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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

歴史的なすごさがよくわかっている著者たち - Twitter起業エコノミー(4)

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先日遅まきながら以下のTwitter本5冊に目を通して見ました。個人的にもっとも興味深かったのは、著者5名のインターネット経験を記述したくだりです。

 私は1996年当時、内藤みか名義ではありませんでしたが、別の仕事で早くもホームページを持っていました。いわゆる”先駆者利益”というのでしょうか、そのジャンルでホームページを持っていた人はまだ少なかったため、私のホームページを訪れてくれる人は多く、仕事の依頼もかなりありました。
 --内藤みか「夢をかなえるツイッター」

Netscapeが世に出てインターネットが非常に使いやすくなったのが95年。それを基準にすると内藤さんがかなり早い時期のアクティブユーザーだということがわかります。

 元々筆者はIT系のライターで、ネットが一般層に普及し始めた97年からネット系のもの書きををしている。当時はWindows95・98のブームや、個人向け商用インターネットサービスが一般的になり始めた時期でもあり、インターネット雑誌が数多く創刊され、どれも売れ行きが好調な時代だった。
 --津田大介「Twitter」社会論

津田さんのプロフィールを見ると「大学在学中からIT・ネットサービスやネットカルチャーをフィールドに新聞、雑誌など多数の媒体に原稿を執筆」とありますから、彼もまた95~96年頃のインターネット草創期の様々な出来事を見て経験していたはずで、やはり早い時期のアクティブユーザーです。なんというかアクティブユースが体に染み付いているのでは。

 最後に、ここで話をいきなり14年前に戻します。インターネット黎明期に、今考えてもとても実験的なプロジェクトに、「メガ日記」というプロジェクトがありました。幸い、そのログの一部やプロジェクトについては、今でも参照することが可能です。その「メガ日記の目的」というページにこんなことが書かれています。
 「私がいまここにいること。きみがいまそこにいること。知らない人の日々の生活を深く知ること。プライベートとパブリックの間を軽く飛び越えること。自分と他人の境界をあいまいにすること。それぞれの人生が尊く置換不可能であることをあえて知ること。理解不能な他人を愛すること。不用意で軽率な行為、それを楽しむこと。メガ日記が確認するものは、おそらくそういったものです。」
 この文章は、後にポストペットで人気クリエーターとなった八谷和彦さんの手によるものです。
 --コグレマサト+いしたにまさき「ツイッター 140文字が世界を変える」

 上でリンクしている"ステートメント"のページ。今見ると感動的です。メガ日記が始まった頃は、個人的にはウェブ日記を書いていたのでやや横目に見ていたのですが、コミュニケーションアートとしてすごいものだったということは後からよく理解できました。コグレマサトさんおよび、いしたにまさきさんも同時期にこのプロジェクトを見ていたわけですね。95年です。

 1991年8月にクイックタイムが登場してからは、テキストの世界から動画の世界へと興味が移り、イラストレーターやフォトショップなど新作ソフトの紹介映像や、ミュージシャンの向谷実氏やデザイナーの立花ハジメ氏、さらには海外のクリエーターの仕事現場などのコンテンツを作ったが、当時はまだCD-ROMが普及してなかった。そこでまた自分で交渉して、Macの周辺機器を開発していたヤノ電器のMOにコンテンツを収録して配布していた。
 その後、インターネットに出会ったとき、メディアとしての可能性に目を見張った。
 --神田敏晶「Twitter革命」

神田さんはウェブの出現、すなわちMosaic -> Netscapeの出現に立ち会っているわけですね。94年末ぐらいから95年前半にかけてのことです。

このように、みなさん一様に94年~96年にかけてのインターネットの始まりの時期(←お詳しい方はMosaic以前のことを持ち出さないで下さいませ)を経験していらっしゃることがわかり、親近感が沸きました。
みなさんその後も継続的にインターネットを活用し続け、その延長でTwitterに出会っているわけなので、ある意味、Twitterを歴史の流れの中で見ているのだと思います。コミュニケーションツールとしてどれだけすごいのかが、過去の色々なツールとの比較でよくわかる。インターネットが個人や企業や社会を変えてきた経緯をよく知っているので、Twitterが今後個人、企業、社会をどう変えて行きそうかがよく見通せる。そんなところではないでしょうか。

他の本の著者の方もほぼ同じだと思います。もちろんジョエル・コム著、小林啓倫訳「『ツイッター』でビジネスが変わる!」も読ませていただきました。上で私が書いたのは日本のインターネット黎明期の話なので同書の引用はしませんでしたが、著者、訳者ともに早い時期のアクティブユーザーさんであり、Twitterを歴史的に見ていることに間違いはないと思います。

個人的な話、95年頃に自分の日記で岡崎京子の「pink」を話題にしたことがあって、その時いただいたレスポンスがこちらにあります

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