『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2010年12月9日

2010年12月10日の投稿

2010年12月11日 »

先日、北米のクラウドに関する勉強会を開催しました。勉強会の中で議論の一つとなったのがお金の流れです。NISTの定義によると、クラウドコンピューティングの特徴の一つとして従量制課金があげられます。

これまでのITサービスは定額制が一般的でしたが、従量制のサービスが増えていけば、課金の仕組みも複雑になり、企業側も請求の支払い管理をするのも大変になります。中には、クラウド破産という言葉が出ているように、従量制課金の負の部分も見え隠れしています。複数のクラウドサービスをまとめて請求するサービスも出てきているようで、クラウドが今後本格的に普及していくためには、企業ユーザにとって利便性が高くリスクを回避する課金モデルが求められていくのかもしれません。

一方、サービス提供事業者側にとっても、これまでのSIのようなモデルと比べると、お金の回収は異なります。SI案件の場合は、システムの更改時において、システムの大型受注をして利益をあげ、あとは運用保守費で収益を得ていくことができました。クラウドの場合は、PaaS上での開発やカスタマイズなどの初期費用は発生するものの、基本は従量課金などで毎月の収入を得ていく形態となります。

また、提供事業者がクラウドサービスを提供し利益をあげていくためには、規模の経済で有利に進めていくためには、データセンターの建設など、大規模な初期投資が必要となります。初期投資から年々後に費用が回収できるか、これまで以上に中長期的な視点で投資を進めていく必要が出てきています。

そして、セールスフォース、Chatterの無料版「Chatter Free」の提供を発表したように、フレーミアムモデルも次々と登場しており、最終的に事業者側が収益をあげていくためには体力勝負にもなります。

以上のように、クラウドの普及は、お金の流れが大きく変わることになり、課金モデルの整備や、回収モデルを確立し、ブームに流されずクラウドで利益をしっかりと得られるためのビジネスモデルの整備を進めていく必要があるのかもしれません。

MASAYUKI HAYASHI

« 2010年12月9日

2010年12月10日の投稿

2010年12月11日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ