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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

洋上風力発電が活発化している欧州

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欧州では洋上風力発電分野で活発な動きがあります。

■前年比51%増の洋上風力発電

欧州の風力発電事業者の団体EWEA (European Wind Energy Association)が今年1月上旬に発表したプレスリリースによると、以下のような非常に興味深い事実があります。

Record 51% Growth for EU Offshore Wind Power in 2010

・2010年には、5カ国において9カ所の洋上風力発電所が稼働し、計308基の風力タービンによる883MW、前年比51%の発電容量が加わった。総投資額は26億ユーロ。
・欧州の洋上風力発電の総容量は2,964MW。これはEUの平均的な290万世帯分の電力消費をまかなう。
・洋上風力発電容量の順位は英国(1,342MW)、デンマーク (854 MW)、オランダ(249 MW)、ベルギー (195 MW)、スウェーデン(164 MW)、ドイツ (92 MW)、アイルランド(25 MW)、フィンランド(26 MW)ノルウェー(2.3MW)となっている。
・2011年においても計1,000〜1,500MWの新設洋上風力発電の稼働が予定されている。
・現在建設中の洋上風力発電の総容量は3,000MWに上り、現在稼働している洋上風力発電の総容量と同規模の増加が見込まれる(2011年中稼働分含む)。
・計画が進んでいる洋上風力発電の総容量は19,000MWに上り、完成すればパリ、ロンドン、ベルリンなど欧州の14首都の電力需要をまかなえるほどになる。なおこれは、現在計画が未決定の英国の大規模な洋上風力発電を含まない容量。

一方、こちらのプレスリリースによれば、地上風力発電所の新設は、不活発になりつつあるとのことです。

EWEA 2010 statistics: Offshore and Eastern Europe new growth drivers for wind power in Europe

とは言っても洋上を含む全体量は84GW(84,000MW)もあります。地上風力発電の新設はルーマニア、ポーランド、ブルガリアでは活発なものの、スペイン、ドイツ、英国ではすでに減少しているそうです。

■洋上風力発電が増えている理由

なぜ、地上風力発電が減少していて洋上風力発電が増えているのか、背景を確認しておきましょう。

インフラ投資の1分野として見ると、風力発電は比較的手堅い案件と見られています。どの国でも二酸化炭素排出量を減らす目的で、再生可能エネルギーによる発電の比率を増やす政策を実施しています。風力や太陽光発電は、いわゆるフィードインタリフ制度によって、発電コストに利益を上乗せした水準で卸売できる仕組みになっていますから、長期的な採算見込みを立てやすく、投資案件として優れているのです。また、太陽光発電と比較すると風力発電は発電単価が著しく安いということもあります。

風力発電一般に言えることとして、風力タービンが大型化するほど発電効率が高まるということがあります。従来の風力タービンは1基当たり2〜4MWの発電容量が普通でした。しかし最近では大型化しつつあり、欧州では5MW以上の機種が用いられるようになっているとのことです。風力発電のメッカである欧州の風力タービンメーカーでは、6〜7MWの機種を開発しているとのこと。

こうした大型風力タービンは当然のことながら風車の直径が巨大であり、地上向きではありません。結果として、大型風力タービンは洋上において用いられることになります。インフラ投資の目線では、大型風力タービンを多数設置して発電効率を高めた、言い換えれば、収益性の高いプロジェクトに多くの資金が集まることになり、それはすなわち洋上のプロジェクトということになります。

風力発電所の建設は、原子力発電所はもちろんのこと、火力発電所の建設と比較しても短期間で済むそうです。また、いちどきに100基といったタービンを新設せずに、25基ずつ4期に分けて建設するといったことが可能です。こういった建設期間が短く、フェーズを区切った建設が可能なことにより、投資プロジェクトとして見れば金利負担が相対的に軽く、かつ、柔軟な資金調達ができるということになります。

ということで、風力発電には比較的お金が集まりやすく、さらに洋上風力発電には規模のメリットが働くので、大型プロジェクトが続々と出現しているわけです。

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