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自分を棚に上げて叱れ。あるいはフィードバックの心得8つ

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実は「叱る」という言い方はしっくりこないのだが、指摘(フィードバック)は良くするので、それについて心がけていることをリストアップしておく。

【1】自分のことは棚に上げる
僕は時間管理が苦手である。もっとぶっちゃけて言えば、朝、ちゃんとした時間に会社に来るのが苦手だ。でも、人には「遅れるな」「遅刻するなんてプロとして失格」とか言う。

「誰かを評価するとき、指摘するとき、自分のことは棚に上げろ」

というのは、前の会社の新人研修で習ったことだ。
今思えば、大学卒業したての若造に上司としての心構えを教えてくれるなんて、良い会社ですね。
これは本当に大事なことだと思う。
僕と一緒に働いているからといって、僕の一番ダメな所をわざわざ真似する必要はない。ダメなものはダメだ。
上司のダメな所ばっかりを集めた人間になってどうする。だから僕自身がそれを指摘する。
他の人はひょっとしたら言いにくいだろうし、僕が言わないと「それでいいんだ」となってしまうから。(そんなこと気にするくらいなら朝ちゃんと来い、というつっこみはナシで)

【2】淡々と事実を指摘する
「叱る」ではなく「フィードバック」という言葉がしっくりくるのは、単に事実を指摘することを心がけているから。

「さっきの打ち合わせ、ココがいけてなかった」
「この資料、ココがダメダメ。こうしたらずっと良くなる」
「なぜダメか。なぜなら・・」

目指しているのは、「叱る」という意志がこもった行為ではなく、淡々と指摘すること。まあ、人間なので「何でこんなにクソなんだよ!」と言ってしまうこともありますけど、それは失敗例。

「人格ではなく、行動や状態について指摘する」というのも、同じ。
あなたを何とかしたいのではなく、「ダメダメな状態」を何とかしたいだけなんだ、ということ。

【3】フィードバックは双方向
フィードバックというのは、上司だからするのではない。それが誰かを向上させるためならば、上司とか部下とか関係ない。

ただし、他人に
「あなたはあのとき○○だった」
「あなたはあのとき○○だったが、本当は××であるべきだ」
「あなたの○○、いいネ」
と言ってあげるためには、自分の中に良し悪しの基準を持っていなければならない。
僕の場合は仕事がコンサルティングなので、「あるべきコンサルティングサービス像」についての基準を持つこと。

だから自然と、上司から部下にフィードバックをする機会が多くなるのだが、上司も成長しなければならないし、それは誰かからの指摘が必要なときもある。フィードバックは双方向。その方がオープンなカルチャーになるというメリットも。

【4】フィードバックは○も×も
「上司になったら読む本」的な本には「あんまりネガティブなことばっかり言うと、相手がしょげちゃうから、良いことも言ってあげましょう」みたいなことが書いてある。

僕が良いこともフィードバックした方がいいと思う理由は、それではない。
良くないことを指摘され、改善するのは大変だ。もちろんそれをやっていかないと進歩がないので頑張るのだが、大変なものは大変。

一方で「今できていることを次回も必ずやれるようにする」というのは、それに比べずっと簡単だ。つまり、「それいいね。次もやりなよ」は効率がいい指摘なのだ。

【5】わざわざ良いフィードバックを用意しない
4の続きなのだが、
・改善点を1つ指摘するなら、1つ褒めましょう
・○と×は交互に言いましょう
とか、僕は気にしない。×しかなかったら×しか言わない。

「あーあ、ダメダメだったけど、褒めないとかわいそうだから、良いこと探しでもしますか」というスタンスで話すのって、相手を凄く子供扱いしている様な気がしません?少なくとも相手をプロとは認めていない。それは失礼だと思う。

その代わり、僕が「いいネ」と言ったときは心からそう思っている。それで良いんじゃない?

【6】すぐに言う
一般論として、人は時間がたってから「あれ、直して」と言われても、ピンときにくい。そういう意味では、僕ら人間も、トイレのしつけをされている犬と同じなのだと思う。

でも人間同士だとドッグトレーナーとは違って、誰かの横に四六時中いて注意してあげるのは不可能。だから人はゆっくりとしか成長できないのかもしれない。

それでも半年後の人事考課の時まで待たないで、その日のうちにフィードバックを伝えることは、心がけ次第でできるはずだ。
僕らは打ち合わせの後、ほぼ必ず「チェックポイント」と称する反省会をやるのだけれど、これはなるべく早く問題点を明確にして、すぐに改善できるようにする工夫だ。

【7】受け止められる量を
僕らの会社では、お互いにフィードバックを伝えあう、というカルチャーが浸透している。が、浸透しすぎている面もある。どういうことかというと、本人が受け止められない程のフィードバックの洪水になってしまうことがあるのだ。

受け止められないほどのフィードバックを浴びせるというのは、指摘する側のマスターベーションであることが多い。特に入社してすぐの社員は色々混乱することが多いから、本当に今すぐ改善して欲しいこと、改善しやすいことを3点だけ言うなど、工夫が必要だ。

【8】リボンをかけて渡す、プレゼント
いくら事実を淡々と指摘するとか、×だけじゃなくて○も言おう、とかいっても、改善すべき点を的確に指摘されるのは、しんどいものだ。

「フィードバックとは、リボンをかけて渡す、プレゼントである」

相手のためになることを、相手を思って渡すもの。そして渡す「モノ」だけでなく「渡し方」が大事だということ。愛情を添えて。

【番外】子供には理由を言わない
仕事とは別に、子供を叱るときは、僕は理由を言わないことが多い。

物事を教えるとき、例えば「お皿を洗うときは、こうやった方がいいよ」という時にはもちろん理由を伝える。

でも「ブロッコリーを残さず食べなさい」という時に、なぜブロッコリーが体にいいのか、なぜマズイと感じても食べなければならないのかを説明してもしょうがない気がする。
「全てのものごとは、誰かが納得のいく理由をわたしに説明してくれるべきだ」「説明がないならば、従わなくてもよい」と思ってしまうのはよろしくないと信じている。

「世の中には、自分が理屈を理解できなくても従わなければならない時がある。なぜなら自分には判断力がないのだから」と肌で感じていて欲しい。

だから僕は、娘にはただ「いいから残さず食え」と言う。
正解なのかどうかは分からないけれど。

Comment(1)

コメント

木村祥久

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