« 2007年3月9日

2007年3月20日の投稿

2007年3月26日 »

今から約10年前の1995年頃の話をしたいと思います。Windows95が発売になる少し前(Windows95の日本での発売は95年11月23日)のことです。

当時はパソコンのアプリケーションプログラムを作って一山当てる、というビジネスモデルは普通でした。例えばシェアウェアの秀丸など、このモデルで成功した会社や個人がありました。

このモデルに共通しているのは、「機能に価値がある」ということです。アプリケーションを使って文書を作る、表計算する、というソフトウェアを使った時の機能に価値があったのです。

その後、株式会社ヴァル研究所から発売されたWindows版の「駅すぱあと」を初めて見た時に、私は衝撃を受けました。

「駅すぱあと」は電車などの乗り換えの最短経路、時刻表、運賃を検索するアプリケーションです。インターネット普及前で、パソコンにインストールして使うスタンドアロン形式になっていました。駅に問い合せをしなくても定期券の金額がわかる、ということで企業の総務部などでよく使われたようです。

私が衝撃を受けたのは、「駅すぱあと」が「コンテンツに価値がある」ソフトウェアだと考えたからです。経路検索のソフトウェアにもノウハウや技術力はあるのでしょうが、使う側から見た価値は経路や時刻表のデータにありました。

それまでのアプリケーションは、次々に機能を強化して、バージョンアップでユーザからお金をもらうというモデルでした。全てのユーザが常に新機能を必要とするわけではないため、バージョンアップしないという選択もユーザにはあります。このモデルではある程度普及してしまうと売上は頭打ちになります。

一方、駅すぱあとでは、時刻表や運賃が頻繁に変わることから、古いバージョンは事実上使えなくなります。ユーザは常にデータの保守料金という形で、バージョンアップをし続けることになります。つまり、一度ある程度の機能に達して、さらにユーザの数を確保してしまえば、後は新機能を開発する必要もなく、データ更新の手間だけで収益が上がるという新しいモデルです。

私は「駅すぱあと」に時代の変化を感じました。

その後、株式会社アルプス社の地図情報ソフトウェア「アトラスRD for Windows 95」(1996年発売)など、「コンテンツに価値がある」アプリケーションが増えて行きました。インターネットの普及に合わせて、ISPにサービスを提供するビジネスを展開しています。乗り換え検索や地図検索は、ポータルサイトで欠かせないサービスになりました。

Web2.0だからというわけではありませんが、そろそろコンテンツの時代の次が出てきそうな気がします。

私はそれが「コミュニケーションに価値がある」時代ではないかと考えています。mixiのようなSNSはコミュニケーションがコアになっています。ただ、今のSNSはまだ電子掲示版やブログの延長でしかないように思われます。

本当のコミュニケーションの時代にどんなサービスや製品が出てくるのか楽しみです。

参考:「駅すぱあと」は1988年に最初のMS-DOS版が発売されています。

テクネコ

« 2007年3月9日

2007年3月20日の投稿

2007年3月26日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

加藤和幸

加藤和幸

株式会社テクネコ 代表取締役。
ITを売る側と買う側の両方の経験を活かして、CRMとCMSのコンサルティングを中心に、お客様の”困った”を解決します。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
techneco
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ