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"ソーシャルデザイン"の感想

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"ソーシャルデザイン"はidea-ink(朝日出版社の新シリーズ)である最初に出版された1冊です(もう一冊は"情報の呼吸法"です)。

ソーシャルデザインと言う単語は分かりづらいのですが(今はなんでもソーシャルをつける傾向はありますが...昔のなんでもネットが付いたみたいに)、本書では東京シャボン玉倶楽部、スピードを守った人たちに宝くじの提供(原資はスピード違反の罰金)、一枚のチラシとエレベータを使った広告、KOTOBUKI選挙へ行こうキャンペーン、ゲリラ・ガーデニング、四万十川新聞バック等の事例で非常に低コストで社会状況を改善できる例を紹介しています。

本書で紹介しているアイデアはほとんど低コストで実現していますが、社会的に効果は非常に高くなっています。本当にちょっとしたアイデアで多くのことが改善できるのだと思わされます。

現在の日本の社会や会社を維持するのに非常に高コスト体制になっています。それがいいとはとても思えませんが、高品質を実現するには仕方が無いのかとあきらめていました。

ですが、本書の紹介事例を見ていると考えを変えれば多くのことが改善できるのではないかと思えてなりません。何をするにもスタートするのにコストがつきまわりますが、本書ではほとんどコストがかかっていないことばかりです。良いサービス=高コストに慣れてしまった私には目からうろこが落ちた思いです。

また、ほとんどの例がWin-Winの関係を実現しているのもいいところです。社会を維持するのにはサービス提供側の苦痛が伴います。ですが、おばあちゃんを指名したカスタムニットブランドは完全に違います。低コストで実現しながらも、Win-Winを実現しています。これならば長続きすると言うものです。

このようなところがソーシャルデザインと言えるところなのでしょう。多くの例が海外でしたが、日本の事例も紹介されています。このため、日本でも出来るのではないかと思えてなりません。

また、本書は"電子版無料キャンペーン開始!"にあるように期間限定でePubの配布も行われています(私は既に2冊とも読み終わっているので、ePubを手に入れるつもりはありませんが)。面白い取り組みです。まだePubを展開することは微妙に難しい状況が続いていますが、これで自炊は不要になります。Twitterを使うのも広告効果があり、且つソーシャル的でもあります。もっと他のレーベルでも似たような取り組みをされてもいいのではないかと思います。訴えることで収益を守るのではなく、少しはリスクはあってもファンを獲得する意味で。

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