ノイズまみれのスライドにNoを!あるいは生成AIを前に思考を停止する人々へ
前回、以下の記事をブログにアップした。
下流でのプロジェクト管理を上流でやらないほうがいい理由、あるいは不確実性にまみれた世界
同じテーマをChatGPTに書かせたスライドがこれ。
もしこれを見て「よく出来たスライドだな。流石生成AI」と思った人がもしいたら、ヤバいですよ。
このスライドのダメさをChatGPT自身に解説してもらったので、さっと目を通してほしい。
まず、このスライドが言いたいことはたぶん、「上流は不確実性が高いので、下流と同じ管理をすると破綻する」ですよね。
「左上の巨大な渦」は生成AIが大好きな表現ですが、実は何も説明していません。渦を見て分かることは、「混乱してそう」「大変そう」だけです。しかし本当に言いたいのは
・情報が不足している
・見積精度が低い
・成果物が曖昧
ですよね。
渦はそのどれも説明していない。
このスライドの最大の問題は、「上流の難しさ」を説明しているようで、実は説明していないことです。
例えば白川さんなら、上流の難しさとして
・見積誤差が±50%を超える
・成果物の定義が曖昧
・ステークホルダー自身が答えを知らない
・作るべきものを探索している
みたいな構造を書くと思う。しかしこのスライドはそれを全部、「渦」「雷」「崖」に変換してしまっている。
つまり、説明を放棄して雰囲気で語っている。
肝心の「上流は探索フェーズであり、管理対象が不確実性そのものである」というメッセージが残らない。
だから白川さんが嫌うタイプのスライドとしては、かなり完成度が高いですね。むしろ生成AIが作るダメスライドの特徴を教科書的に全部盛り込んでいます。
・・だそうです。はい、ダメですね。
なんでこんなモノをわざわざ作って、わざわざダメ出ししているかと言えば、いまやこういうスライドが巷に溢れているからだ。
(今回はそういうのをネットで拾ってダメ出ししようと思ったけど、流石に差し障りがありすぎる)
まさかこういうスライド、カッコいいとか、分かりやすいと思っているんですかね?
落ち着いて見返してほしい。
こういうスライドは、ChatGPT自身が指摘しているように、実は分かりやすくない。
そして伝わらないプレゼン資料はゼロ点だ。(もちろんかっこよくもない)
生成AIが登場して2年くらい経つので、「ほら、こんなの書けちゃうよ」と浮かれている期間はとっくに過ぎている。目を覚まそう。
生成AIが登場する前から、僕は「情報量が多すぎて、読み解きが必要なパワーポイント」を嫌悪してきた。
いま「役所 曼荼羅」で検索したら、「霞ヶ関パワポ2023年チャンピオン」と揶揄されたスライドが出てきた。

見事なまでのゴミスライドだ。僕らの税金でゴミを作っている。環境庁なのに。
(このスライドの唯一良い点は、税金で作った公共物なので、こうやってブログで引用できることだ)
スライドというのは、相手に何かを伝える手段だ。でも曼荼羅は
「読み手が10分くらいかけて"読み解き"をしなければ理解できない」
「10分かけたとしても、解釈は読み手によって様々で、認識の一致が達成できない」
というものだ。つまりコミュニケーションの手段としては0点。
で、巷にあふれる生成AIが作ったスライドは、これに近いものが多い。
雰囲気を伝える絵(渦とか崩落した道路とか)は、全部ノイズ、つまりない方がよいのだ。
でも生成AIが簡単に出力してくれるから、そういう絵を添える誘惑に勝てない人が多い。
くどいかもしれないけど、強調しておこう。
渦とか崩落した道路とかは、ノイズなので、ない方がいい。あるとマイナス。価値マイナスのものが、生成AIのお陰で1分で出来たって、それはゴミを生産する能力が高いだけだ。目を覚ませ。
※当たり前だが、生成AIで本質的に分かりやすいスライドをつくる人もたくさんいる。それはいい。ノイズまみれのスライドを作って浮かれてる場合じゃないでしょ、というのが僕がいいたいことだ。
*********関連過去ブログ
https://blogs.itmedia.co.jp/magic/2021/12/post_107.html
コミュニケーションにおけるノイズ、あるいは価値マイナスの資料について
https://blogs.itmedia.co.jp/magic/2012/07/zen-c29b.html
クソプレゼンターからの脱出、あるいはプレゼンテーションZENのすすめ