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CES 2011の感想

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CES 2011が開催されました。IT業界はCESから年が始まった感じがします。いくつか面白い製品が発表されたので、感想を書いてみます。

■メディアタブレット

今回のCESの一番の目玉はAndroid 3.0(Honeycomb)のメディアタブレット群です。Android 2.xのタブレットから比べるとUIが大幅に変わりました。


YouTube: Introducing Motorola XOOM

LGが、早期に出すことができるAndroid 2.xをパスしてAndroid 3.0でタブレットに注力したと噂されてしましたが、先手によるシェア固めと製品の完成度を考えるとLGの判断も妥当なように思えました。

そのAndroidのメディアタブレットはいくつか製品が発表されました。

東芝のタブレットデバイス
KB付きAndroid端末
Dell Streak 7
MotorolaとLG
NEC2画面
ASUS
LenovoタブレットとノートPC

iPadのサイズと形状がメディアタブレットの完成形ではないと思います。Androidでは各メーカがいろいろと製品を出してきます。最終的には何が生き残るのかは楽しみです。また、日本への展開はどうなのでしょうか。

Sandy Bridgeの登場

Intelが予定通りSandy Bridgeを出荷しました。Intelは毎年(2006年頃から?)CESにあわせて新製品の発表しています(Intelからの出荷自体は年末で終わっていると思いますが)。世界的にみて年末の方が製品が売れと思います。このため、Intelの家電製品ショーであるCESでの新製品の発表は理にかなっているとは思えません。

なぜ、CESにあわせるのでしょうか?確かに年末にはこのような大きなイベントは存在しないため、CESで行うのは悪いことではありませんが、販売の機会損失にならないかと思わなくもありません。

ただし、メーカ側としてはPCはもう既に家電であって特殊な製品ではないと言うイメージがあるのかも知れません。

ARM版Windows

MicrosoftがARM版Windowsを開発していることを発表しました。これ自体は昨年末にうわさになっており、驚くほどのニュースではありませんでしたが、それでもAndroidタブレット以上のニュースだと思います。ARM版Windowsに関しては過去に以下のエントリを書いています。

ARM版Windowsの可能性は低くない
ARMの一番の良いところは省電力ではない

ここで気になるのはARM版Windowsは成功するでしょうか?

過去x86以外のWindowsが失敗しましたが、現在の状況は当時とはまったく違っています。.NET Frameworkの存在やARMの性能及びメーカ多様性を考えると、Alpha等がたどった道を進むとは思えません。

ですが、大成功するかどうか現時点では予測は難しいと思います。難しくしている要因は以下になります。

・Intelの対抗行動
・ARM系陣営のやる気
・Android/Chrome OSとの存在

Intelは妨害行動(違法ではなく)を行うでしょう。今から4年後には非常に消費電力が低い製品を出してくるかも知れません。ARM版Windowsの登場は早くて1年後ですし、普及には2年以上後だと思われます。このときに、IntelがARM対抗製品のレベル次第ではARM系の普及にストップをかけているかも知れません。

ARM系陣営の中でNVIDIAは突出してやる気です。それは、Intel/AMDの両社がGPUをCPUに搭載するため、GPUのローエンドカテゴリは2011年に消滅します。さらに将来的には、CPUにメモリをTSV(through-silicon via)で接続することでメモリ転送速度をあげGPUのミドルレンジレベルも消滅するでしょう(これはいつになるかわかりませんが)。また、CPUとGPUの連携を基本にするとNVIDIAのGPUの利用頻度が下がる可能性があります。

このまま座視していればNVIDIAの活躍できる市場が小さくなってしまいます。このためTeslaでスパコン市場への参入とTegraでスマートフォン・メディアタブレット市場への参入を行ってきましたが、どちらもまだまだ大きくはありませんし、足元のPC市場で地位を低くすることはいいことではありません。

このため、NVIDIAがARM版Windowsの登場(NVIDIAもある程度関与しているのでしょう)に社運を賭けて勝負することは全うな考えです。

また、最初の協力社であるQualcommとTIのやる気がどの程度なのか不明ですが、この後はSamsung、Freescale、Marvellあたりが参戦してくるのではないかと思います(Samsungが参戦してきた場合は、かなり本気で行うでしょう。また、もしかすると日本メーカのいくつかが参戦するかも知れません)。参加メーカが多くなれば、淘汰されますが残ったメーカは、それこそ相当なやる気と資産を注力すると思われます(NVIDIAとSamsungが生き残るかな?)。

Intelの妨害やARM陣営が本気を出してもAndroidやChrome OS系のライトなOSが普及するとARM版Windowsって必要?と言うことが発生する可能性があります。特にAndroid 3.0を見ていると今後の展開が面白そうですし、Chrome OSやWeb Storeが普及するとネイティブアプリの需要が以前よりも低くなる可能性もあります。また、ARM版WindowsとAndroid/Chrome OSがどちらも生産するメーカが出てくると思われますが、その時にどちらを優先して作るでしょうか?デュアルブートさせたバージョンでしょうか?それともライセンス料が安いほうでしょうか?

現時点では各メーカの方向性が見えないため、ARM版Windowsの普及率は出荷前後の状況次第だと思われます。

■スマートフォン

CESは決してスマートフォン展示会ではないのですが、いくつか発表されていました。

Sony EricssonがAndroid 2.3搭載「XPERIA arc」の実機を展示
これぞパソコンの未来形!? 合体スマホ ATRIX 4G登場

特に、ATRIX 4Gは面白いですね。形状的なハイブリッドの製品は今まで成功したためしがありません。PowerBook Duo 210あたりがその代表的な製品だと思われます。ユニークなのですが、コストパフォーマンスが悪いためか未だに成功した製品はありません。

ATRIX 4Gは今回は成功するのでしょうか?個人的な見解では成功してほしいですが、パワー不足で成功しないかも知れません。現在のPC、メディアタブレット、スマートフォンの形状に関してはまだまだ改善の余地があると思っていますので、ATRIX 4Gにはぜひとも成功してほしいです。

■Lenovo

LenovoがThinkPad X120eを発表しました。"ThinkPad X100eの将来像を勝手に想像してみる"でThinkPad X100eでBobcat系が搭載されると予想しましたが、割と早く出てきて驚きました。

ThinkPad X120eに搭載するAMD E-350のWEIは、プロセッサ 3.7、グラフィックス 4.6、ゲーム用グラヒィックス 5.8となっています。ThinkPad X100eのAthlon Neo MV-40版では、プロセッサ 3.1、グラフィックス 3.4、ゲーム用グラヒィックス 4.7となっています。GPUは性能が上がっています。価格も安いようなのでコストパフォーマンスはいい製品だと思われます。

他にもThinkPad Eシリーズのいくつかが発表されましたが、クラシックThinkPadは今回は正式なものはありませんでした。ThinkPad T420sのプロトタイプぐらいです。これは、Sandy Bridgeの2コア版の登場と一緒に発表になりそうです。

■まとめ

CES 2011は、家電ショーながらAndroid 3.0メディアタブレットやARM版Windowsの発表があり、かなり面白いものになりました。特にメディアタブレットは、2010年で登場して最後は少し勢いがなくなった感じ(Galaxy Tabで盛り返した?)でしたが、Android 3.0の登場で2010年以上の勢いが出てきそうです。いや、Android 3.0はこのカテゴリ(メディアタブレット)の覇者になる可能性も秘めていると思いますし、チョイ上・チョイ下にも大きく影響を与える可能性があると思っています。

2011年も面白そうな製品が出てきそうですね。

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