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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

読後メモ:「戦略プロフェッショナルの心得」

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永井孝尚さんの「戦略プロフェッショナルの心得」を読ませていただきました。

学生さんが大学でマーケティングを学ぶ際に、システマティックな教科書を一方に置きながら、もう一方にこの本を置いて、実践的なマーケティングとはこういうものなんだ、ということを学ぶのにすごくいいと思いました。
同様に、企業に入って、マーケティング関連のセクションに配属された際に、現実のマーケティングの姿をこの本で学ぶとすごくいいと思います。

日本IBMにおいて、マーケティング担当者のプロフェッショナル認定資格の審査にもあたっている方だけあって、僭越ながら、理論的な素地と経験からくる知見の双方のバランスがすごくよいように思います。

例えば、バリュープロポジション(価値訴求)の重要性を説くくだりでは、

 ところが、セールスが顧客に会って間違ったバリュープロポジションに基づいて詳しく製品を説明すると、顧客が納得し、売込みが成功する場合もあります。
 この場合、何が起こっているのでしょうか?
 実はこのような場合、時間をかけて製品を説明しているうちに、顧客自身が自分なりに企業側の説明を解釈し、自分に合ったバリュープロポジションを見つけている(言い換えると、企業が提案しているバリュープロポジションを自分なりに「翻訳」している)ケースが多いのです。

といった現実によく起こる現象が補足されていたりします。

個人的に興味深かったのは、「第五章 セールス活動と連携し、販売チャネルを開発するために」です。ここでは、マーケティング部門とセールス部門との間で考えがまったく違うのはなぜなのかが説明されています。

 セールスにとっては、目の前にいる顧客の課題をどのように解決するかが最優先です。時間軸の中心は現在であり、セールスの目標は「現在価値最大化」です。
  中略
 この結果、セールスの考え方は「現在価値最大化・具体的・即物的・現実的」になります。
 一方で、マーケティングの相手は、市場(マーケット)であり、時間軸の中心は未来です。現在の問題も考慮しつつも、それだけに拘らず、来期・来年、顧客に価値を届ける仕組みを作るために何をすべきかを考えます。
  中略
 また、「市場(マーケット)」は、目の前に実在している顧客とは異なり、実体はありません。抽象的で概念的な存在です。
 中略
 実体がなく、概念である市場(マーケット)に対して、自社の認知度を上げようとしたり、あるいは市場そのものを理解しようと考えるマーケティングの人たちは、モノゴトを抽象化・構造化・モデル化して考えるようになります。
 この結果、マーケティングの考え方は、「現在よりも未来・抽象的・構造的・概念的」になります。

引用が少し長くなりましたが、なかなかハラに落ちる記述です。実務家として、日々考えているからこそ出てくる知見なのだろうと思いました。ご近所でよく目にする熾烈な戦い(?)が、こういうメカニズムが背後にあったのか!と納得できた一節でした。

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