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読者の為とか考えちゃいない件、あるいはなぜブログを書くのか?

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ブログを書き始めて1年たった。
今まで生涯で一度も日記を書いたことがない僕としては良くやった。褒めてつかわす。
と言っても、せいぜい70回程度アップしただけなので、毎日書く方からすると、チョロチョロである。僕が週に1回しか書けないのは、まとめる時間と気力の限界のせい。書きたいことはたくさんあるのでもどかしいが・・。

さて、僕は何のためにブログを書いているのだろうか。結論から言うと、これを覗きに来てくださる方には申し訳ないのだが、ごく私的な目的で書いている。

★目的1:一緒に仕事をする人とのコミュケーション補完
僕の本業はプロジェクトを成功させること。ほとんどは企業の変革プロジェクトだ。
そしてプロジェクトでは、言うまでもなくコミュニケーションが大事、というか正否を分ける。

だからコミュニケーションを良くする方法を常に模索しているのだが、いつも実感するのは「土台を共有することこそが、コミュニケーションの質と効率をあげるための特効薬」
ということ。

土台さえ共有していれば「いつものアレで」で話がすむこともある。
逆のケースだって「今回、アレは効果的じゃないよね」ですむ場合もある。すまないとしても、ゼロベースで議論するよりは「いつものアレが効果的でないなら・・」から出発する議論の方がずっと楽で、ずっと深くまで到達できる。

同じことを別な言葉で説明しよう。
僕らはプロジェクトを成功させるための方法論(メソドロジー)を大事にしているのだが、言ってみればあんなものは骨組みに過ぎない。肉付けは毎回ウンウン言いながら考える。でも骨組みがあるかないかは「議論の土台を共有した効率が良い、質が高いコミュニケーションができるか」という観点で、決定的な差を生む。

それが大事だと思うから、「プロジェクトをどう進めるか」について、方法論では舌足らずな領域、今まで言語化できていなかったことを、一つ一つ文章に落とそうとしている。

「一緒に仕事をする人」には自社のメンバーはもちろん、お客さんやベンダーさんも含まれる。ああ、ケンブリッジさんが一見理不尽なことを言い出す裏にはこういう考え方があるのね、と思ってくれていたら、反対されるにしても建設的な議論がしやすい。

★目的2:カラーバス効果
カラーバス効果とは心理学用語で、「あるテーマを意識すると、それに関連したことに目がいく」というような効果のことだ。「東京は赤い車が多いね」と言われると赤い車がやけに目がつくとか、自分が初めてiPhoneを買うといかにiPhoneユーザーが多いか気付く、
という話。

以前本を書いている最中は、全然関係ない本を読んでいても「これは僕らのプロジェクトストーリーになぞらえると、こういうことでは?」と思ったし、新聞広告のコピーから小見出しを連想したりしていた。慣れてくると、そういう「常にアンテナを張った濃い毎日」が快感になってくる。

ブログだって週一回書くとなると、どうしても「ブログに書きたくなるような、おっ?と思うようなこととか示唆に富んだこととかないかな?」と気を付けるようになるし、意識しなくてもカラーバス効果で色々引っかかってくる。

毎日書いている方はもっと濃いのかもしれませんね。

★目的3:言語化したナレッジは使いやすくなる
コンサルティングに限らず、あなたが知的な職業についているならば、本や経験でインプットした知識・ノウハウを道具として使って仕事をすることになる。例えば「○○の時には□□すべし」とか。

でも、「今こそ、その道具を使うべき時だ」と気づくのが一番難しい。そしてもし気づいたとしてもとっさに使えるか。道具を知っているかどうかよりも勝負を分けるのはそういった「活用タイミング」なのだ。(世の仕事術の本は、そのことへの言及が少なすぎると思う)。

ところで、文章にまとめることは、自分の知識や経験を整理するということだ。とっちらかっている道具を、大きさ順や用途順に棚にしまうイメージだ。
そうすると次にその道具を使うべき時がきたら、すっと棚から出して使える。文章にしたことがないナレッジは使い勝手が悪い。

★自分を覗く
僕はブログを書くときに参考文献は全く見ない。何かを読んでそれをまとめるくらいなら、僕が書く必要はない。最初から原典を読めばいい。

その代わり、自分を覗く。
覗くと、自分がこれまで貯めた知識や経験や暗黙知、アンテナに引っかかったことがうっすらと見えるから、
・どうしてあのときこれができたんだろうか
・あの失敗はどうすれば防げたのだろうか
・そういえば、これって大事なんじゃないだろうか
とかとか、を考え、文章にまとめる。

参考図書がなくても何かが書けると言うことは、「既に知っていること」のはずだ。でも書くときは結構四苦八苦する。書き始めて断念することもある。なぜなら知ってはいるが、さっと使えるように棚にしまわれていないから。

他の人が読んでも理解できるように表現できる=後で自分でも使いやすい、ということなのだ。

★1年間ありがとうございます。
・・という訳で、ぶっちゃけて言えば、このブログを読んでくださる方のことなんか、全く考えていないのである。申し訳ないけれど。だからページビューとか一回も調べたことはない。
でも読者が3人しかいなかったらやっぱりモチベーション沸かないかもね。読んでくださる方にはとても感謝しています。

最後に、この1年で自分で気に入っているエントリーを3つ。

1)期待は失望の母、あるいは野菜ソーキそば(野菜抜き)
⇒期待値マネジメントの大切さを沖縄で知る

2)二流のリーダーには決して言えないこと、あるいは品質管理の奥深さ
⇒「そこ、品質そんなにあげなくて良いよ」と言えるリーダーになろう

3)自分を棚に上げて叱れ。あるいはフィードバックの心得9選
⇒相手に成長してもらうためのプレゼントとしての「指摘」の技術

※ちなみに先週チラッとセミナーの告知をしましたが、僕の場合、マーケティングツールとして(商売目的として)は、ブログはほとんど役に立ちませんね。商売でやるには費用対効果が悪すぎる( ̄ー ̄)。とほほ。

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