オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウドで変わるお金の流れ

»

先日、北米のクラウドに関する勉強会を開催しました。勉強会の中で議論の一つとなったのがお金の流れです。NISTの定義によると、クラウドコンピューティングの特徴の一つとして従量制課金があげられます。

これまでのITサービスは定額制が一般的でしたが、従量制のサービスが増えていけば、課金の仕組みも複雑になり、企業側も請求の支払い管理をするのも大変になります。中には、クラウド破産という言葉が出ているように、従量制課金の負の部分も見え隠れしています。複数のクラウドサービスをまとめて請求するサービスも出てきているようで、クラウドが今後本格的に普及していくためには、企業ユーザにとって利便性が高くリスクを回避する課金モデルが求められていくのかもしれません。

一方、サービス提供事業者側にとっても、これまでのSIのようなモデルと比べると、お金の回収は異なります。SI案件の場合は、システムの更改時において、システムの大型受注をして利益をあげ、あとは運用保守費で収益を得ていくことができました。クラウドの場合は、PaaS上での開発やカスタマイズなどの初期費用は発生するものの、基本は従量課金などで毎月の収入を得ていく形態となります。

また、提供事業者がクラウドサービスを提供し利益をあげていくためには、規模の経済で有利に進めていくためには、データセンターの建設など、大規模な初期投資が必要となります。初期投資から年々後に費用が回収できるか、これまで以上に中長期的な視点で投資を進めていく必要が出てきています。

そして、セールスフォース、Chatterの無料版「Chatter Free」の提供を発表したように、フレーミアムモデルも次々と登場しており、最終的に事業者側が収益をあげていくためには体力勝負にもなります。

以上のように、クラウドの普及は、お金の流れが大きく変わることになり、課金モデルの整備や、回収モデルを確立し、ブームに流されずクラウドで利益をしっかりと得られるためのビジネスモデルの整備を進めていく必要があるのかもしれません。

Comment(0)