジネスグループ」を設置しています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

また、2012年10月29日~11月2日 フランス(リヨン)で開催されたW3C 技術総会(TPAC)では、日本が提案したスマートテレビのHTML5の仕様化をWGなどで検討に着手することが決定しています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

諸外国の取り組みについては、省略をします。日本では、総務省がスマートテレビの推進に向けた基本戦略を、2012年6月に策定・公表しています。日本の強みとなる「多様なコンテンツ、インターネット文化」 、「高度で多様な端末」、 「コンテンツ配信インフラ」 を活かし、放送・ウェブを連携させる新しいサービスを創造・発信を目指しています。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

スマートテレビの普及にあたっては、スマートテレビの基本機能を最大限に活かし、ユーザーの利便性や選択肢を広げ、 市場を拡大するためには、次の3つの推進原則に基づいた取組が必要であるとしています。

ユーザー本位 ユーザー視点に立った使いやすいインターフェース、安全・安心なサービスの提供。

民間主導による協業 アプリケーション・コンテンツ事業者、放送事業者、通信事業者、端末メーカー等が 協力して推進に取り組み、官は環境整備及び支援。

オープンな事業環境の構築 国際標準に則ったオープンな技術規格等を通じて、多様な端末メーカ-、アプリケー ション・コンテンツ事業者等が参加できる事業環境を構築。

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出所:放送サービスの高度化に関する検討会(第1回会合)配布資料 2012.11.12

総務省では、これらの状況を踏まえ、スマートテレビに関するルールの具体化とルール実現のための推進体制の在り方を検討していくべきとしています。

スマートテレビのグローバル市場でのスピード感は早く、こういった状況の中、政府が推進するルールづくりや推進体制がどの程度、日本のプレゼンスを高めていくことができるのか、今後の民間連携を含めた取り組みの展開が注目されるところです。

 

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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