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コメ価格:原因と打ち手 カンフルの備蓄米、そして輸入増

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素人ながらコメ値上がりについて感じること。

1. 対応が遅い

2. 備蓄米放出はカンフルでしかなく、根本解決しない

3. 短中期は輸入増、長期は生産増の施策になるのでは

1. 対応が遅い: 政府の初動が遅く、ロクな手を打てないまま、ここまで来た。主食であるコメの価格が、このスピードで、この短期で倍になるのを許したのは、消費者はじめ国民は困るどころかショックであり、対応が困難。政権にとっては、支持や選挙に影響する大問題のはず。

ここで価格が上がった基本的な理由・原因を理解する必要がある。

経済の基礎理論である需要・供給のバランスから見てみよう。インバウンド旅行者などの影響により、予測よりも20万トンほど需要が増えたのが大きい。流通や買い占めの問題よりも、このベーシックな問題が解決しないと値上がりはおさまらない。

(竹中治堅・政策研究大学院大学教授も指摘しているように)農水省は在庫が増えすぎと考えて、2023年に(誤って低めに算出した)需要予測よりさらに15万トン低い生産量に指導した。そこに不作で、想定した生産量より8万トン生産量が落ち込んだ。その結果、2023年には40万トン以上の需給ギャップが生じて、在庫量が一気に減って危険水域と言われる150万トン台(在庫は180-200万トンで価格は安定すると考えられている)になった。2024年の数字はまだはっきりしないが、生産量を増やしていない指導の一方で、需要は20万トンほど増えており、在庫量はさらに減っていると考えられる。

2. 備蓄米放出はカンフルでしかなく、根本解決しない: 総理のプッシュと小泉大臣のリーダーシップで、備蓄米を一気に放出することとなり、在庫量はだいぶ回復するので、価格はいったんは多少は落ち着く方向に進むのではなかろうか(もっとも一年前のレベルにはならない)。しかし、今年が大豊作になったとしても、増加した需要を満たすには足りないであろう(不作だと不足は深刻化)。すると、在庫量は2026年には危険水域のレベルに低下する。そして、カンフル剤の備蓄米の残りは大したことない(30万トンくらいか?)。これでは価格は上昇することになる。

すると、短中期的には輸入増という策が考えられる。現時点でも、市場に対して備蓄米の放出だけでは価格が十分には下がらないと思われるので、例えばターゲットとする目標価格になるまで輸入増を行うという手を唱える政治家もいる。いずれにせよ、そう遠くないどこかの時点で輸入増となると考えられる。

需要供給バランスの安定化に向けて、長期的には国内での生産増に取り組まざるを得ない。

やはり、これまでの国・農政の失態といえるでしょう。これらは、そう簡単じゃないとか、小泉大臣への批判もあるようですが、企業で言えば、これまでの社長たちの失策・無策が招いた状況を打破しようとしているので、頑張っていただきたいと思います。いずれにせよ大改革が求められますね。

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