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「生成AI×執筆」ゆる勉強会をやってみた件

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生成AIを執筆に活用する、というテーマの勉強会を先日やった。
元々は社内向けの勉強会にするつもりだったんだけど、Closeにする必要性もないので、社外にも公開することにした。
そして僕一人だけだとコンテンツ力として(まだ)不足しているので、執筆をしている友人2人にも、ゲスト登壇者として声をかけた。やってみての感想をメモっておこう。


★やろうとした意図
個人的に、もっと勉強したいテーマだったから。とはいえ「ツールを使いこなす」ということ自体、あまり好きでも得意でもない。だから勉強会を設定して、無理やりアウトプットする機会を設けようかな、と。

この狙いはおおよそ達成できたと思う。
①やる以上は参加してくれた人に有益なものを持ち帰って欲しいので、普段よりは本を書くときに生成AIを使うチャレンジをするようになった。

②登壇者のお二人がやっていることを聞けた。当日はもちろん、事前の打ち合わせの時に普段やっていることを紹介してもらって、一緒にわちゃわちゃ試したりしたのが勉強にも刺激にもなった。

③言語化。これはブログを書くのと同じだが、普段自分が漠然とやっていることを改めて言葉にすると、頭が整理できる。別な場面でほかの人に伝えやすくなったり、いざという時に確実に実行できるようになる。
勉強会を企画してからの方が「生成AIを何にどう使うか?」に対してより意識的になった。
 
 
★自分の企画がちょっと良かった(超よかった訳ではない)

ちょっと良かった①:講師紹介のスライド
聞いてくれる人が、講師3人の立ち位置をさっと頭に入れるのに有効な表だと思いません?

XX_ 20250226_AI×執筆.jpg

ちょっと良かった②:ライブ利用
ノウハウをだらだら喋るだけだとイマイチだな、と思ったんで、「新しい本の目次をゼロから作ってみる」というのを、その場でやってみることにした。生成AIの画面を共有しながら。

生成AIをあまり使っていない参加者にとっては、どんな感じに生成AIと付き合えばいいのか、参考になったんじゃないかな。

参考までに、僕がやった時のアウトプットを、末尾に載せておきます。

★個人的な発見
講師の柏木さんは、歩きながら音声入力でどんどんアイディアを喋り、それをテキスト化、整理させるまでを生成AIにやらせていた。
すごくカジュアルにネタを生み出し、文章の一歩手前くらいまで書いた段階でたくさんストックしておく。
アイディアのストックは作家の第1歩なので(以前書いたアジャイル文章術を参照)、それを生成AIをつかってすごく洗練されたやり方でやっている訳ですね。
僕はいまだに「いっちょブログでも書くかな」「1日あけたから、本を1章書こうかな」と結構執筆に対して構えているけど、このハードルが圧倒的に低いのがすごい。
 
一方でもう一人の講師原田さんは、「自分の喜びのために、書きたいことを書く」と「ビジネスのために、SEO目的で義務的に文章を生み出す」の2つの執筆モードを分けていた。
僕は前者しかやらない人間なので、まずこのモードの使い分け自体が面白い。そして生成AIの使い方も2つのモードで分けている(前者モードでは推敲に使い、後者モードでは文章作成そのものに使っている)。
一口に「生成AIを執筆に使う」といっても、
・書く文章の目的、トーン
・趣味か実益か
・自分の文章スキル
・自分が知っていることを書くのか、考えながら書くのか
などによって、最適な使いどころはかなり変わってくるのかな、というのが発見だった。
 
 
★みんなで話した身もふたもないこと
勉強会の最後に座談会的に「生成AIとの関係」「生成AIの影響」などを話すコーナーを設けたのだが、
「使う人の言語化能力が、結局はボトルネック」
という話が印象に残ったかな。

生成AIは検索やプログラミングと比べて、圧倒的に「ふんわりとしたニーズに空気を読んで対応する」ができるツールだと思う。そこが強みというか。
でも
・生成AIに適切に指示を出す
・深い対話にいざない、自分になかった観点を得る
・生成AIに続きを書いてもらうために、お手本をいくつか書く
みたいなことをやろうとすると、結局は自分自身の言語化能力が肝だなぁ、と。
なんか、どんな話をしていても、突き詰めると「言語化能力が大事」になるなぁ、と。
 
 
★まとめ
普段僕らが開催するセミナーでは、プロジェクトでの実践をベースに「しっかりと自信がある、ある意味実証済みのノウハウ」をお伝えしている。
今回はそれと比べると圧倒的にゆるい「今のところこんな感じにやってます」というのを共有する会。
たまにはこういうのもいいかな。何よりやっている僕らが楽しいし、勉強になるから。
聞きに来てくれた人も何か持ち帰れたものがあったならよかったのだけれども。
 
 
 
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おまけ:ChatGPTが作った本の目次とサンプル文章
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下記アウトプットを15分くらいで出せたので、本1冊も1日あれば書けちゃいそう。
売れるかというと微妙だけど、そこそこなエッセイ本になっている気がする。

※エッセイは昔からあるジャンルだが、この40年異様に進化している。40年前に出版された、小説家のエッセイ集を読んだらレベルが低く「昔はこんな文章でも売り物になったんだ・・」とびっくりしたことがある。
当時なら、ChatGPTが書いたこの文章も出版までこぎ着けたはず。

****テーマ****
「仕事でのコミュニケーションあるある」みたいな面白オカシイ本を作るとして・・
ネタリスト(≒目次)を生成AIに考えてもらおう!

****生成AIが作った50の章タイトル案(の抜粋)****
・スタンプ連打、果たして愛か暴力か
・会議長引き選手権
・オフィスの雑談はサボり? それとも潤滑油?
・ネットワーク不調で行方不明になる上司
・多様性推進会議の実態
・CC地獄とBCC地獄、どっちが過酷?
・『あとで考えましょう』といいつつ、誰も考えない会議
・説教タイムなのにスッと消える部長の神ワザ
・電話を怖がる新入社員 vs. 電話に命を懸ける古株
・昭和あいさつと令和チャットが同居するカオスな朝
・社長の野球比喩、部長のガンダム比喩、新人はポカン
・ノリノリ幹事と無言の参加者、忘年会はどこへ行く?
・マスク越しの表情を読み取れ! 無言コミュニケーションの難所
・フリーアドレス席を巡る社内ジプシーの嘆き
・俺のスピーチ、刺さってほしい相手ほど無反応

****サンプル章****
『来週までに』と言いながら"今すぐやれ"圧をかける上司


 「来週までにやってくれる?」なんて上司に言われたら、「ああ、じゃあ週末にまとめてやろうか」と普通は思うじゃないですか。でも、次の日になると「企画書どう? 今日中に見せてほしいんだけど」ってサラッと言われる。こっちは「えっ、来週までって言ってませんでしたっけ?」と内心思うけど、そんな空気は微塵も伝わってこない。早く仕上げたらそりゃ褒めてもらえるかもしれないけど、まるで"今すぐやれ"の圧がすごいんだよね。

 考えてみれば、上司側にも事情はあるのかもしれない。もしかすると「来週まで」と余裕を出しておくほうが"部下が安心して動ける"と思っているのかも。でも実際には「スキを見せると後回しにされる」と危惧していて、実質"明日には欲しい"と思っていたりするからタチが悪い。要するに、口先の期限と本音の期限が乖離しまくってる。そもそも「余裕があるならスケジュールを柔軟に使えるはず」と思い込む部下サイドと、「いやいや、早いに越したことはないでしょ」という上司サイドで、まったく会話が噛み合ってないわけだ。

 僕としては、言葉どおり「来週まで」で構わないなら、"本当に"来週まで猶予をくれてもいいじゃないかと思う。そりゃ「あまり遅いと会議に間に合わない」とか本当に急ぎならば、最初から「明日まで」とハッキリ言ってほしい。そうすればこっちも心構えができるし、スケジュールの優先度を一気に上げられる。でも、表向きに優しさを演出しつつ、じわじわと圧力をかけてくるパターンは正直しんどい。

 結局、上司が「早めにやれ」とハッキリ言わないのは、角が立たないように気遣っているつもりかもしれない。でも部下の気分からすると、はじめから「今すぐやって」と言われるほうがまだ素直に動けるし、後で「実はもうちょっと待てるんだけどね」って言ってもらえたほうが助かる。逆に「来週まで」で安心させておいて、次の日に「もうできてる?」は、むしろ余計にストレスを増幅させるだけだ。

 この微妙な温度差を埋める秘訣は、やっぱり遠回しじゃなくて、思っている期限をそのまま言うこと、に尽きると思う。上司も怖がらずに本音をさらけ出してくれたほうが、結果的にはお互いのためなんだよね。とはいえ、そんなに素直になれないのが現実の職場なのかもしれない。いやはや、社会人って面倒くさい。

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