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"ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか"の感想

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私はNHKスペシャルでこの番組を見たわけではないので、映像は分かりませんが本書はなかなか面白いと思います。

DNAの差が最もホモ・サピエンスと少ないチンパンジーが、相手を手助けしても分け与えたり、手助けした報酬を要求しないところが新人類と猿の差ではないかと本書が伝えています。現在でも狩猟採集生活をおくっている方々が死活問題のリスク回避のために相互協力を前提に生活しているのがホモサピエンスのスタート時に似ていると言われています。生きていくのにリスクが高い場合は、相互協力をメインにして乗り越えてきたことが新人類が反映した要因ではないかと言われているそうです。

また、現在ではいろいろと考古学的なことが分かってきているようです。
・ホモサピエンスの出アフリカは2度目に成功しているようだ
・2度目に成功した要因は投擲武器の関与があるらしい
・農業と定着は、定着の方が早かった(農業で得られた食べものは特別ものだったようだ)
・黒海周辺で農業が盛んに行われいたが、温暖化の影響で洪水が起こり、住処を追われたことが農業を周辺地域に一気に広げた要因のようだ(世界的にノアの箱舟の様な洪水の話が多くあるのは、これが元になっているのかも知れない)
・気候の急激(火山の爆発や温暖化)な変化でホモサピエンスは全滅しかけている
・公害は紀元前から存在していた(塩害は聞いたことがあったのですが、燃料確保するために木を伐採しすぎたことで土砂崩れなどがあった)

農業と定着と宗教は、どうも宗教が先に出てきたのではないかと今は言われているようです。

ジャレド ダイアモンドの"銃・病原菌・鉄"(単行本が出ているようですね。これもかなり面白いです)を読んでいると小麦や牛等の農業に必要な作物・家畜がたまたま中東周辺にあったことが文明の発展に寄与したとあります(定住と農業がどちらが先かは記載がなかったような気がします)。

このため、多くの人口を養うことが出来たことは地域に偏りがあったようです。ゲーム的は表現をすれば中東はチートな場所だっと思えます(ただし塩害の問題があったため気候的には脆弱だったようです)。アメリカ大陸原産の穀物の一つであるトウモロコシが原種から生産物になるまで多くの時間を有したのとは大きな違いです(原種は食物として見るには無理だと思うほど小さい)。

このため、農業の普及で定着が始まり、そこから宗教や統治体勢が生まれたのかと思われていたのですが、考古学的は年代では農業が後のようです。定着する理由も宗教的な祭事を行うためか交流の場から始めたようです。ただし、現在文明のゆりかごである中東の政治状況が不安定なため発掘が思うように行かないようですが、今後多くのこと知見が見つかり、決定的なものが見つかるのかも知れません。

物々交換の時代では流通範囲が限られてきましたが、お金の登場によって交換コストの低下及び交流範囲が広がりました。これは狩猟採取時代の食べ物をシェアすることから大きく飛躍しています。現在のところは、そのお金すら実物で交換しない方式が主流になり始めていますし、交流のコストはほぼ0に近づく始めています。

お金が出来たころにはそれまで多くをシェアしていた社会状況がお金を貯蓄する方向に向かったようです。これは、現在アフリカの一部の地域ではお金の流入で生活スタイルえが変わってきたようです。今までは全てをシェアするのが同然だったのですが、独占や一部しかシェアしないように変わってきているようです。

もしかすると一部の地域の変革を見ることでホモサピエンスが物々交換から貨幣経済への移行の過程を見ることが出来るのかもしれません。

後、ちょっと気になったことがあります。

本書の中でよく人間の嗜好に関する社会実験の結果を書かれてあります。"不合理だからすべてがうまくいく"や"天才!成功する人々の法則"を読むと同じような実験をしていますからテレビでその結果を流すことには一つも違和感はありまん。

ですが、この様な社会実験の取材先が全てアメリカの大学です。本書ではチンパンジーの研究やアフリカ・中東での考古学的や民俗学的なに関して日本の研究機関に協力を仰いでいますが、なぜか社会実験系は日本の大学が出てきません。なぜなのでしょうか?その分野では日本は遅れているか、必要としていないのでしょうか?"天才!成功する人々の法則(ものすごく面白いので未読の人は読むことを強く押し付けたいです)"を読む限りは、人間の行動は非常に曖昧ながらもいろいろとハックできそそうで、それを社会実験である程度分かりそうです。

日本の研究機関も同様なことを取り組んでいるのかも知れませんが、NHKの取材班が見つけることができないと言うことはほとんど無名かもしくは行われていないのではないでしょうか。ただしこのような社会実験はコストがかかったり、外から見ていると小遣いをばら撒いているように見えないので、うまくやらないとふざけているのかと思えるかも知れませんけどね(もしかするとこのような理由から研究費がでないのかも知れません)。

考古学の知見は年々変わってくるものです(社会情勢が良くなればもっとすごい発見があるかも知れません)。周期的にこのような番組で情報をリフレッシュ出来るといいですね(こういう点はNHKのいいところだと思います)。

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