『ビジネス2.0』の視点:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 『ビジネス2.0』の視点

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

« 2009年8月31日

2009年9月1日の投稿

2009年9月2日 »

IT Leadersの9月号の特集「国産クラウドの実力」大変興味深く読ませていただきました。

目次は以下のとおりとなります。

PART1 国内クラウドの最新動向   
PART2 米国のクラウド最前線   
PART3 クラウド構築の勘所   
PART4 クラウドを支える要素技術   
PART5 主要クラウドサービス一覧   
PART6 大手5社によるサービス解説

PART1の国内クラウドの最新動向について少し感想を書かせていただきたいと思います。

先行するグーグルやアマゾン、そしてセールスフォース等の海外勢の規模の経済(スケールメリット)で優位にたつ海外勢に対して、日本のITベンダは、これまでのコンサルやSIのビジネススタイルの延長線上にクラウドビジネスを位置づけているとしています。

例としては、NECの「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」、富士通の「Trusted-Service Platform」、日立製作所の「Harmonious Cloud」等が紹介されています。

また、クラウドの普及において、海外にデータを保管することに対して抵抗を感じる日本企業は少なくないとし、「データ保護指令」でEU圏外へのデータ持ち出しを禁止するEUの事例を紹介しています。そして、解決策として自社専用のクラウド環境としての「プライベートクラウド」が紹介されています。

ベンダーごとにクラウドサービスの仕様が異なり、一度利用してしまうと、他のベンダのサービスと連携ができない等、ベンダロックインの状況に陥ってしまうちった点も指摘されています。

「霞が関クラウド」の取り組みも紹介されています。

日本のベンダの場合は、「パブリッククラウド」という選択での提供はなかなか難しく、「プライベートクラウド」というキーワードを使い、海外勢に対抗し、お客様に入り込みをするのが現状ではないかと思われます。

PART5 主要クラウドサービス一覧では、29社のPaaSのサービス一覧が掲載されています。すべてがPaaSに該当しているのかは定かではありませんが、多くは日本のベンダのサービスが多くを占めており、ユーザ側にとっても選択肢が増えてきているのかと言えるかもしれません。

PART6 大手5社によるサービス解説では、NEC、新日鉄ソリューションズ、日本ユニシス、日立製作所、富士通の取り組みが紹介されています。

日本の企業のサービスを見ると多くは、「プライベートクラウド」に分類されるかと思われます。海外勢の「パブリッククラウド」を中心に展開するグーグルやアマゾンやセールスフォース、そしてプライベートクラウドを中心に展開するIBMやオラクル、そしていいとこ取りができるマイクロソフト等、強敵が揃っています。国産クラウドがどこまで対抗し、国内市場をリードしていけるのか、今後の展開が、今後のクラウドビジネスを大きく左右するのではないかと考えています。

MASAYUKI HAYASHI

« 2009年8月31日

2009年9月1日の投稿

2009年9月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

林 雅之

林 雅之

ICT企業勤務。クラウドサービスのマーケティングを担当。
国際大学GLOCOM客員研究員。社団法人クラウド利用促進機構アドバイザー。
著書『オープンクラウド入門(インプレスR&D)』『「クラウド・ビジネス」入門(創元社)』

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
business20
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ