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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

自腹情報vs非自腹情報

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先日、1つの調査結果をもとに「CGMが消費者に与える影響はあまり大きくない」ということを書きました。
けれども自分の素朴な気持ちとしては、消費者の経験に基づく情報であり、他で得にくいものであるならば、それから影響を受けて本気で「買ってみようか」と考える人は、かなりいるんではないかと思っています。生な感想に触れて、「買いたい」という思いが突き動かされるのです。
自らの経験に基づく「これいいよ」という情報には、そうした力があるんではないか。ただ、統計ということになると、出にくい。この種のいわばinfluenced buyingは、設問の設計をかなり慎重にやらないと数字に出にくいと思います。

自分としては、消費関連情報の受発信を考える際に、今後は、「自腹情報」と「非自腹情報」とを明確に分けた方がいいのではないかと思い始めています。

従来、消費者に届くほとんどの情報は「非自腹情報」でした。企業が発信する情報はすべてその企業の予算によって賄われた情報であり、消費者が自分の財布からお金を出して、買って、経験して、それでもって初めて得られる情報とは一線を画すものです。
雑誌なんかに乗っかる新製品情報、飲食店の情報などにしても、そのほとんどは取材の枠内で提供されるモノやサービスが情報源であり、やはり自分の財布からお金を出して買って確かめるという要素はありません。

Web2.0状況における消費関連情報の受発信は、上のようなヒモつきの情報ではなく、消費者が身銭を切って買って経験した上で得られる感想、素朴な思い、レコメンデーション、あるいはクレームなどが、普通に流通するようになったという点で非常に画期的です。
その人自身の経験という価値が付いた「自腹情報」が流通するようになったのです。

そこに付いている経験という価値は、1人ひとりにおいて微妙に、あるいはかなり異なっており、そうした差異があるというだけでも非常に貴重です。また、上で言う非自腹情報を送り出す側には、発信が不可能だという意味でも貴重です。それから、どんなに特殊な分野の特殊な消費行為の経験であっても、現在ではロングテール的な図式がカバーしており「出ていない情報はない」という状況が出現しつつあります。そのようにして得がたい情報が得られるという意味でも貴重だと思います。

1人ひとりの経験という貴重な価値がついた「自腹情報」は、たぶんものすごく価値が高いのです。
そうした「自腹情報」を読んで「はっ」と突き動かされて、「よーし買ったるー」となる。それがきっかけとなる消費は、これからますます多くなると思うんですが。

この文脈で考えると、ブログ空間に充満するアフィリエートの多くは「非自腹情報」であり、だから影響力を持ち得ないということも言えたりしますね。

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