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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ニューヨークで凍えたこと

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寒いですね。2002年の冬にニューヨークのデザイナーズホテルに2週間弱滞在したことがあります。ひどい経験でした。先日ネットで資料探しをしていた際にたまたまそのホテルを紹介していたページに出くわし、名前が「ハドソンホテル」だったことを思い出しました。

11月も後半に入るとニューヨークはど寒いです。毛糸の帽子がないと生きていけません。交差点で信号待ちをしていると、足全体が凍りつくぐらいの寒さです。私は青森県弘前市生まれですが、たぶん北海道より寒いんじゃないかと思う。

その案件では2週間弱ニューヨークにへばりついていることが要請されていて、途中でシカゴなどにも移動しましたが、部屋は借りたままでまたニューヨークに戻ってくるという格好でした。プリンタやら資料やらで70kg前後の荷物を持ち込んでいたので。

2週間の長丁場となるとホテル探しは回線確保が優先。Expediaを使い常時接続可能なところで、かつクライアントの宿泊先に近いところを探すと、価格のもっとも安いのがハドソンホテルでした。デザイナーズホテルです。イアン・シュレーガー。
実はその前の年ぐらいの夏にニューヨークに行った際にイアン・シュレーガーのロイヤルトンに1泊だけしたことはあり、悪くはないと思っていました。ロイヤルトンの客室は映画で言うとドラキュラものに出てくるような調度で固められています。まんま18世紀の洋館(ヨーロッパコンプレックスがあるかも)。

ハドソンホテルはエントランスで驚かせてくれます。ミニマル風なファサードを入るとすぐにフューチャリスティックチューブという感じの長いエスカレーターがあり、そこを上り詰めるとやはり欧州中世のにおいが少しするかなり天井の高い空間がどーっと開けて、真正面がフロントになります。ウェルカムトゥデザイナーズホテルという印象ががつんときますねぇ。黒っぽい服を着たクラバー風の男女がフロントデスクの向こう側でにっこりするので、もうたまりません。

しかしですね。客室へ入ってみて驚いたのはガラス張りのバスルームが半畳ぐらいしかなく、付いているのがちんけなシャワーだけでバスタブがないということでした。
個人的には朝の入浴が無類の楽しみであり、日々の体調を整える健康法でもあるので、2週間近くも湯船につかれないことは拷問に近い。
Expediaでは予約時点でカードにチャージがかかってしまうので、変更はできません。それも2週間弱。もぅと思ったがもう遅い。

ど寒いニューヨークで2週間弱の大変な経験が始まるわけですが、部屋で資料などまとめなければならず、MoMAに行く気持ちの余裕などまったくなく、3日にいっぺんぐらいチャイナタウンまで地下鉄で行って安手の料理屋に入り、チンタオを3本ぐらい開けつつ(当時は酒飲みだった)、量がやたらと多い中華料理を食べきれず、それでも1品だけだとつまらないので3品ぐらい目の前に並べてみて、はぁとかため息ついている日々でしたね。

そのときの仕事はたしか不確実性下における戦略策定方策を追究するというもので、事例をヒアリングしつつ、Michael Raynorという人に講釈を聞いたりして、なにかわかったようなわからないような、そんな気分になりつつ、レポートをまとめるという展開でした。彼は後日、クリステンセンの「イノベーションへの解」の共著者として名を連ねているのを書店で発見し、おぉと思ってしまいました。

ハドソンホテルの客室は、デザイナーズホテルだけあって、日本で言う行灯のような照明に、津軽地方のねぶたのような紋様が描いてあって(ややコワい)ロマネスク調を醸しつつ、机と椅子(メタル素材!尻が冷たい!)とが小さめのミニマル無印良品風であり、それに付いた照明スタンドが完璧に無印良品風であり、到底長時間座って作業できる代物ではなく、さらに暖房は弱く、こごえながらベッドにもぐりこんで資料を読むしかないという、そういう長期滞在ですね。待機時間がかなり長い案件だったということもあり。

デザイナーズホテルは1日ぐらいで留めておきましょう。その方が思い出に残ります。

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