アジア、アフリカなどで港湾オペレーションを行うシンガポールの会社
海外の政府や自治体が保有する港湾のオペレーション事業権をPPPによって民間企業、それも国外の民間企業に開放することは、広く行われているようです。以前にお伝えしたオーストラリア・クイーンズランド州政府によるブリズベーン港の営業権の貸与も、ニューヨークに拠点を置くインフラファンドに対して行われました。
シンガポールの港湾オペレータであるPortekという会社が、エクアドル政府が保有するManta港の民営化プロジェクトに対して、1億米ドルを投資するプロポーザルを出した、という記事が目に留まりました。
シンガポール港は現在、コンテナ取扱量では世界第一位となっています。港湾オペレータは、シンガポール政府系のPort of Singapore Authority (PSA)。WikipediaによるとPSAがほぼ独占してオペレーションを行っているようです。
Portekが得意としているのは、彼らのサイトによると、港湾の業務改善全般のようです。これらのノウハウはおそらくはPSAから受託するなかで培ったものではないでしょうか。具体的には以下が挙げられています。
- 港湾オペレータに対するコンテナ取扱容量の改善方策、生産性の改善方策の提案
- 設備の近代化
- 設備の改良
- 設備の可動化
- メンテナンス
- 設備のリースと販売
- 事故の回復、修理
- コンサルティング
- 補修部品等の手当
地元でこれらを手がけているうちに、専門会社として独り立ちできるようになり、国際的なオペレータとして、外国政府等から営業権を譲り受けることができるようになったのでしょう。
現在、同社が港湾オペレーションを行っている港には以下があります。
- アルジェリア Bejaia Mediterranean Terminal
- マルタ Valletta Gateway Terminal (30年の営業権取得)
- インドネシア Tanjung Priok TERMINAL 009
- インドネシア Tanjung Priok Terminal 300
- インドネシア Ciwandan Banten Multi-Purpose Port(20年の営業権取得)
- ガボン Libreville Port d'Owendo (25年の営業権取得)
- ガボン Port Gentil (25年の営業権取得)
いずれもコンテナ取扱量が数十万TEUクラス中規模港であり、同社も、自分たちの強みは中規模港の効率を改善することだと強調しています。
また、ITを使った港湾荷役の効率化のノウハウもあるとのこと。
業容が年間売上100億円未満でありながら、このように国外の港湾オペレーションを積極的に受託していく会社の存在は興味深いです。