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日本IBMとけんじろうさんのご厚意により開催された、「ブロガーズ・ミーティング@IBM-ibm.com事業におけるWeb2.0マーケティング強化」に参加しました。

私がコールセンター関連の仕事をしていることもあって、今回の内容は非常に興味がありました。

もともと日本IBMはトップダウンの営業スタイルが得意です。顧客の経営層に直接営業して、商談を決めるスタイルです。一部の噂では、日本IBMの営業担当は億単位の商談でなければ相手にしない、と言われています。これが本当かどうかはともかくとして、顧客のIT部門のマネージャーや担当者レベルにアクセスすることが課題でした。

日本IBMのテレセールスのコールセンターは、Webサイトと電話によるインバウンド対応と、メールマガジンによるアウトバウンド活動を組み合わせた営業スタイルです。顧客のIT担当部署と直接コミュニケーションすることで、ボトムアップの営業成果を上げているとのことでした。すでに売上のウニャウニャパーセントは、テレセールス部門からの売上になっています。テレセールスの担当者が社内で表彰されることもあるそうです。

私は、企業が顧客に直接応対する窓口として、コールセンターは営業部門と同じくらい重要な部署だと考えています。残念ながら、通販会社などを別にすると、一般的な企業では、コールセンターの社内的な地位や評価は、営業部門と比べてまだまだ低いことが多いようです。コールセンターが売上に貢献して社内で評価されることは、私にとってもうれしい話です。

さらに日本IBMでは、IBMのソフトウェア製品拡販を目的として、リアルタイムでのチャットを通じて営業活動を行う新たな販売促進ツール「IBMライブ・チャット」を始めました。

これは、Webページを閲覧している顧客の動きが、ウニャウニャの条件に当てはまった時に、顧客の画面にポップアップ画面を表示し、IBMの製品担当者がチャットにて話しかけ、顧客と直接リアルタイムで製品に関する会話をする新しい形の販促ツールです。詳細はウニャウニャですが、チャットによるコミュニケーションは、顧客に好評とのことです。その一方で、ポップアップ画面に対して顧客が了承してチャットが始まる率や、IBMの担当者が1件のチャットにかかる時間の効率など、課題があるそうです。

私は、デルのWebサイトにアクセスして、新しいパソコンの情報を見ることがよくあります。デルのサイトをしばらくうろうろしていると、かなりの頻度でチャットのポップアップが表示されます。でも、チャットに応じたことは一度もありません。見知らぬ担当者と、リアルタイムでキーボート経由で会話をするのは、どうも面倒で好きになれないです。「本当に困ってききたい時は電話するから、ほっといてね」なのです。

このあたりは、チャットのような頻度の携帯メールのやり取りが普通になっている世代と、根本的な違いがあるのかもしれません。どのような条件の時にチャットのポップアップを出すかは、さらに仮説と検証が必要なこれからの課題だと思います。

日本IBMは大企業でありながら、他にも営業担当の公式個人ブログなど先進的な試みに取り組んでいます。実際に始める前には、大企業ならではのリスクを考えて、慎重な意見もあったと思われます。それを乗り越えた日本IBMの取り組みは、評価すべきものがあります。ブロガーの仲間うちとは言え、このようなミーティングを外部に向けて開催できる日本IBMは太っ腹です。

100年に一度の変化の時です。すべての企業は、これまでのやり方にとらわれることなく、新しいチャレンジをしなければならないと考えます。

余談ですが、一部ブロガーの間では、”ちゃんと仕事をしているけんじろうさん”を見ることができたことが、今回のミーティングの最大の成果だったという声があったことを付け加えておきます。

テクネコ

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加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

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