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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

イノベーションは雇用を増やす

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一昨日、auの携帯をソニーエリクソンのW44SからカシオのW53CAに切り替えました。ワンセグはあまり見ないしもういいや、それよかデジカメ機能が単体機並みの方が使いでがあるだろうと思ったからです。W53CAを少しいじったところでは、記録用では十分という印象があります。

東十条の駅前のたまたま通りかかったケータイ屋さんで在庫があるかどうかを尋ね、切り替えを頼みました。街のケータイ屋さんを使ったことがある人はわかると思いますが、すごく若い人たちが対応してくれます。
おそらくはしっかりとした対応マニュアルがあるのでしょう。説明すべきところを説明し、こちらの意思やオプションの有無を確認し、記入すべきところを漏れなく記入させ…ということを短い時間でてきぱきやります。
副店長格の男性がまずスクリーニング役になって購入の意図が堅いことを確かめ、その後で、もう少し若い女性が細かな契約確認作業をしてくれました。

携帯電話は雇用を生んだのだなぁと素朴な実感が沸いてきました。

携帯電話販売店舗は全国で2万店ですか?(よくわかりません)だとすると、1店舗当たり5名として10万名。ちょうどいい比較対象が見つからなかったので規模感がつかめませんが、決して少ない数字ではありません。
その他、携帯電話会社本体、携帯電話製造関連などを含めると、売上高ベースでは5兆円ぐらいあると思います。この売上が生んでいる雇用をカウントすると、ものすごいことになりますね。

iモードを考案した榎啓一氏の話を伺ったことがあります。世に出るまでは相当に大変だったらしいです。ホントのイノベーションですからね。様々な場所で抵抗があった模様です。

イノベーションは雇用を生む。これは真実だと思います。ドラッカー大先生も次のようにおっしゃっています。

-Quote-
 アメリカでは1965年から85年までの20年間に、(アメリカの統計で労働可能人口とされる)16歳以上人口が、1億2900万人から1億8000万人へと40パーセント増えた。同じく就業者人口は、7100万人から1億6000万人へと50パーセント増え、1974年から84年までの10年間に限っても2400万人増えた。
 アメリカが平時において、伸び率、実数ともに、これだけの雇用を増やしたことはない。しかもこの10年間は、1973年秋の石油ショックの翌年に始まり、エネルギー危機と煙突産業の崩壊、二度の不況という乱気流の時代だった。
 中略
 しかし、1970年代と80年代初めのアメリカの雇用増を、25年前には、専門家の誰一人として予測できなかった。
 中略
 そして、この膨大な雇用を創出したのが中小の組織、そのほとんどが中小企業だった。しかも、その過半とまではいかなくともかなりの部分は、20年前には存在さえしていなかったベンチャー・ビジネスだった。
-Unquote-
  ---「イノベーションと起業家精神(上)」(P・F・ドラッカー、ダイヤモンド社)

この文脈では「ベンチャー・ビジネス」=「イノベーション」と捉えてよいと思います。この時期米国で雇用を増やしていたのは、おそらく、「チェーンストアオペレーション」という基盤イノベーションに触発された大手フランチャイザーおよび中小のフランチャイジーだったと思います。

携帯ショップの場合、正確に言えば、携帯電話の販売奨励金の仕組みがあちこちの駅前に見られる携帯電話ショップという中小企業群を生み、それが雇用を増やしているということになりますね(ただまぁご存知のようにこの仕組みは少し変化しようとしています→それでも販売時に膨大な量の説明が必要であるという意味で、携帯電話ショップは必要とされていくでしょうね)

とりもなおさず、その大元となったイノベーションであるiモードを、種々の抵抗をものともせず、世に送り出した榎さんは偉大です。

ちなみにこのニュースによると、マイクロソフトのエコシステムに関係した雇用は世界のIT業界の42%、約1,470万人だとのことで、これもすごい。
マイクロソフトの場合は、基盤イノベーションに当たるものを同社が創出し、その下で大手中小の企業群が大きな雇用を生んでいるということですね。ビル・ゲイツも偉大です。

同社の場合、基盤イノベーションはOS製品ではなく、「プラットフォーム・ビジネス」ということになると思います。

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