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スマートテレビのプラットフォーム覇権

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パソコン、スマートフォンなどのスマートデバイスに続き、テレビがネットにつながり、テレビ番組だけでなく、より幅広いコンテンツを楽しめるようになる「スマートテレビ」が登場しています。

テレビの視聴スタイルの変化

テレビの視聴時間が減少傾向にあります。「情報通信白書2011」に調査によると、国内におけるテレビ視聴時間の推移は、5年前と比べると「全体は微減」「若年層は大きく減少」「シニア層は増加」という傾向となっています。

また、アスキー総合研究所が2010年12月に調査を実施した「消費行動とメディア・コンテンツに関する1万人調査」によると、2010年末から2011年末にかけて、1日当たり平均17.9分減という大幅な減少となっており、テレビへの企業の広告のあり方についても大きな転換期を迎えています。

日本の家電メーカー各社の「テレビ不振」

2011年7月24日に地上波アナログ放送の停波までの地上デジタル放送への移行に伴って需要を先食いしたため、その後、テレビの販売不振に陥り、日本の家電メーカー各社は苦戦を強いられています。

韓国のサムスンなどの海外勢の台頭によるテレビ単価の下落による利益率の減少なども影響し、2011年の家電メーカー各社損失額はパナソニックが7,721億円、ソニーが4,566億円など大手メーカーの多くが巨額の赤字を出し、事業の撤退・提携や製造拠点の海外移転など、テレビ事業のビジネスモデルそのものの見直しを迫られています。

ブラウン管のテレビの時代から、テレビは日本メーカーがグローバル市場において、存在感を示していた市場です。そして、薄型テレビなど単体の性能をあげることで競争力を確保し収益をあげてきました。しかし、テレビ自体のコモディティ化が進み、従来の日本のお家芸であったテレビは、パソコンやスマートフォンと同様の設計で製造できるようになり、新興国などの人件費の安い地域で製造が進んでいます。その結果、日本メーカーは価格競争が激化しテレビ単体そのものでは競争力を維持することが困難になりつつあり、日本メーカーの競争優位性は弱まり、今後も収益の機会を大きく喪失することが懸念されています。

そういった状況の中、テレビがネットワーク経由でクラウドにつながるようになり、多様なサービスやコンテンツを享受できるスマートテレビが台頭しています。

スマートテレビの台頭

世界市場ではスマートテレビの市場が立ち上がろうとしています。調査会社富士キメラ総研が2012年6月5日に発表した「デジタルAV機器市場マーケティング調査要覧(2012年版)」によると、世界のスマートテレビの出荷台数は5,200万台に対して、2016年には1億5,360万台に達し、デジタルテレビ市場において過半数に達すると予測しています。    

また、野村総合研究所が2011年7月20日に発表した「スマートテレビの利用意向に関する調査」によると、「国内におけるスマートテレビの市場」は、利用世帯数は、2011年度の27万世帯から、約30倍増加し、2016年度には770万世帯に拡大すると見込んでいます。

テレビは、多くはリビングに置かれ、家庭の中では最も大きな画面であるため、ネットにつながるスマートテレビが家庭に普及することで、幅広いコンテンツを楽しめ、さらに、スマートフォンやタブレットなど様々なデバイスとつながることで、新たなライフスタイルを生み出していくことが期待されています。

スマートテレビとは?

では、そもそもスマートテレビとは何なのでしょうか?スマートテレビは、まだ明確な定義はないのですが、ここでは、

PC並みのCPU機能やメモリ機能を搭載し、操作性の高いリッチなユーザーインターフェイス(または、OSやプラットフォーム)を具備し、従来のテレビ機能に加え、インターネットにつながり、音楽や動画、ゲーム、生活情報などの様々なコンテンツやサービスをクラウドやソーシャルメディアを通じて、様々なのデバイスと連携しながら流通され、ユーザーが快適に利用できる形態。

と定義します。

■スマートテレビ市場をリードするプレイヤー

スマートテレビの展開に向けて各社の対応が始まっています。「Google TV」など、スマートテレビの市場をリードする事業者の取り組みについてご紹介をします。

スマートテレビで市場をリードする「Google TV」

注目されるのが、グーグルが提供する「Google TV」です。グーグルは2010年5月、グーグル開発者会議にて「Google TV」を初めて公開しました。「Google TV」はテレビ向けにカスタマイズしたAndroid OSを搭載しています。グーグルはAndroid OS をテレビ向けにも提供することで、オープン化を進め、スマートフォン向けの成功モデルとなったエコシステムの展開を急いでいます。

Google TVの主な機能には、Chromeブラウザーによるウェブサイト閲覧、総合サーチエンジン機能、アンドロイドアプリの動作、Amazon VODやNetflixなどのオンデマンド映画視聴、YouTube動画、Napsterなどの音楽サービス機能などがあります。

「Google TV」の最も採用が早かったのが、ソニーです。ソニーは2010年10月にソニーのTVに 「Google TV」を搭載しアメリカで販売しています。また、ソニーは、タッチパッドとキーボードを搭載した新リモコンを採用したプレーヤー2機種を、今年初夏から北 米・欧州を皮切りに順次発売することを発表しています。

グーグルは2012年6月24日には、これまで米国のみの販売だったものをSony Europeが、英国を皮切りに、オーストラリアとブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、メキシコ、オランダでも展開する計画を発表しています。

中国市場へのスマートテレビの動きも注目です。パソコンメーカーのレノボは、Android 4.0搭載のスマートテレビ「Kシリーズ」を中国で販売していまします。「Kシリーズ」は、30種類のコンソールレベル型のゲームがプリインストールされており、中国の大手メディアグループSMGとのジョイントベンチャーISmartvでVODサービスを提供。さらに、独自のアプリストアLeStoreでゲームやSNSアプリを提供しています。レノボは中国において強いブランド力を持つため、Androidを搭載した安価なテレビを導入することで、市場シェアの確保を急いでいます。

しかしながら、「Google TV」が順調に普及しているとは言い難い状況です。2011年の末に、グーグル会長のエリック・シュミット氏は、『2012年の夏までには、店頭に並ぶテレビの大半にGoogle TV機能が組み込まれる』と発言していますが、現時点では、そこまでのシェアには至っていないのが現状です。

グーグルは、今週開催する開発者向けのイベントである「Google I/O 2012」において、パートナー企業による 「Google TV」の最新活用事例を紹介しており、今後のパートナー企業との連携によるシェア拡大の取り組みが注目されます。

スマートテレビ市場を牽引する韓国サムスン電子、LG電子

早くからスマートテレビ事業に力をいれているのが、サムスン電子とLG電子の韓国勢です。2010年ごろからスマートテレビのキーワードを使いはじめ、 2011年のCESからは、大々的にキャッチフレーズとして利用し、日本メーカーに先駆けて方針を示し、マーケティングを展開することによって、市場をリードしようとしています。

北米市場でのテレビシェア1位を獲得している韓国のサムスン電子は、2010年7月には世界初のテレビ専用アプリストア「Samsung Apps」を提供開始し、2012年1月時点で、「Samsung Apps」には1,400のアプリが用意され、世界中で毎日5万件がダウンロードされているといいます。  

サムスン電子はスマートテレビの展開において、スマートテレビ向けのコンテンツの充実に獲得に力をいれ、アメリカケーブルTV で強みを持っているComcast、Time Warner Cable、Huluなどと提携を結んでいます。そして、2012 年中には、人気ゲーム「Angry Birds」や「AOL HD」「CNBC Real-Time」「Hulu Plus」「MLB.TV」「Netflix」「Wall Street Journal Live」などの人気アプリが随時追加されていく予定です。

サムスン電子は、スマートテレビのグローバル展開向けて、各国のローカルコンテンツ獲得にも力をいれています。さらに、サムスン電子は2012年6月5日には、クラウドベースのオンラインゲームプラットフォームを手がける米Gaikaiとの提携によりクラウド型のゲーム配信サービス「Samsung Cloud Gaming」を発表しました。サムスン製の高画質LEDテレビを搭載した一部のスマートテレビに対応しており、「Smart Hub」メニューからアクセスしゲームを試してから購入することができます。

一方、韓国のLG電子は、2012年6月からはLinuxをベースにした同社独自のプラットフォームによる「LG Smart TV」を日本市場から発売しています。LG電子は、日本では2014年までにシェアを5%獲得を目指しています。LG電子の「LG Smart TV」には、現在205本のアプリが用意され、専用のアプリストアからダウンロードして利用できる予定で、今後もアプリを充実させていいく予定です。

アップルのスマートテレビは?

アップルは2007年3月、iTunesと連係するセットトップボックス型テレビの販売を開始し、2010年9月にはサイズを1/4に、価格を 1/3に抑えた第二世代のセットトップボックス型Apple TVを販売してきました。

アップルの元CEOのスティーブ・ジョブズ氏の評伝「スティーブ・ジョブズⅡ 第40章」には、

とっても使いやすいテレビを作りたいと思っているんだ。ほかの機器やiCloudとシームレスに同期してくれるテレビをね」そうすれば、DVDプレイヤーやケーブルテレビのややこしいリモコンで苦労することもなくなる。

と、ジョブスのクラウドとシームレスにつながるテレビへの強い思いがこめられています。

アップルは2012年3月16日、新型「Apple TV」を8,800円で発売しました。しかし、あまり大規模なアップデートにはなっておらず、iPhoneやiPadと比べるとあまり大きな話題とはなっていません。

各種メディアでは、アップルが提供するクラウドサービスの「iCloud」が利用でき、「Siri」インターフェースアップル製のスマートテレビ「iTV」の発売が絶えずうわさされています。iPhoneやiPadで形成した膨大なコンテンツエコシステムをバックに、「iTV」が発売されば、スマートテレビ市場において一気に主役に躍り出ることでしょう。

日本勢はの巻き返しは?

スマートフォンやタブレットなどと同様に、Android OSを搭載したスマートテレビやApple TVがスマートテレビのプラットフォームの覇権を握る可能性が十分に考えられる一方、日本勢もスマートテレビにおいて追い上げを見せています。

パナソニックのスマートテレビの「スマートビエラ」は、「ビエラ・コネクト」というアプリの機能がまとめられた機能を提供しています。

VODや電子書籍、ソーシャルメディア、ゲームなどが利用できるようになっており、「ビエラ・コネクト マーケット」から追加することができます。パナソニックは家電メーカーの強みを生かして、スマートフォンや別の部屋ビエラからもWi-Fi経由で見られるなどの機能を充実させています。

スマートテレビのプラットフォームの覇権争い

スマートテレビビジネス向けて重要となるのが、国境をまたがるコンテンツのプラットフォームの覇権を握ることです。スマートテレビのプラットフォームには、アプリストアの流通や課金の仕組みを構築し、サードパーティがスマートテレビのプラットフォームを通じて、クラウド経由で利用ユーザーに配信するためのエコシステムを形成することが重要となります。

これらのプラットフォームの覇権は、スマートテレビのみならず、パソコンやスマートフォン、タブレッドなどのマルチデバイスからアクセスし、配信される流通形態も放送、3G、LTE、光など放送と通信の融合が進みます。そして、クラウドを通じて、消費者が生成するコンテンツ含む様々なコンテンツが複数のデバイスに配信される形態となります。

グーグルのAndroidやアップルのiOSでは、スマートフォンやタブレットにおいては、すでに整備をされており、このモデルがスマートテレビにも展開され、デバイス連携が強化されれば、市場を一気にリードすることになるでしょう。

ネットに接続するテレビが増加することになれば、テレビ向けのオンラインゲームやVODサービス、そしてホームサイネージなどのトラフィックの増加が見込まれ、スマートテレビ向けのサービスを配信するためのクラウド需要は高まると予想されます。

さらに、スマートテレビの普及に伴い、通信事業者によるテレビ・映像視聴市場への参入、そして、放送事業者によるネット上での映像コンテンツ市場参入の拡大が予想されます。特に、日本の放送局、テレビメーカー、そして、テレビCM向けの広告事業者などは、事業の見直しをしつつ、ハードウエアや放送やCMそのもので収益をあげるだけでなく、アプリやコンテンツと絡めた収益源の多角化をグローバルで進めていく必要性にせまられるでしょう。

現時点でのスマートテレビのプラットフォームのモデルは、先述した「Google TV」のようなスマートフォンやタブレット型から展開されるモデル、サムスンの「Samsung Apps」やパナソニックのビエラコネクトのようなテレビメーカーが提供するモデル、そして、「hulu」や電通と日本テレビ放送網・テレビ朝日・TBSテレビ・テレビ東京・フジテレビジョンなどが提供する「もっとTV」など放送事業者が主導するモデルがあげられます。

スマートテレビ市場においては、視聴者を中心に、

  • 「テレビセットメーカー」・・韓国のサムスンやLG電子、パナソニックやソニー等
  • 「テレビプラットフォーム事業者」・・Google TV、AppleTV/iTV、サムスン電子等
  • 「インターネット検索・ポータル事業者」・・Yahoo!等
  • 「アプリ開発会社」・・ベンチャー、個人開発者等
  • 「広告会社」・・広告代理店、アドネットワーク等
  • 「コンテンツアグリゲーター」・・NTTぷらら、Netflix、Hulu、Amazon、iTunes等
  • 「放送局」・・NHK、フジテレビ、日本テレビ等
  • 「コンテンツホルダー」・・ハリウッド、テレビ局、プロダクション、消費者のCGM/UGC等
  • 「ネットワークサービス事業者」・・通信事業者、ケーブルテレビ、IPテレビ事業者、CDN事業者、クラウド事業者等
  • 「デバイスメーカー」・・パナソニック、シャープ、サムスン電子等

など、あらゆる事業者が関連してきます。

これらの事業者が連携し、規模の経済(スケールメリット)を生かしたクラウド上にあるプラットフォームを構築し、消費者に見たいときに見たいコンテンツを届けていくことが大切になります。

各事業者は、様々な事業機会を模索しながら、戦略的な提携などの事業者の連携が進み、事業者の枠を超え、新たな産業構造の変化と競争環境が生まれ、新しいビジネスが創造されることが期待されます。

プラットフォーム覇権をリードするための次の一手

スマートテレビの市場においては、スマートフォンやタブレットなどのモバイル市場と比べて、まだ混沌としており、勝者は明らかになっていません。スマートテレビの事業は、多くが規制に守られている領域で、かつ、テレビの購入サイクルが長いため、パソコンやスマートフォンと比べると、構造変化には時間を要すことでしょう。

しかしながら、リビングルームの中心となっているスマートテレビ市場のプラットフォームの覇権を握ることは、中長期的に安定した収益を獲得するためには、またとない機会となります。

開発者の囲い込みを急ぐ韓国サムスン電子

韓国のサムスン電子は、自社のスマートテレビの「Samsung Apps」から配信されるアプリを作るために開発環境を提供しています。

2010年以降は開発コンテストも開催し、その優勝賞金は10万ドル、コンテストの優勝者はCESの会見でアナウンスをするなど、開発者の囲い込みを図っています。2012年のCESの会見で発表されたように「Samsung Apps」には1,400のアプリが用意されており、世界中で毎日5万件がダウンロードされているといいます。

サムスンは2012年1月5日、アプリ開発キットSDK 3.0をリリースしました。SDK 3.0の主な特徴は、テレビとリモコン用モバイルデバイスとの相互連携、アプリ広告の開発、課金機能、リモコンやマウスやキーボード、ゲームコントローラーの代替を支援するツールとなっています。

すでに、世界140カ国の2,500人がサムスンのスマートテレビ開発者フォーラムに参加しており、サムスンのスマートテレビの「Samsung Apps」を中心にスマートテレビ事業のエコシステムを形成しています。

サムスンがテレビ向けのアプリストアを充実させるなどのエコシステムに力を入れる背景には、テレビ自体で多くの利益をあげることは難しくなっており、販売後にアプリやサービスで収益を上げる脱売り切りのビジネスモデルの構造へと転換を図っていることが読み取れます。

開発者向けの共通のプラットフォームの構築を目指す「Smart TV Alliance」

一方、韓国のLG電子とPhilipsブランドのテレビ事業を運営するTP Visionは2012年6月20日、「Smart TV Alliance(スマートTVアライアンス)」を設立し、開発者向けの共通のプラットフォームの構築を目指しています。

これまでのスマートテレビは、メーカーやブランドごとに異なるプラットフォームや様々なテクノロジーが使われ、テレビ向けのアプリ開発者にとって非常に開発しにくい環境となっていました。

複数のブランドが参加するテレビ向けの開発プラットフォームを共通化することで、開発できる環境の簡素化とフィールドを充実させ、多くの開発者が参加できるようにし、メーカーや消費者に対してもよりリッチなVODや音楽サービス、ゲームなどを提供できるエコシステムの形成を目指しています。

すでに、本アライアンスでは、開発者が無償でダウンロードが可能なHTML5などのオープンウェブ技術をベースとしたSDK(開発キット)のファーストバージョンを公開し、2012年末には、SDK 2.0の公開を予定し、2013年以降のモデルにはSDK2.0で開発されたアプリを組み込まれていく予定です。

スマートテレビの開発者の囲い込みが進む

スマートテレビの分野においては「Google TV」やサムスン、LG電子等の「Smart TV Alliance」などといったように、各社、団体による囲い込みが加速しています。スマートテレビの普及のためには、開発者の囲い込みは欠かせず、開発者にとって魅力的な開発環境を提供できるようになれば、アプリケーションやサービスも充実し、リビングの中心に位置し、子どもたちから大人たちまで楽しむことができる消費者の多様な要求に応えるサービスを充実させていくことができるでしょう。

ソーシャルメディアと連携する「ソーシャルテレビ」

スマートテレビは、ソーシャルメディアとの連携、「ソーシャルテレビ」としての普及も加速しています。

日本テレビ放送網は2012年6月12日からソーシャルテレビ視聴プラットフォームアプリとして「wiz tv」の配信を開始しています。全局横断型のセカンドスクリーンアプリとして開発され、「盛り上がりグラフ」「タイムライン」「番組情報」「音声認識」(実装予定)で構成され、「App Store」と「Google Play」において、無償でダウンロードすることができます。

テレビとソーシャルメディアの連携においては、「wiz tv」のように、放送とツイッターが連携し、リアルタイム放送視聴の盛り上がりを分析・可視化する「Social Viewing」があり、SocialGuide、Yap.TV、SnappyTV,ツイテレ、テレビジン、tuneTV、みるぞう、ピーチクなどのサービスが提供されています。

また、映画や番組にチェックインし、人とモノ・コンテンツとつながる「Interest Graph」では、GetGlue、Misio、tunefish、IntoNow、TVCheck、JoiNTV、teledaといったサービスが提供されています。

視聴者データというビッグデータの活用

スマートテレビの普及に伴い、膨大な視聴者の視聴データが蓄積されるようになり、視聴率のあり方が大きく変化していく可能性があります。ACR(Automatic Content Recognition)によって、映像や音声を元にユーザーがどんな番組やコンテンツを見ているかを認識できるようになっています。

さらに、番組にメタデータを付与することで、視聴者の行動データ、嗜好情報を収集・分析することができるようになり、視聴者への番組のリコメンドや横断検索などが可能となります。

そして、これまでのマス広告という形態から、複数のメディアを束ね、テレビのほかスマートフォンなど複数のデバイスに効率的・効果的に広告を配信するターゲット広告がポイントとなっていくでしょう。こういったスマート向けの広告プラットフォームは、これまでの広告形態を大きく変える巨大な市場となっていくと考えられます。

スマートテレビの環境整備にあたっては、スマートテレビによるID連携が必要となり、テレビの視聴履歴、ソーシャルグラフ、検索履歴、購買履歴などをサービス横断で個人に紐づいた行動データを収集し、最適なリコメンド情報や広告配信が可能となるといったように様々なビジネスの機会の創出が期待されます。

日本が推進するスマートテレビの標準化の動き

スマートテレビの標準化に向けた取り組みも始まっています。川端達夫総務相2012年6月12日、閣議後会見で「スマートテレビ」について、『日本は先導的な技術を持っており、国際標準化の提言をしていきたい』と発言し、総務省が中心となって基本技術の統一規格づくりに乗り出す考えを示しています。

IPTVフォーラムは2012年6月12日、次世代テレビの実現に向けた議論を行なう「Symposium on Web and TV 2012」を開催し、放送、通信、家電メーカー、ソーシャルネットワークサービス事業者などの多様な領域における有識者やステークホルダの知見を集約し、スマートテレビの国際標準化を推進することを目指しています。

オープニングでは、総務省 総務大臣政務官の森田高氏が「スマートテレビの推進に向けて」と題して講演しスマートテレビが有するべき基本機能として、「放送・Web連携」「多様なアプリケーション・コンテンツの提供」「端末間連携」の三つを上げています。

森田氏は、今後のスマートテレビが目指す姿として、『アプリやコンテンツが特定のOSやデバイスに紐付かず、オープンな開発ができる環境が重要』と発言し、スマートテレビ向けのアプリケーションやコンテンツ提供においてサードパーティの自由な参入環境を整備し、一定のルールの下でサードパーティが多様なアプリケーションやコンテンツを開発し、メーカーの異なるスマートテレビやスマートフォンやタブレット端末でもつながり、利用者が快適に利用できる環境を提案しています。

こういったサービスモデルの実現により、コンテンツ、ネットワーク、広告など、様々な産業への経済波及効果が期待できるとし、日本の産業競争力の強化という観点からも、放送とWebの連携を特徴とするスマートテレビを積極的に推進することが必要としています。

スマートテレビにおいては韓国勢などが市場をリードしていますが、政府の政策的な後押しによるスマートテレビの標準化推進の動きが、スマートテレビ業界の動きの中で、どこまで存在感を示し、標準化に取り込まれるのか、注目されるところです。

スマートテレビとHTML5

そして、スマートテレビのHTML5への対応です。テレビにもスマートフォンやタブ レットと同様にデユアルコアやクアッドコアのCPUが搭載されるようになり、HTML5により従来のウェブよりも自由度、表現力の高い中で、新しいテレビの体験ができるようになるでしょう。そして、クラウドとつながることで、さらに、様々なサービスが生まれてくるでしょう。


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担当キュレーター「わんとぴ
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コメント

記事を拝読しました。確かに日本の家電メーカーは、テレビ部門で苦戦しているのも事実です。ただ、テレビとPC,タブレット端末の垣根が無くなりつつあるため、ハード面よりもソフト面で攻めるのが賢明かもしれません。

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