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2012年3月14日の投稿

2012年3月15日 »

日経新聞(2012.3.12)の記事「40代が注目する「パラレルキャリア」 複数の顔持ち、豊かな人生 40代・惑いの10年 一歩前へ 」を興味深く読ませていただきました。

本業の仕事はもちろん、働き方を工夫して、本業以外の社会活動にも積極的にかかわる。40代でこうした「パラレルキャリア」を実践する人が目立ってきた。経済環境や家族のありようの変化などを契機に、しっかり自分を見つめ直し、より豊かな人生を求める。新しい働き方、生き方のヒントになるかもしれない。

パラレルキャリアとは、

営学者のピーター・ドラッカーが著書「明日を支配するもの」などで提案したこれからの生き方。長寿社会となり、一つの組織に属して同じ仕事を続けるだけでなく、もう一つ別の仕事を持ったり社会活動をしたりすることで、「新しい世界」が手に入れられるという。

本記事では、40代がパラレルキャリアを実践する人が増えている背景として、1980年代後半に地球環境問題への関心が高まり、企業の社会的責任(CSR)が問われ始めた時に若手社員だった」ことや、価値観の多様性や、経済環境の激変で今の仕事や会社の危うさを直面することで、自分なりの働き方が問い始めている世代としてとりあげています。

以前のブログ「ビジネスパーソンの「パラレルキャリア」を考える」で、日経新聞の中で、若手社員が「社会のために役立ちたい」という比率が年々増え、パラレルキャリアに取り組む事例が増えている点を紹介させていただきました。

若手だけでなく、40代でもパラレルキャリアの動きが広がっており、世代関係なく、昨今の社会環境から取り組む事例が増えているようです。

 

「会社にしがみつかない」ワークスタイル」でも、やや危機意識をあおっていますが、同じような趣旨の内容が書かれています。

会社での成績が上位2割層に入るような優秀で問題意識が高い人ほど、現状に強い危機感を持ち、週末起業などの社外活動を開始している。企業の耐用年数が短くなっている現代に、一つの会社だけで働き続けることは丁半博打のように危険な賭けだからだ。(中略)どんな小さなネタでもいい。自分がやれること・やりたいことを既存のビジネスモデルと組み合わせる。それだけで単なる会社員を脱皮し、新しい働き方の世界に足を踏み入れることができるだろう。

「週末起業セミナー」の参加者の急増など「会社にしがみつかないワークスタイル」が増えている背景には、

不況に円高や電力不足、増税の不安定要素が重なり、「いつクビになってもおかしくない」「会社がなくなるかも」と、多くの人が会社生活に不安を抱えている。また、帰宅難民などの体験で、「家族の近くで働きたい」「やりたいことを先延ばししているうちに死ぬかもしれない」という現実にも気づき始めた。

という点をあげています。


一方、経営陣から見ると、「パラレルキャリア」について必ずしも肯定的ではありません。フェイスブックページで著名な経営者の方が日経新聞に紹介された「パラレルキャリア」について以下のコメントをされています。

会社の仕事は辛い仕事で、会社以外が社会貢献・・となるのはあまり良くないと思いますし、経営者としては、会社の仕事も社会貢献であることをきちんと伝えられるような経営をするべきとも思います。

「パラレルキャリア」は経営陣から見ると、業務以外のところでやりがいを見出す取り組みは、企業として社会貢献などの対応が遅れており、経営そのものを変えていく必要があるという考え方もあるでしょう。このコメントに対してフェイスブックでは様々な賛否両論のコメントが書き込みされており、必ずしも「パラレルキャリア」は全員賛同という状況ではないというのが印象です。

 

私自身の「パラレルキャリア」についての考え方は、積極的に取り組んでいくほうが、自分の人生の幅を広げていく上でも役立つと考えています。私は、なるべく複数の肩書き(PTA副会長、ブロガー、国際大学GLOCOM客員研究員など)を持ち、社会活動に参加することを心がけています。こういった活動が視野を広げ、人脈を拡げ、会社の業務にもプラスに作用するケースが増えているのを実感しています。業務に支障のない範囲で「パラレルキャリア」を通じて、自分自身の価値観や評判や評価を高めてくことが大切だと考えています。


会社人生は「評判」で決まる』の本の中には、以下のことが書かれています。

ユビキタス評判システムが機能している社会では、好むと好まざるにかかわらず、自らの評判に無頓着な状態では済まされなくなる。こうしたプレッシャーは、個人にとっても、会社にとっても、望ましい方向へと軌道修正するうえでのきっかけを与えるものとなるのではないだろうか。

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』においても、貨幣経済から評価経済へシフトしつつあるということが書かれていますが、こちらも様々な意見がありますが、貨幣経済と評価経済の経済圏の中で、バランス感覚を持って対応することが大切なのかもしれません。


これからの働き方は、ソーシャルメディアの普及などもあり、社内だけでなく社外における評価軸も大きくなってきていると感じている人も多いでしょう。こういった状況の中で、「パラレルキャリア」とは何なのか。「会社にしがみつかないワークスタイル」は何なのか。会社人生は「評判」で決まるのか。仕事自体を通じて社会貢献に力をいれていくべきなのか、改めて、働き方について問われてきているような感じがしています。

 

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※担当キュレーター「わんとぴ

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MASAYUKI HAYASHI

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プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

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