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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

Nexus S(Samsung)の注目機能と Nexus One(HTC)との速度差

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おはようございます。

「もうひと寝したい!」でも、「えぃっ!」と。
起き上がるのに一苦労必要な春眠季節になってきました。

今朝は昨日予告したNexus SとNexus ONEの比較について。ちょうどAndroid OSの2.3 Gingerbreadが配信開始された時期だったので2.2との比較もできました。うちの若い技術者が測定してくれ、いろいろと教えてもらいました。勉強になります。折角なのでまとめてみました。

※ちなみにGoogleは、Android OSの開発名にケーキの名前をアルファベット順につけています。Cupcake、Donut、Eclair、Froyo、Gingerbread、Honeycomb。次がIce Cream Sandwich だとか?

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■Android標準機という世界

Nexus Oneは、Googleが1年前の2010年1月に、iPhone対抗馬として発売開始して注目を浴びた端末です。ソフトウェアをGoogleが、ハードウェアを台湾のHTCが提供しました。ネットでの直販のみ。問い合わせも電話対応無し。携帯電話としては変わった販売方法でした。

ネットの雄、Googleのことです。携帯の直販で新しいものを創出するかも知れないと、大いに注目を浴びました。さすがにこの販売方法は利用者に総好かんを食らいます。端末販売は低迷。直販サイトは半年で閉じられます。Googleの失敗談としてもちょっと有名です。

その兄弟機がソフトバンクからHTC Desireとして国内販売されました。ところがiPhoneを強烈に推進するソフトバンクでは影の存在となります。台数が品ぞろえ程度にしか用意されずにいました。端末の出来は良く、マニアックな人たちには好まれますが、商業的にはちょっと不幸な存在の端末だったのです。

Googleはその後、NexusシリーズをGoogle Android OSの標準機という位置づけにします。2010年末には、韓国のSamsungと開発したNexus Sを発表しました。今回は、Nexus Oneの轍を踏まずに直販をせず、ベスト・バイなどの量販店経由で12月末から販売されました。OSは最新のGingerbread、2.3入りです。

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■Nexus OneとNexus Sのベンチマークをしてみましょう

Androidのベンチマークでは、Quadrantというベンチマークソフトウェアが標準的な存在だそうです。Android Forums(※1)でもそのスコアは標準的ですし、スマートフォンのカスタマイズによるベンチマーク競争サイトSmartphone Benchmarks(※2)でも標準です。

左がNexus S、右がNexus 1 (OS 2.2)での測定チャートです。

Ns_quadrant N1_quadrant

運がいいことに、ちょうど、Nexus One用のAndroid OSの2.3 Gingerbreadも2月末に配信された時期だったので、2.2と2.3の比較もできました。

Quadrant_nexux1_s

* Nexus OneはOSを2.2から2.3に変更すると約7%の性能低下が見られました。

* Nexus SとNexus OneとSは同じOS2.3であればSが約31%早いということです。

(※1) Quadrant Benchmark Scores - Android Forums
http://androidforums.com/nexus-all-things-root/98554-quadrant-benchmark-scores.html

(※2) Smartphone Benchmarks - Submit and compare Smartbench 2010/Quadrant benchmark results
http://smartphonebenchmarks.com/
ところで、このSmartphone Benchmarksというサイト、ギンギンにチューンアップされた端末たちが比較されていて面白いです。まるで、車をチューンアップして馬力を競いあっているようです(笑)。

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■CPUはともにARM Coretex A8ベースの1GHzで3割差

発売時期に1年近く差があるのに、カタログスペックではどちらもCPU 1GHz, RAM 512MBの端末です。ちょっと驚きました。そしてなぜだか3割の性能差が出ています。なぜか。もう少し丁寧にスペックを比べてみましょう。

Nexus S - http://www.google.com/phone/detail/nexus-s
CPU: 1GHz Cortex A8 (Hummingbird) processor
RAM: 512MB
Internal storage:
16384MB

Nexus One - http://www.google.com/phone/detail/nexus-one
CPU: 1 GHz Qualcomm QSD 8250 Snapdragon
RAM: 512MB
Internal storage:
512MB

* CPUそのものと内蔵Flash ROMの容量に違いがあります。

A)CPU

CPUであるHummingbird、Snapdragonは、ともにARM Cortex A8アーキテクチャを元にしたもので、それぞれにカスタマイズが入っています。HummingbirdはSnapdragonの性能を超えるために設計されているので、ベンチマークのスコアでNexus Sが上回るのでしょう。

B)Flash ROM

内蔵Flash ROMの容量とパフォーマンスの間には一定の関係があるそうです。

使用率が低い間は目に見えた差異はないのですが、残りが40%を切ったあたりから劇的に下がり始めます。

Nexus Oneは、Flash ROMを512MBしか搭載していないため、すぐに40%を下回るようになります。その点、Nexus Sは十分な容量を搭載しているので残り容量の低下に伴うパフォーマンス低下に至らないのだという推測ができます。

Flash_usage_performance_2 

http://www.slideshare.net/googledevjp/an1-tim 8枚目より画像引用させてもらっています。

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■店頭で性能比較をするときの便利なベンチマーク

Nexus Sはヌルヌル動きます。Nexus Oneは少しカクカク動きます。

印象レベルですが、同じAndroid OS 2.3にした、Nexus SとNexus Oneをとなりに並べてアプリ一覧を上下にスライドさせてみる感じられます。

アプリ一覧は3D処理が必要な重い処理なので、簡易ベンチマークのように使えます。Nexus SとNexus OneのFPS(毎秒当たりのフレーム数)には、目でわかる程度の違いがあるということです。

これは、お店で実機を触るときに使える有効な手段だと思います。

iPhoneでの良質な動きに慣れてしまった人たちには、Android端末がカクカク感じます。でも、そのカクカク感は、端末が高性能化されると歴然と出てくるのでしょう。

実際に指への追従性が不満だったりするのは、このヌルヌル性にあるのかも知れません。Androidのカクカク動く様はちょっと不満が出る部分です。そして、高性能な端末になればなるほど、ヌルヌルしてくるのです。

ヌルヌルがいいのです!覚えておくと便利ですね。

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■Nexus S パフォーマンス以外の違いで注目の新機能

「NFCです。このようなワクワクするサービスを使える端末は、Nexus S以外にありません。」

Nexus Sのどの機能に注目しているか?彼から返ってきた答えです。

NFC(Near Field Communication)は、Android OS 2.3から用意され、Nexus Sに装備されている機能。おサイフケータイ機能を互換性高く拡張したようなものでしょうか。

情報をNFCの情報ポータルサイトから引用させてもらいます。

http://www.nfc-world.com/about/index.html

NFC (Near Field Communication)は、NXPセミコンダクターズ社(旧フィリップスセミコンダクターズ社)とソニーが開発した13.56MHz帯の近距離無線通信規格で、RFID技術(ICカード/ICタグ)の次世代標準規格として国際標準機関(ISO)に承認され、今後さまざまな電子デバイスへの採用が期待されています。

ソニーが開発し、日本とアジアの一部地域で普及している「FeliCa™」や、フィリップスが開発し、国際標準規格(ISO14443 Type A)で採用され、世界で最も普及している「Mifare®」との互換性があり、それらと通信(リード・ライト)を行うことができます。また、NFCモジュール同士で通信を行うことができるため、最近急速に普及しているICカード以上の柔軟で幅広い利用が想定されます。

つまり、互換性高く、いろいろなことができると。そして、そのアプリ応用例が次のサイトにあるとのことです。引用させてもらいます。

おそらく日本初!Android2.3向けNFC情報交換サービス「taglet」
http://nfc-taglet.com/
taglet(タグレット) は、Nexus S / Android 2.3から搭載された新機能「NFC」を使った、新感覚の情報共有サービスです。
SUICAやPASMO、Edy,お財布ケータイなどでおなじみのFelica(NFC)に、自分の好きなURLやメッセージ、twitter ID、電話番号、メールアドレスなどを関連付けることができます。たとえば、いつも使っているSUICAに自分のtwitter IDを関連づけておけば、初対面の人とAndroidを軽くタッチし合うだけでIDの交換を行うことができるようになります。
任意のURLやインテントを関連付けることができるので、tagletを使ってyoutube動画絵本や、オリジナル勤怠管理システムを作ることなども、アイデア次第で簡単に実現できます。

なるほど。端末同士を近づけるだけで様々な情報交換ができてしまう。それに近いトライアルが日本の携帯同志でも試みられましたね。赤外線通信による情報交換などはかなり広く使われている。やはりポイントは広く使われるスタンダードになるか、です。

今急速に伸びているAndroidという土壌では、NFCが標準通信方法になる。十分ありうることなのかも知れないですね。

ありがとうございます。いろいろと勉強になりました!

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